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ELEMENT 2015春号  作者: ELEMENTメンバー
テーマ創作「桜」
8/14

桜(作:猫)

風の強い日、気象予報士によるとこの日が最後の花見のチャンスのようだ。


 真理は両親と桜の花見に来ていた。桜の並木道に露店商なども出て賑わっていた。この地域では最後の花見としての休日。多くの人々でごった返していた。

 そんな中、真理は露店商に気をとられているうちに、両親とはぐれてしまったようだ。


 どうしよう……。ママ達とはぐれちゃった……。泣いたらダメ!もう小学生なんだから!


 真理はもと来た道を戻ってみた。するとそこには巨大な桜の木があった。何故かその木の周りには人がいない。


 こんなに綺麗なのに……!


 真理は桜に惹きよせられるように、桜の木の下へやって来た。そっと木の幹に触れる。風が強いからか、花びらがはらはらと散っている。


 綺麗……。


 真理は、暫しその情景に見とれた。そんなとき、一際強い風が吹いた。下に散った桜の花びらが舞い上がる。真理は思わず目を閉じた。

 そして次に目を開けた時、真理の前に人がいた。桜色の着物を着て、一つで束ねた髪の毛を腰まで垂らしている。


「誰?」


 思わず真理の口から言葉が漏れた。

 その女の人はゆっくり振り返り、真理を見下ろした。


 綺麗な人……。


「私が見えるのか?」

「どういう意味?」


 真理には訳がわからなかった。女の人は真理をじっと見つめ呟いた。


「迷子か?」

「迷子じゃないもん!はぐれただけだもん!」

「ああ、わかったよ。この道の桜の五本目の木の前で待ってみな。さあ、お行き」


 真理は少し怖くなり、その女の人の言う通りにした。五本目の桜……。真理がその桜を見上げた時だった。


「真理!」


 ああ、パパとママだ。あの女の人の言う通りだった。


「心配したのよ、もうはぐれないようにね」

「うん、あのね向こうに綺麗な桜の木を見つけたの」

「真理は桜に見とれていたのかい」

「うん、もう一度行きたい」

「そうね、そんなに綺麗なら行ってみましょうか」


 ここから五本目……。真理達は、そこから五本目の桜の木の下にやって来た。


「この木かい?確かに少し大きいな」

「ううん、もっと大きかった」

「ここは桜並木だから、そんなに大きな木はないわよ」


 真理は、あの女の人のことは話してはいけない気がした。


 桜の精……!


 真理は桜の季節になると、あの美しい女の人を思い出すようになった。















 ふとしたことから桜の精に出会った少女、世にも奇妙な物語のような不思議な読後感ですね。

 これから続きがあるのでしょうか……(〃'▽'〃)と、勝手に期待を膨らませてしまいましたが、いかがなのでしょう?

(リレーの一話目に良さそう、とか思ってしまったのでした(^^ゞ)

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