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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
第三章 吸血鬼も歩けば勇者に当たる

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第57話 契約条件

「でも、気になるな……あのシュラってひと、絶対報復にきますよね」

 

「そりゃあ、あれだけ笑われたらねえ」

 

「そもそも、たまたまかちあったとはいえ、ここに何の用だったんでしょう。半妖や亜人を忌み嫌うひとが、わざわざドワーフの郷に?」

 

 バルガンの家で、ルクスたちは着替えていた。

 アリアは寝室、ケニーは居間で装備を着込む。

 

 ルクスは、冬服に着替えただけだ。

 寒いが、家の窓はあちこち開けている。

 酒場の匂いがツラすぎて、全員少し酔いかけていた。

 

「それは、魔剣のせいじゃな」

 

 風呂あがりのバルガンが、顔をぬぐいながら居間に入ってきた。

 あまりにも酒くさいので、三人でお願いしたのだ。

 しかし、あまりにも出てくるのが早すぎる。

 

「魔剣って、魔剣ですか……?」

 

「魔剣というたら、魔剣じゃ。他になにがある? あの山のふもとを見ると分かるじゃろ……凍り付いたあのふもとを」

 

 ルクスが、空けた窓から身を乗り出す。

 確かに、来た時には見えなかったがバルガンの家の中から、凍り付いた箇所はよく見えた。

 

 不自然に、五キロ以上の大地がびっしりと氷におおわれていた。

 しかも、スケートなどができないほどあちこちが、いびつにヒビと段差が入っている。

 

「先月オーデュイン卿が来た時に、魔法でああするように頼んだのじゃ。シュラの小僧が、魔剣の素材の魔結晶を狙うでな。あの氷に触れれば、どんな装備をしようと一瞬で足など全部凍り付くようにしてあるんじゃ」

 

「へぇー……それでシュラが触れないように――えっ!? 先月きたんですか、親父が!!」

 

「そうじゃ。なんじゃ、知らんのかい」

 

「……なんで、一回帰ってこないんだ、あのオヤジは……」

 

 窓をしめながら、ルクスはため息をつく。

 バルガンは、かかっと笑った。

 

「グランディアの諸国が、オーデュイン卿を頼っておるからなぁ。エルフの郷も、転移石を作る魔導士がさらわれておる。わしらドワーフは、魔結晶を封じて邪魔したが……いつまで持つか」

 

 バルガンの顔がかげった。

 それを隠すように、バルガンはまだ乾いていないひげを引っ張る。

 

「しかし、ちょうどいい。アーマードベアの討伐に困っていたところよ。しゃくだが、あれはエルフにしか倒せんやつでな。ケニーの力が借りられれば、たくさん倒せるじゃろうて」

 

「そんなモンスターがいるんですか」

 

「炭鉱では魔鉄鋼がとれるが、ミスリルホースやアダマンタイトサーベントの素材もいくらでもいる。倒せばそれだけ買い取るさ。アイスブルはわしらの主食じゃし、畑の氷小麦(コールドウィート)は酒の材料じゃ」

 

「おおお」

 

 寝室があいて、冬支度のしたアリアが出てきた。

 帽子に耳当てまで、ばっちり完備だがこれは元はルクスのアイテムボックスに入っていたユーナのものだ。

 

 砂漠ダンジョンの時に入れたものだが、深玲との連絡先交換に浮かれて出すのを忘れていた。

 結果オーライといえよう。

 

「お待たせしました。次回からは、ちゃんと持参しますです」

 

「して、討伐はどうするのじゃ」

 

「俺は氷小麦(コールドウィート)でも……」

 

「それだと、一日働いても4千ディニーじゃな」

 

 アリアは、マナ石釘バッドを肩に乗せてあでやかに笑った。

 

「当然、ミスリルホースとアダマンタイトサーペントを狙いますです。ね、ルクスさん?」

 

「はい……そうなりますね……」

 

 ルクスは、肩をがっくり落とす。

 協力してくれるメンバーが倒す気まんまんなのだ。

 モンスターの名前からして、かなり強そうなのだがここは頑張るしかなさそうだ。

 

「僕は、エルフにしか倒せないというアーマードベアを狙っていくよ」

 

「よしよし、頑張れ若者!! 働いたあとの酒はうまいぞぉ~!」

 

 バルガンの笑い声を背にして、ルクスたちは外にでた。

 冷たい突風の中、コーネルの郷は慌ただしく動いている。

 

 ルクスは、気合をいれなおした。

 

 ここで引くほど、甘い覚悟ではない

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