表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ELEMENT 2015春号  作者: ELEMENTメンバー
テーマ創作「桜」
10/14

春の樹(作:葵生りん)


 脇にふんわりとしたぬくもりを感じながら、心地良い疲労感にとろとろとまどろんでいた。


 ふと、あたたかな風が頬を撫で、ひらりとなにかが頬に舞い降りた。

 

 頬についたものを手にとり、そっと重い瞼を持ち上げる。


 それは、先の割れた優しい桃色の花びら一枚。


 ぼんやりとそれを見つめていると、また、ふわりと風が吹いた。

 その風に誘われるように目を向けた窓の外には、心を奪われるほど美しく咲き誇る、満開の桜。





 風に乗ってひらりと舞い込んできた花びらが、脇で寝ていた赤ちゃんの鼻先にくっついた。


 ぷしゅんっ!

 ふ、ぇ……ふぇぇえぇん……


 くしゃみをして泣きだした生まれたての男の子がかわいらしくて、たまらずに笑いながら抱き上げた。




 そう、その抱き上げた瞬間に、決めた。




 いっちばん最初の贈り物。

 一生使い続ける大事なもの。

 半年も前からずっとずっと悩んで、決められなかったけれど。


 決めたよ。

 君の名前は《春樹》


 あの桜の樹のように、優しさとあたたかさで、人を癒してくれる子でありますように――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ