第一話「メガネ君と俺」
いよいよ投稿です。
勢いだけで書き上げました。
序盤で見限られないよう精進いたしますので、どうかよろしくお願いします。
広大な森の奥。
みずみずしい木々に囲まれた所にその城はあった。
灰色の石造りの城。
円状の空中庭園のようなものが各層に見える。
ウェディングケーキに皿が刺さっていると言ったら伝わるだろうか?(笑)
その最上階に俺はいた。
「またですか叔父上」
「またって言うなし」
俺の目の前には、少し膨らませた頬を上気させ、呆れかえる少年が立っている。
銀髪だが、見る角度によって様々に色を変える髪。
大きな青い瞳。
目を見る者を引き込むような深い青を携えている。
こいつの名前はリュウオウ。
少年に見えるが、年齢は気が遠くなる程いっている。
あまねく精霊達を従え、精霊界の頂点に立つ、精霊王だ。
ちなみに俺のかわいい甥っ子だ(笑)
あ、俺?
俺の名前はまだない。
嘘だ。俺はオズ。
けど、魔法使いじゃないよ(笑)
俺は前精霊王の兄だ。
え?父が死んだら、普通は兄が継ぐんじゃないかって?
ま、そうだ。
けど断った。
ついでに言うと、弟が死んだ時もだ。
皇位継承権を持ち出して、俺を担ごうとする連中もいたが、丁重にお断りしたよ。
めんどくさ、、じゃなくて、俺が継ぐと色々波風立つのよ。
何でかって?
あんまり言いたくないから聞かないでちょ(笑)
けど、どこでもそうだけど権力欲って際限なくてねー。
精霊界でもそうなんよ。
恥ずかしい話だけど、みんなが思ってるより、精霊も俗っぽいんだわ。
リュウオウが王になって、しばらくは臣下も大人しくしてたんだけどさ。
そのうち、不満も欲も減らない連中が、モゾモゾ動き出してさー。
リュウオウ殺して、俺を王にして実権握ろう。
みたいなね。
ま、若いとはいえリュウオウは殺されるほどバカじゃないし。俺も王なんかまっぴらだ。
堅苦しいのは嫌いだ。
といって、謀反人達をぶっ殺しても、また次が出てくるんだよ。
何度やっても同じ。
いたちごっこなんだねー。
という訳で。
こういう厄介事には、関わらないのが一番!
逃げるに限る。
俺が失踪したら、少なくとも俺を利用しようとする連中もあきらめるだろうしねー。
なんてな勝手な理由を見つけつつ、人間界に隠れようと。
それを伝えにリュウオウの所にやって来たんだわ。
ま、人間界に行く理由はもう一個あるけど、秘密だ(笑)
で、最初のセリフに戻るんだ。
「またって言うなし」
「しかし。ついこないだ、アニメがどうとか言って、ニホンに下りられたばかりではありませんか?」
「あれは趣味だ」
「趣味って!?叔父上、少しはお立場をお考え下さい!」
「なーに言ってんだ。お立場を考えたから、人間界に隠れると言っている!」(キリッ!)
「くっ!屁理屈ばっかり!」
相変わらずこいつは堅くていかん。
頭はいい。非常に聡明。
顔も、まあいわゆる美少年だな。
性格もいいぞ!優しくて男らしくて、正義感も強い。誰かの為に労を惜しまないヤツだな。
あれだ、アニメの主人公みたいなヤツだ。
俺とは真逆だな(苦笑)
けど、この生徒会長のような堅苦しい性格は無いわー。融通ってもんが無い。
だからなかなか臣下が付いて来ないんだが。
これが若さか(キラーン)
何でも無い。言ってみたかっただけだ。
とりあえず説得しないとな。
「いいかよく聞けメガネ君」
「め、メガネ君って何ですか?」
「気にするな、雰囲気だ。生徒会長っぽいだろ?」
「は、はい?」
「俺が神界や、魔界に行っても目立つから、すぐ発見されてしまう」
「そ、そうですね、叔父上は色んな意味で規格外でいらっしゃいますから」
そう言いつつリュウオウは、少し羨ましそうに笑った。
いける!もう一押し!
「では俺が力を抑えて人間界に潜り込んだら?」
「すぐには見つけるのは非常に困難ですね」
「正解だよコ○ン君!」
「はあ?」
「気にするな、ノリ悪いなお前。という訳だ。俺は人間界に行って来る」
「理由はそれだけですか?」
リュウオウの目が鋭く光る。
やべーバレてる(汗)
「チッ(笑)」
「チッ。じゃありません!」
「お前に嘘は付けんな。実はな、彼女が欲しくなった。エヘ」
「お、叔父上ー!?」
「だってさー寂しいじゃん?それに人間の女の子って可愛いんだぜー?神とか天使は綺麗だけど、どっかズレてるし、そもそも俺とは合わん!悪魔は、小悪魔可愛いー。っつー言葉があるように確かに茶目っ気タップリで可愛いんだが、そもそも悪魔だからな(笑)付き合うのも一苦労だ!人間の女の子は違うぞ。天使と悪魔、両方を兼ね備えているんだ。どうだ?素敵だろう?」
「ど、どうだと言われましても、、、」
「という訳で、【彼女が欲しくなりました。】では行って来る。後は頼んだぞ会長」
「会長って誰ですか!?というか話はまだ終わってません!」
「お前も早く彼女の一人でも見つけろ!」
「か、彼女って?私はまだ世継ぎはいりません」
「アホか。そーいう事じゃねーよ」
「???」
リュウオウは怯みつつも、赤くなった。
やっぱりな。それ!トドメだ!
「たまにお前んとこに遊びに来る天使のあの子な?お前、あの子に惚れてるだろ?」
「な!?あの子!あの子はそういうんじゃ!!」
「がんばれよー!叔父さんは応援しているぞ!」
そう言うやいなや、俺は瞬間移動で姿を消した。
一人残されたリュウオウは、呆然としつつ、
「彼女、、、」
などと呟いていたが、やがて再起動した。
「まったくあの人は」
最初苦々しい顔になったが、それは苦笑へ、やがて笑いへ変わっていく。
羨望と家族への慈しみの表情になったリュウオウは、本人へは届かないであろうが、ついさっきまで愛すべき叔父が立っていた空間へ向かって、こう言い放った。
「叔父上。どうかご無事で」
読んで頂きましてありがとうございました。
ちょっと補足します。
主人公が何故精霊王にならなかったのか?何故主人公だと波風が立つのか?疑問に思われるかもしれませんが、後々明らかにしていきます。
《登場人物紹介》
オズ(本名ではありません)
性別・男
年齢・1000歳くらい
特徴・主人公です。見た目35歳くらいです。現精霊王の叔父にあたります。かなり無計画でグダグダな性格です。
リュウオウ
性格・男
年齢・360歳
特徴・現精霊王です。堅物でウブです(笑)基本的にとてもいいやつです。叔父に対しては尊敬と愛情を持っています。彼の自由な生き方を羨ましくも思っています。ちなみに作中でも語られていますが、現在初恋中です(笑)オズの言った事は図星でした、流石、主人公(笑)