第五話 生き延びて
「あ、生存者出てきました!」
マナ懐中電灯の強烈なフラッシュに、ルクスは目を焼かれた。
十二月の夜は早い。
「ピースメーカーの手配やめろー、探索者掲示板に至急応募をだせ!」
ルクスが落ちたダンジョンは、バリケードで封鎖されていた。
あちこちに照明があるが、ルクスがダンジョンで拾ってきた小粒マナ石で五年は稼働できるのだ。
目をしばしばさせるルクスは、複数人の人に囲まれる。
「おケガは? すごい服がズタズタだ……」
「よくご無事で。もしかして探索者の方ですか?」
「いえ、ピースメーカーです」
照明がルクスの赤い瞳に反射する。
保護服の人々の反応が、明らかに下がった。
悲しいことだが、ルクスはこうした反応に慣れている。
ピースメーカーはダンジョンの厄介ごとを片付ける半妖ばかりで、構成されている。
人間でダンジョンに潜るといったら、探索者でしかない。
「ダンジョンのものを持ち帰ったりしていませんか?」
心配から一転、口調が探られるものになった。
「あ……倒した魔物と……マナ石を二粒ほど」
「だめでしょう、アンタ。魔物はいいとして、マナ石は探索者さんのものだからね」
言わなければバレないというわけでもない。
掘り起こした跡が残っているので、あとで調書から家に訪ねてきて罰金を取られるよりはマシだ。
アイテムボックスから取り出すと、ひったくるようにして取り上げられてしまう。
幸い、魔物はそのままでもいいというので、それを臨時収入に当てることにした。
「ほんとにとんでもないモンに巻き込まれちゃったなーー」
調書にサインをして、ルクスは当初の目的の半妖専門コンビニへ向かった。
人の行き来は少ないが、服がズタズタなルクスは目立つ。
コンビニの前に立つと、ドアが軽快に開いた。
「いらっしゃいま~……ルクスくん? 服どうしたの」
半妖専用コンビニ、「すねいく」のレジ前にいたのは、お目当ての雨宮ケニーだった。
ケニー当人も半妖で、金髪碧眼のハーフエルフの生まれだ。
「ケニー先輩~先輩のところに行こうとしたら単発型ダンジョンに巻き込まれちゃって~」
ルクスはすかさず泣きをいれる。
まともに話が通じる先輩はケニーだけだ。
「もしや……また金欠?」
「はい……毎度のことですみません。ケニー先輩しか頼れなくって~」
ケニーは特に呆れなかった。ルクスがここで借りれないとなると、どんな地獄を見るかよく知っているのだ。
「待っててね……ヴァンパイアハーフものはダブつくものが多いから、倉庫に廃棄が迫ってたやつが……」
ケニーはただのバイトではない。このコンビニ”すねいく”のオーナーの息子だ。
在庫や発注も任されているので、実はルクスの為に最近多く発注している。
そんなコンビニバイトをしているが、ケニーもまたルクスと同じピースメーカーのグループの一人だ。
もっとも組んでる先輩の担当が違うため、二人が同時に任務についたことはない。
仲がいいのは、事務所で雑用に出されるのが多いせいだ。
「単発型ダンジョンに巻き込まれて、無事? だったんだね」
服の残骸をみてはてなマークがついたが、あれだけの怪我の名残はない。
ただ、破れた箇所でどれだけ怪我をしたのかがわかってしまう。
「なんか、めちゃくちゃ毒系のダンジョンでした」
「……ルクスくんって毒消し持ってた?」
「いやーオレは再生するからって持たせてもらえなくってぇ~」
段ボールを漁りながら、ケニーはため息をついた。
いつものことながら、扱いが酷すぎる。
悲しいことに、その光景が見えるようなのがまた可哀そうでもあった。
そんな中、泣き言をいいながらついていくルクスは、芯が強いのか何なのか。
そこでようやく、ケニーはお目当ての段ボールを見つけ出した。
ケニーだけが、まともな先輩です。
ルクスが助けを求めなかったのは、コンビニの仕事中なのを知っていたからです。
同じ事務所ではたいていますが、ケニーはシフトが違います(朝晩・遅番など)
なおかつ、開いているときはケニーは自分の家のコンビニの手伝いをしています。




