1/2
勘違いも甚だしい。
人間が認識している世界ほど曖昧なものはない。
彼は、平和な日常を送りながらもそう考えていた。
そんな彼に女神が与えた能力は二つ。
『不老不死』
『念動力』
「何の能力も持ってなくても、誤認させるのは簡単なのに」
「こんなの、楽勝過ぎるだろ。」
彼は嗤う。曖昧な現実で苦しんでいる弱者を。
彼は嗤う。悲劇のヒロイン気取りの勘違い女郎を。
それ故に、彼は弱者を
導き、巻き込み、面に立たせる。
さぁ、喜劇を始めよう。
誤認と誤解と勘違いだらけの彼にとっての喜劇を。
他者にとっての悲劇を。