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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
第二章 可愛い後輩には旅をさせろ

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第33話 異世界外泊

 ルクスは背伸びをした。

 

 初めてグランディアで一泊したが、少々寝不足だ。

 町には魔除けがおかれているので襲われないが、ルクスたちは湿地帯の丘にキャンプしたのだ。

 

 交代で見張りに立ったものの、時々沼からマッドクロコダイルなどが上がってきたりして熟睡はできなかった。

 マッドクロコダイルの肉はおいしくないが、毛皮は高級品に入る。

 

 臨時収入だと思えば可愛いものだ。

 それに、ルクスだけが食べるならばおいしくなくても問題ない。

 

「朝ごはん作りますよ~~」

 

 ルクスはレッドバーニーの肉を照り焼きにして焼き、野菜と卵でバンズに挟む。

 野菜たっぷりのポトフの具は、野菜ダンジョンの野菜を使っているので栄養価が高い。

 やがて長い髪をしっかり手入れをしたアリアと、少し眠そうなケニーが起きてくる。

 

「いい匂いだねー」

 

「朝からルクスさんの手料理を食べられるなんて、感激です!」

 

 睡眠時間が減ったというのに、アリアだけ肌がつやつやに潤っていた。

 ルクスが見張りの時間の間、こっそりルクスの寝袋の匂いを嗅ぎまわったいたせいだと、ケニーだけが知っている。

 

「それで今日の予定だけど――ルクスくんはまだマナアシをとるの?」

 

「う、うぐ……本来のシルバースライムを探さないのはおかしいですよね……俺もシルバースライムを探しに……」

 

「昨日ケニーさんと探しましたが、索敵には私のドラゴン・アイが最も適してるです。一日でスライムもそう増えないので、引き続きルクスさんは金策でよいかと」

 

 レッドバーニーの照り焼きバーガーを食べながら、ケニーが少し考え込む。

 

「今日もできる範囲で草木を増やしていくけど、この町の依頼に僕は必要ない気がする。アイテムボックスは二人ともあるし、アリアちゃんが索敵してルクスくんが追い込めば、シルバースライムを見つけさえすれば解決するしね。僕は日本で、リザードマンが買い取りたい品物を備えておくよ。転移石も使う量が減るでしょう?」

 

「俺とアリアちゃんだけで大丈夫ですねぇ……ワイバーンも出るし」

 

「なんとかなってたじゃない」

 

 ケニーはポトフを口に運ぶ。

 野菜のうまみと甘味にバーニーの油が混じって、おいしさのユニゾンを奏でている。

 

 ルクスの料理は、ユミエラの為にレベルが高い。

 

「私は異存ないですよ……二人きり……デュフフ……」

 

 ケニーはルクスの無事を、二つの意味で祈ることにした。

 ユーナが変態兄妹だと言っていた意味を、体感しつつある。

 

「おお、こちらに泊まられたのですか、ルクス様」

 

 リザードマンの戦士を引き連れたガイルが、顔を出す。

 大きな木の陰にテントを立てていたので、気が付かなかったようだ。

 

「あ、お邪魔しています、ガイルさん」

 

「お泊りになられるのでしたら、お部屋をお貸ししましたのに……よくご無事で」

 

「マッドクロコダイルに片足もってかれましたけど、あとはとくに問題ないですよー」

 

 普通ならば大問題だが、デーモンハーフでもあるルクスにとっては大したことがない。

 

「今度からは、町に止まってくだされ。宿はいつも閑散としてますからな」

 

「助かります~~あ、そうだ……! もし地球からしか手に入らない、リザードマン向けの食品を持ってきたら、買ってくれますか? 支払いは転移石で」

 

 ガイルは少し驚いたようだった。

 後ろの戦士たちもざわざわしている。

 

「それはもちろん……ただし、味にはうるさいですぞ。普段は生魚ばかりで飽き飽きしているのは事実ですが」

 

「少ししかないんですが……これを!」

 

 ケニーがアイテムボックスに手を突っ込んで、コンビニ商品を取り出す。

 昆虫マークが入ったパンと、肉団子のパッケージが出てきた。

 

 フォルン村で次がリザードマンの敷地と聞いたケニーは、自コンビニから持ってきたのだ。

 昨日はジャイアントワームなどで、うっかり話を流してしまったが量が少ないので今なら喧嘩にならないだろう。

 ルクスが提供した皿とフォークで、リザードマンの戦士たちは一口ずつそれを味見する。

 

「こ、これは……!!!」

 

 表情の変化に乏しいリザードマンたちに、衝撃が走った。

 

「う……うまい……!! 地球にこんなおいしいものが……!?」

 

「ガイル隊長、これは是非とも買い込まねば……!!」

 

「歯ごたえは足りませんが、子供や老人にも優しい食感!」

 

 ルクスは空になったレトルト袋の成分表をちらっと見た。

 苔や水草など、さすがのルクスも食べるのを遠慮したい成分が並んでいる。

 

「さすがケニー先輩だ……!!」

 

「まあね。これでマナアシの売り上げでうちのコンビニが儲かってくれると助かるっていう打算があるから、そんなに褒めないで」

 

 しかし、思った以上の大好評だ。

 これで、マナアシを売り、そのお金でリザードマン商品を爆買いし、それで転移石をゲットできるという棚ボタルートが出来上がった。

 

 あとはゲート付近の草原でシナきのこを集めるくらいだ。

 残った問題は、シルバースライムの捕獲だ。

 

 シルバースライムが手に入らなければ、アの実と交換してもらえない。

 

「よーーーっし、シルバースライムも見つけるぞーーー!!」

 

 湿地帯に、ルクスの気合いがこだました。

 

 まだ一体も見たことがない、レアモンスターは果たして見つかるのだろうか。

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