表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
第二章 可愛い後輩には旅をさせろ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/55

第29話 ティルノア港町

 ルクス、ケニー、アリアはグランディアのゲートを潜る。

 

 無事にユミエラへの効果があることがわかって、残る四つを食べさせてやりたい。

 絶対に完治させようという、盛り上がりがある。

 

 第一の村はクリアしたので、いよいよここからは徒歩でいけない場所の探索が始まる。

 いつもの草原フィールドで、三人はそれぞれ手の中の転移石を取り出した。

 

「あわわわわわ、一個二十万のシナモノを片道で使い捨てる恐怖!!! こ、これを使う勇気が……!!」

 

「ティルノア港町だよね? ルクスくん、震えてないで確認して」

 

「もしあれだったら、私残って待ちますです……?」

 

 散々話し合ってきたのに、身の丈に合わない金額にルクスが混乱してしまい、三人は草原でもめる。

 

「初回だからこそ、最大戦力で行くべきだと思うよ」

 

「俺もそれは異存ないです! 俺は最悪服がずたずたで済むけど、ケニー先輩になにかあっても困るし! 勿論アリアちゃんになにかあっても、すっごく困るんだけど」

 

 ルクスが困るのは、主にアリアの兄、ネオなのだが年下の女の子としても純粋に心配している。

 アリアは、ルクスに心配されて頬を染めた。

 

「ティルノア港町、ティルノア港町……。親父のメモ帳確認しました。合ってます」

 

 重装備のアリアと、弓使いならではの装備をしているケニーと、半袖シャツ姿のルクスは、手の中の転移石に向かって唱えた。

 

「「「ティルノア港町!」」」

 

 三人の姿は、草原から消えた。

 現れたのは、遠くに湿地帯が広がる港だ。

 

 行き来するのは、リザードマンしか見えない。

 ひとまず、三人は港町にいきなり入らずに湿地帯に向かうことにした。

 

「アイテムボックスに長靴があってよかったぁぁ!! 日頃の雑用が生きますね! アリアちゃん、サイズ大きいけど大丈夫?」

 

「ええ、ないより全然助かりますです!」

 

「僕も、雑用係だし長靴は持ってて良かったよ」

 

 沼地は、それでも歩きにくい。

 沼と沼の間にある小さな丘では、リザードマンの子供たちが遊んでいた。

 

 ルクスたちを見つけて、近寄っていいのかどうか迷っている様子だ。

 

「こんにちはーー!」

 

 敵意のない笑みで、ルクスが近寄っていく。

 人好きする笑顔は、敵意がないことを伝えた。

 

「こんにちはー」

 

「なに族?」

 

「このひと、ハーフエルフだあ」

 

 三人の子供は、足元に大量のスライムを置いている。

 色別に分けているようで、ルクスたちも逆にそれが気になった。

 

「俺はヴァンパイアハーフのルクスだよー。こっちのおねえちゃんがドラゴニュートのハーフ! 地球からきたんだ!」

 

 異世界言語・Cのスキルオーブは仕事をしていた。

 自分でも不思議な言葉を話しているのが分かるのに、使える。

 

「えー、地球ー?」

 

「じゃ、転移石使ったんだー」

 

「なにしにきたのー?」

 

 とりあえずは、ここから立ち去ったほうがいい的な意見がないのでほっとする。

 ルクスは、かがんで子供たちに目線を合わせた。

 

「三月三日にしかとれない、貴重な実ってここにある?」

 

「アの実しってるの?」

 

「アの実のことなら……ガイル隊長に聞かないとだめじゃない?」

 

「聞いてこようかー?」

 

 あの実、と言っているのかと思ったがスキルによるとイントネーションが違う。

 ルクスは、愕然と悟った。

 

 母の名前はルミリア。

 フォルン村の実は、ルミリ。

 

 だから、ここの港町の実は「ア」なのだ。

 

「あーーーーーーーーー!! ばっかじゃねえの、オヤジーーー!! ルミとリアならわかるけど、ルミリとア!? アってなんだよ、どういうセンスしてんだあいつぁぁぁ!!」

 

 幸運なことに、ルクスの身内への罵倒を聞いたのはケニーとアリアだけだった。

 子供たちは湿地を楽々と走って、町の中へ駈け込んでいっている。

 

 ケニーはルクスの突然の絶叫に慣れてきたので、真顔で事情を聞き返した。

 淡々とした先輩に、ルクスは父の名づけのセンスをディスりながら愚痴る。

 

 ルクス大好きドラゴニュートハーフなアリアも、その内容にちょっとフォローしかねた。

 

「大丈夫ですよ、ルクスさん! 名づけが変でも、死ぬわけじゃないし……」

 

「無理しなくていいんだよ、アリアちゃん……。これ、あとの三個の命名も怖いんだけど!!」

 

「誰にでも欠点はあるんだよ、きっと」

 

 話している間も、沼からズルズルとスライムがはい出てくる。

 青、水色、赤、緑、と色んなカラーだ。

 

「そういえば、あの子たちスライムを色分けしてましたね?」

 

「遊びでしょうか?」

 

「まあ、ほとんど無害なモンスターだけども」

 

 湿地帯の葦をかき分けようとしたアリアが、突然飛び上がった。

 

「ルクスさん!! これ、マナアシです!! マナ石ほどの純度はないですが、マナをたくさん含んでいるので探索者が乱獲するやつですよ!!」

 

「え、ほんと!!?? そこらじゅうに生えてるけどこれ全部!!?」

 

「全部ですよ!」

 

「ええーー!! ここって宝の山じゃ……」

 

 目の色が変わったルクスの前に、槍が立てかけられた。

 百九十センチあるルクスと、ほぼ同じような高さの大人のリザードマンが立っていた。

 

 ルクスと違うのは、鍛えられた筋肉が丸見えのマッチョなことと、しっぽだ。

 

「お客人、アの実についてここにきたようだな?」

 

 リザードマンの戦士の眼力が、怖い。

 

 そう簡単に、うまくいきそうにない予感がした。

ルクスの父、オーデュインはあらゆる才能に満ちていますが、時々すごく残念なところがあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ