表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ふゆ彦
第二章 可愛い後輩には旅をさせろ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/61

第43話 決意のルクス(遅い)②

 どこから現れたのだろうか。

 

 ジャイアントオークの群れが、フォルン村を囲んでいる。

 その巨体は、村を踏みつぶすほどではないにしろ、大きい。

 

 ルクスの鼻が、油と焦げた匂いを感じた。

 城壁の上から、火油でも流したのだろうか。

 だが、一体も動きの鈍ったオークはいなかった。

 

「ルクス、二手に分かれるぞ――出来るね?」

 

「はい!!!」

 

 いつもなら、確認などなく置き去られている。

 しかし、ここにSランクピースメーカーのユーナはいない。

 

 アイテムボックスがない、武器のみのネオと、ルクスだけだ。

 真剣なその瞳に、ルクスは深く頷いた。

 

「僕は向こう側から狩る! ルクスはそっちから狩れ! いちいち再生している暇はないからな」

 

「ええっ!? そんな、俺から再生とったら何が残るんですか!?」

 

「回避しろ!! 狙ってよけろ、バカルクス!!」

 

「ああ!! なるほど!」

 

 他者に聞かれたら唖然とするだろうが、ルクスの中に”避ける”という選択肢はなかった。

 どうせすぐに再生する――という前提でいたので、頭の片隅にもない案だ。

 

 馬鹿と言われても仕方のないことだ。

 ルクスは鬼哭丸を振りかざして、ジャイアントオークの中に飛び込んだ。

 

 ――けど、回避ってどうやればいいんだ!

 ジャイアントオークの斧がルクスを襲う。

 

 ルクスは、たたらを踏んだ。

 今までなら、左肩をもっていかれつつ、右手で攻撃――となっていたのだが、回避の仕方が分からない。

 なんとか避けたが、別の個体に背中の肉をそがれた。

 

「っ!! シャツが死んだ! 脱いどけばよかったぁぁ」

 

 いつもの遅い後悔をしながら、ルクスはなんとか回避しようとしては攻撃を食らう。

 遠くのほうで、ネオのドラゴン・ブレスがジャイアントオークたちを一直線状に倒すのが見えた。

 

 ネオの付近のモンスターが、一瞬で消える。

 空白地帯に踊りこんだネオは、マナブレードでオークを追撃していった。

 

「……俺も頑張らないと!!」

 

 服がズタズタになりながらも、ルクスは踏み込んだ。

 すぐに回避が身につくわけがない。

 

 これを好機に、学ぶのだ。

 

「――こっち!!」

 

 右に左に移動しながら攻撃をしているうちに、ルクスの中にも余裕が出てきた。

 焦ったらまたデーモンモードになる。

 

「落ち着け、落ち着け――」

 

 素材の回収も、今は思考放棄だ。

 損得よりも、今身に着けるべきは回避なのだ。

 

 回避が出来るようになれば、シャツの心配をしなくて済む。

 ジャイアントオークの右腕を斬り飛ばし、心臓をえぐる。

 鬼哭丸の切れ味は冴えわたり、ルクスは何体倒したのか分からなくなってきた。

 

「ルクスーー!! がんばれーー!!」

 

 城壁の上からカゲロウの声がする。

 ジャイアントオークの注意が、上にそれてルクスは焦った。

 

「カゲロウ、出てきちゃだめだーーー!!!」

 

 モンスターの敵意が煽られ、ルクスはジャイアントオークの足元を攻撃した。

 関節が硬く、二度、三度と刃を振るって、足場を崩す。

 

 よろけてきたジャイアントオークを避けたルクスは、止めをさした。

 上を見上げると、カゲロウの頭は引っ込んでいる。

 

 かすかに、誰かがどやしつけた声がして、ルクスは安堵のため息をもらした。

 

「ルクス!! 魔力ポーションをだしてくれ! もう二撃、ドラゴンブレスを使う!」

 

「はい!!」

 

 ルクスは、ジャイアントオークの手をかいくぐりながら、ネオの方向へ走りだす。

 ネオのドラゴンブレスは強いが、魔力消費が大きい。

 ルクスは、アイテムボックスに手を突っ込んで魔力ポーションを出した。

 

「ルクス、投げろ!!」

 

「はい!!!!」

 

 ルクスは、右腕に力をこめるとネオにむかって瓶を投げる。

 

「へたくそ!!!」

 

「すいませーーん!!」

 

 ポーションは、ネオから大きく右に軌道をそれていき、ネオは大きくスライディングした。

 なんとか割れずに、魔力ポーションはネオの手のひらに収まった。

 ジャイアントオークが、倒れたネオに群がっていく。

 

「ネオ先輩!!」

 

「気にするな! よけるんだよ、ルクス!!」

 

 ゴウっと風に熱がはらむ。

 ネオの射程距離を知るルクスは、大きく城壁に寄った。

 

 そのルクスの、一メートル手前までが熱いブレスで空間が焼かれる。

 容赦のない二撃が、続けて放たれて視界が広がった。

 

 ルクスは周りを見渡す。

 四肢の一部を失って転がるジャイアントオークたちが多く、五体満足なものは少なくなった。

 

「最後まで畳みかけるぞ、ルクス!!」

 

「はい、ネオ先輩!!!」

 

 ルクスは、鬼哭丸を握る手に力を込めた。

 最後まで、倒しきる。

 

 目の前の敵が、消えるまで――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ