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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ふゆ彦
第三章 吸血鬼も歩けば勇者に当たる

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第60話 シュラの被害②

 商店街で、ルクスはペコペコと頭をさげていた。

 

 誰かに怒られたわけではない。

 ルクスが勝手にペコペコしているだけだ、電話の相手に。

 

「ごめんね? 卯実さんにきくまで、あの騒ぎの”残業ダイスキ部”がるくっくんの事務所だって気づくのが遅れて」

 

「いえ、ほんとーに大丈夫ですよ。深玲さまに迷惑をかけるわけには……」

 

 ピースメーカーギルドにも、昨日今日と肉が卸されず、ルクスは商店街に肉を買いにきていた。

 ブラックバーニーとレッドバーニーの肉はあるが、ユミエラのために色んな肉を買っておきたい。

 

 しかし、事務所はゴタゴタして依頼も止まっている。

 しかたなしに、マナアシで貯まったお金を崩しながら生活をしていた。

 

 事務所の給料は、アパートの賃貸更新であえなく吹っ飛んで消えている。

 貯金がなければ、詰んでいた。

 

「私の配信では、砂漠ダンジョンで遭難したときに親切にされたって流しておくね?」

 

「ありがたいですが、それで深玲さまが叩かれて困るので……関わらないほうがいいですよ? 世の中的にも半妖には厳しいですし」

 

 城石深玲は、探索者だが菱石商事をスポンサーにしている。

 ピースメーカーへの支払いなどは、事務が対応しただろうし名前を知らなくても仕方ない。

 ルクスとしては、一ファンの騒動に電話をくれるだけで神対応である。  

 

「それでも、私は私のやりたい方向で行くよ。事務所からもオッケーでたし。あ、るくっくんの名前をだしたりはしないから心配しないでね」

 

「そこは心配してないですよ、うっかりな俺と違って深玲さまはプロなんですから」

 

「わかった」

 

 じゃあね、と深玲の通話が切れる。

 推しとの生の電話に、ルクスは心臓がドコドコ言いながらスマホをしまう。

 

「この肉と、こっちの肉と、あと、あのひき肉もください」

 

 肉を買いにきたことを思い出して、ルクスは肉屋で大量の肉を買った。

 ICカードで支払って、買った肉はアイテムボックスに入れる。

 

 今日の分は、既に朝から三食分作ってあった。

 ヴァンパイアハーフは、ステーキ肉のような肉が好みだが量を割りますためにはひき肉も必要だ。

 

 にんにく抜きの生姜で下味をつけた餃子や、チーズインハンバーグを作ろう。

 しそや大葉の入った餃子も、よさそうだ。

 ブラッドソースであれば、ユミエラはおいしく食べられるはずだ。

 

「え、また電話!? もしかして、また深玲さま……!!?」

 

 いそいそとスマホをだすと、着信の名前をみると相手は卯実賢人だった。

 

「もしもし、賢人くん?」

 

「父さんから聞いたけど、あのシュラともめてるんだって?」

 

 ルクスは肉屋から離れて、八百屋のすみっこへ移動した。

 

「匿名なんだけど、やっぱり知られてるの?」

 

「采月ホールディングスの専務かなんかが、個人的な用向きで『残業ダイスキ部にはなるべく仕事を頼むな』って話をもちかけてきたらしいよ、坊ちゃんの意向で、って。大丈夫なの、ルクス。事務所ひあがってない?」

 

「困った人だなぁ、個人の恨みを会社に出すなんて……でも大丈夫だよ。ピースメーカー事務所でSランカーが二人もいるのは、うちしかいないから。ユーナ先輩の癒しの糸もそうだし、ネオ先輩のドラゴンアイも替えはきかないからね。回さないようにしたって、Sランクの仕事は絶対うちに回ってくるんだし。はぁぁ、分かっててうちに依頼だす人たちが大変だなぁ。板挟みだねぇ」

 

「ルクスらしいや、心配しなくっても平気そうだな」

 

 賢人の父、誠二はわざと息子に漏らしたのだろう。

 自分から電話すると角がたつと思って、賢人に話したのだろうか。

 

「あ、待って賢人くん。賢人がかけてきた電話で申し訳ないんだけど……禍津シュラのスキルって知ってる?」

 

 またグランディアでぶつかったときに、ノーデータよりは情報が欲しい。

 配信をしていたということは、シュラの能力はある程度知られているはずだ。

 

「えーと、魔法攻撃無効だろ。あと経験値倍増のスキルもある。ノクティス・コンステレーションっていうスキルは、見えない斬撃を連続するやつで、スキルオーブは2千万だったらしいよ。あとはアイテムボックス・Aとかかな……多分全部は配信で出してないと思う。あとは全反射聖盾っていうチートスキルオーブも買ってて、攻撃のすべてが反射で攻撃した相手にはねかえるやつ。あれでシュラはSランクチートで、人気者なんだよ」

 

「うーーーん、強すぎるなぁ……」

 

 しかも、シュラはネクロマンサーで強者を引き連れている。

 戦えば倍の成長速度で育ち、反射スキルに見えない攻撃。

 

 まるでラノベの主人公のようだ。

 そこまでチートだからこそ、あれだけのことをやらかしていくのか。

 

「え、もしかしてシュラと戦う感じ? それやばくね? いくらルクスでも死んじゃうじゃん……」

 

「うん、かなわないかもしれないけど……俺は卑きょう者には負けたくないよ」

 

 ドワーフの長のバルガンが、封印してまではねのけた魔剣の素材。

 あやうく村が消えそうだったたぬき獣人たち。

 

 町の生態系を壊されたリザードマン。

 転移石の製造のために捕らえられたというエルフたち。

 

 きっと、ルクスが知らないだけでもっとたくさん悪行は重なっているはずだ。

 放置すれば、ユミエラのためのアイテムがまた危うくなるかもしれない。

 

 こちらから攻撃するつもりはないが、襲われて泣き寝入りするつもりはない。

 いまや、ルクスが怒らせたせいで事務所にも被害が及んだ。

 

 この決着は、いずれ絶対に終わらせるつもりだった。

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