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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
第二章 可愛い後輩には旅をさせろ

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第48話 厄介なダンジョン仕事②

「うわぁぁぁぁぁ、この暑さ、異常気象ですねえ」

 

「いや、砂漠だからな」

 

「なにバカいってるの、ゲボク」

 

 砂漠ダンジョンに足を踏み入れた三人は、砂に足を取られつつ前進していた。

 こんな環境でも、ダンジョンの中ではスマホは使える。

 

 ユーナは、ダンジョンマップを見ながら方角を指示した。

 

「一日目のオアシスには、依頼者はついていたけれど、二日目の約束した場所には現れなかったそうよ。その日は風が強くて、おそらく道を見失ったみたい。オアシスからは、一応居合わせた探索者が探したそうだけど、見つからずに三日たって、うちに依頼がきたってこと」

 

「そんなぁ、じゃあ泊まりですね? ユミエラにメールしなきゃ」

 

 気づくのが通年遅い男、ルクス。

 先頭を歩くネオが、まぶしい太陽を見上げた。

 

 ダンジョンの中の、疑似太陽だが。

 

「こっちから迎えにいかせたわよ、ユミエラなら」

 

「うわぁぁぁぁぁ、神のようなユーナ先輩が再び!!」

 

「べ、別にこの間のジャイアントオークの肉のお礼よ!!」

 

 ツンデレのユーナは、ネオにオイルコンパスを渡した。

 ネオとユーナはサングラスをしているが、それでも砂の反射が眩しい。

 

「そういえばルクス、城石深玲ってどんな配信者なんだい?」

 

「深玲様ですかぁ? 二十歳の新進気鋭のAランク探索者ですね! 元はダンジョンアイドルで、テレビで育成されて歌って踊れて戦えるアイドルだったんですけど二年前にグループを卒業して、ソロデビュー。あっという間に昇格試験を乗り越えて――」

 

 唐突に、推しについて聞かれたルクスはその言葉の背後に気が付かない。

 珍しく先輩たちが聞いてくれるのをいいことに、砂漠の中、三十分は深玲のことをとうとうと語る。

 

「スキルはなにがあるんだい?」

 

「必殺はアイシクルランスですね! 氷魔法・Sを持っていて、それで――」

 

「アイテムボックスは持っているの?」

 

 一つ聞くと、山のように返ってくる返事と、灼熱の熱さにげんなりしながらユーナが遮る。

 砂漠用の靴を履いているが、普段の倍は疲労がきていた。

 

「アイテムボックス・Dを持っていますね! アイテムボックスのスキルオーブは、探索者には大人気ですから、それでもそうとう高かったそうですけど。でも、Dって、登山バッグ二個くらいしか入らない広さですよねえ。あんまりアイテムボックスって思えないんですけど、深玲様はいつもそこに食料ばんばん入れて探索するそうなんですよー。それで、ある時ダンジョンで――」

 

「じゃあ三日遭難しても、まだ余裕ありそうね。問題は体力かしら?」

 

「怪我かもしれないよ。今時スマホのバッテリーを持っていないとは思えないから、連絡とれないというのが、謎だね」

 

 ユーナとネオに会話をぶったぎられて、ルクスはきょとんとした。

 首にスポーツタオルを巻いて、一人旅行気分のような恰好だ。

 

 UVジャケットの下は半袖、かろうじて帽子をかぶっているが、近所のコンビニに行くのに大差ない恰好だ。

 

「なにか、今の流れだと深玲さまが救援求めてるような……」

 

「あら、ゲボクのくせに察しがいいじゃない」

 

「確かに。これでも気づかないと思ったが」

 

「ええええええーーーーーーーーー!!!! 三日間連絡とれない探索者って、深玲さま!?」

 

「反応ニブすぎない??」

 

「暑さでショートしたかな? いつも通りか」

 

 飛びあがったルクスへ、冷ややかな反応をする二人。

 しかしルクスはそれどころではない。

 血相を変えて、前後左右を見回す。

 

「一日目のオアシスまではいたんだから、こんなところにいるわけないでしょ」

 

「この辺の頭のわるさは、いつも通りだな」

 

「い、いいい急ぎましょう!! オアシスまで直行!! 二時間で着きますか!?」

 

 慌てるルクスの声をかきけす、鳥の鳴き声がこだます。

 頭上に、ロックバードが四体、翼を広げていた。

 

「早くても10時間はかかるわよ! それより、目の前の敵に集中しなさい」

 

「ロックバードか、ドラゴンブレスはまだ保留したいな」

 

 絶ち糸の魔女と呼ばれるユーナの糸が光る。

 上空へと飛んだ硬質な糸は、巨大なモンスターの首を二体刎ねた。

 

 ネオは、自分のマナブレードを力いっぱい空へとばす。

 尋常じゃなく重たい武器は、投擲されて凶悪なハンマーとなってロックバードの翼をへし折った。

 

 これらは、遭遇して二秒以内に行われた。

 ルクスは、ようやく鬼哭丸を構えたところだ。

 Sランクとの差が、ここではっきりと出ている。

 

「飛んでるものは、相性が悪いからさがってなさい」

 

 ユーナのミスリル糸が、指先から伸びる。

 再び、その強烈な糸はロックバードの首を折った。

 

「やっぱり、空中戦はユーナが圧勝だな」

 

「逆に、空中以外は任せるわ。……熱すぎる。ルクス、回収したらアイスを出して。高い奴」

 

「はい!!! いつものアレですね」

 

 アイテムボックスに手を突っ込んだルクスは、すぐに手を引っ込める。

 砂漠地帯で一番危険な毒を持つ、デザートスコーピオンが、ユーナを狙って毒針を狙いすましていた。

 

「ユーナ先輩、危ない!!」

 

 ユーナをつきとばして、ルクスは手を伸ばす。

 鬼哭丸は、間に合わない。

 

 毒針が、ルクスの体を刺し貫いた。

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