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気弱なヴァンパイアハーフは頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います〜  作者: 相木ナナ


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3/5

第三話 ダンジョンという毒

「あああああああ、折れたーーーーー!」

 

 絶叫したルクスの喉笛に、ポイズングレーウルフが食らいつく。

 血しぶきがあがって、ルクスは緑の地面に転がった。

 

 食い込む牙、それを両手で押しかえすルクスの力の均衡が破れ、ルクスがウルフの牙をもぎ取る。

 

「…………ッ」

 

 ひゅうひゅうと音をたてて呼吸するルクスは、まだ気管が再生していない。

 ルクスは、ポイズングレーウルフの牙をねじ切った本体の心臓に刺す。暴れるポイズングレーウルフに牙を貫通させると、魔物は痙攣しながらやがて動かなくなった。

 

 ルクス自身も、毒のせいで回復がかなり遅れている。

 

「はあ、こんなんで生きて戻れるのかなぁ」

 

 あとで、倒した魔物たちは、素材にしなければならない。

 いつもなら血抜きと食事をかねて、ヴァンパイアハーフのルクスが魔物の血を飲み干すのだが、今のところ毒持ちだらけだ。アイテムボックスに放り込むしかない。

 

「って、先輩に助けを求めるしかないじゃん!」

 

 助けた母子がダンジョン発生局に通報してくれたとしても、そこからどこのピースメーカーが引き受けるかで時間差が生まれる。

 それならば、先に自分から連絡をしてみても一縷の可能性があるかもしれない。

 

「もしもし……ネオ先輩?」

 

 マナ石で作られたスマホは、ダンジョンの中でも通話ができる。

 問題は、通話代が異常に高いことだ。定期的に取れると言っても、マナ石は探索者しかとってこない。

 スマホそのものが、高騰していると言っていい。

 

「やあ、ルクスじゃないか。一分五百円の電話をよくかけてきたな」

 

「今、単発型ダンジョンに巻き込まれたんですよ~! ケニー先輩のところに行こうとしたらいきなり発生してー」

 

「あはは、相変わらず面白いなルクスは。バカみたいにハプニングに巻き込まれるね! じゃあ、明日の集合に間に合うように帰ってこいよ」

 

 桐嶋ネオは通常運転だ。爽やかでいて辛辣。

 ドラゴニュートのハーフで、Sランクピースメーカーではあるが朝方のネオはもうすぐ寝る時間だ。

 

「それが、武器も壊れてどーにもなんないですよおおお! 助けてください! 土下座でもなんでもするんで」

 

「ユーナに頼んでくれ。新しい武器はツケで買うんだ。僕はもう寝るからね。おやすみルクス。土下座楽しみにしてるよ」

 

「いや、助けにきてくれないとしませんからね!? 土下座! お休みを言いに電話したんじゃないんですよ!? って切れてる!」

 

 電話代が無駄になり、ルクスは肩を落とした。

 次にかける先輩は、桐嶋ネオより強敵である。

 

 無駄とわかってかけるかどうか、迷うルクスはまたポイズンビッグフロッグに襲われた。

 短刀代わりに、ポイズングレーウルフの牙を振りかざして何度も突き刺す。カエルの返り血で、腕がピリピリしたが、ルクスは気にしない。

 

 そうして三体ほど倒してはアイテムボックスに入れることを繰り返すと、マナ石の群生にたどり着いた。

 宝石のように、青や水色に光るマナ石はゆらゆらと光っている。

 

 ルクスは、救助用で使うためのスコップをアイテムボックスから取り出して、小さなマナ石を掘りかえした。

 

「……ほんとはピースメーカーはマナ石に手を出さないけど、巻き込まれたし、いいよね?」

 

 言い訳をしながら、小粒のマナ石をアイテムボックスに仕舞う。これだけでも数万円で買い取られるのだ。

 

「そんじゃ、電話代確保したし――ユーナ先輩に!……もしもし?」

 

 今度の電話はなかなか繋がらない。

 コール音を数えながら、ルクスはポイズンビッグフロッグを二体倒す。

 

「――何の用なの? ゲボク」

 

 電話の向こうで、綺麗だが毒をはらんだ神城ユーナの声が聞こえた。

 ユーナは高圧的なお嬢様であり、ルクスの所属するピースメーカー『残業ダイスキ部』の創設者でもある。

 

 だが、残念なのはネーミングセンスだけではなく、ユーナ自身は残業は大嫌いなのだ。

 当人の言い分をもってすると、「自分以外が」残業を楽しめということだ。

 

「すっっっごく貴重なお時間なのは分かってるんですけど、はい。実は自分は今単発型ダンジョンで遭難しかけてですね……?」

 

「だから?」

 

「超強いSランクピースメーカー様であるユーナ先輩に助けてもらえないかなーー? なーんて」

 

「死ぬ直前になったら、助けてあげなくもないわね。死んだら教えて頂戴」

 

「えーーーーー! 死んだらどうやって連絡すればいいんですかぁ!?」

 

「自分で考えなさい、ゲボク」

 

 容赦なく電話は切れた。

 ネオの時より、やはり希望はなかった。

 

 こうなったら、自力で脱出するしかない。

 巻き込まれたとはいえ、国が八割費用を負担してくれるが、二割は自腹だ。

 ルクスにそんな金はない。残金はどう頑張っても千円なのだ。

 

「くそーーーー!! 神も女神も仏もいなーーい!! 俺の弱さをみんなもっと見くびれよおおおお!!!」

 

 半泣きでルクスは、ポイズングレーウルフの集団と戦う。

 腕や足をえぐられながら、なんとか牙で応戦していると、ふっと浮き上がるものがあった。

 

 ルクスは、その浮遊するものをそっと手の中に入れる。

 

 ダンジョンで発生するそれは、スキルオーブだった。

ケニー:ハーフエルフ

ネオ:ドラゴニュートハーフ

ユーナ:ハーフアラクネー


です。

あとからたくさん出てきます。

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