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気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
第二章 可愛い後輩には旅をさせろ

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第24話 レベルあげをしよう

 ルクスは、グランディアへのゲートを潜った。

 ルクスとしてはこれは蛮勇と言っていい。

 

 か弱い自分が、単独でくるような場所ではないのだ。

 とりあえず、フォルン村の方へ歩きながらモンスターを探す。

 

 点々とレッドバーニーの姿は見かけたが、ブラックバーニーがいない。

 ルクスは道を逸れて、ブラックバーニーを探すことにした。

 

「しっかし半袖できて良かったー。なんかあったときも、半袖のほうが安いし!!」

 

 異世界にきてもひとり言を言う男、ルクス。

 

「ネオ先輩によると、人間の探索者たちはこっちでレベル上げしてからダンジョンに潜るらしいし……」

 

 ダンジョンに入るには許可がいる。

 そして脅威度は、ダンジョン局が計測するがやはりレベル1では潜らないのだろう。

 

 ルクスはダンジョンに潜る前は土木建築で、ひたすら土や木材をアイテムボックスで運ぶ仕事をしていた。

 給料は、残業ダイスキ事務所の時より安かった。

 

 それで、意を決して神城ユーナが建てたばかりの事務所に入ったのだ。

 ちょうど、父オーデュインが「ちょっと」出かけたタイミングと被っている。

 

「いた……!!」

 

 木々がそびえたつ中を進んでいくと、ブラックバーニーを見つけた。 

 急いで鬼哭丸をふるったルクスは、ブラックバーニーの頭を飛ばしてしまう。

 

「あちゃー、素材が……。この武器、切れ味はすごいんだよなあ」

 

 自分の未熟さを棚上げして、ルクスは鬼哭丸を振る。

 血の曇りもなく、バーニーの骨はバターのように切れてしまう。

 

「慣れるまでこなすしかないっか……うう、慣れるまでっていつまでなんだっ!」

 

 早くも泣き言を言いだしたルクスは、倒したモンスターをしまうと道を進む。

 そんなルクスの後方から、ホワイトウルフが二匹、狙いを定めていた。

 

 いつも索敵はネオ任せで、ルクスは自分でやったことがない。

 それでも、ヴァンパイアハーフとして、自分を狙うものの呼吸音を察知した。

 

「さてはこっちか――!!! え、当たった!?」

 

 自分の直感を何も信じていないルクスは、セルフつっこみをする。

 急所を突かれたホワイトウルフが二体、血を流して倒れていた。

 

「え……なんだか、思ったより簡単に倒せたんだけど、えっ??」

 

 普通なら、ここで少し調子にのったり、安心したりするところだ。

 だが、ルクスはやや怯えながら警戒を深くする。

 

「さ、さてはここから強敵がきて、俺がボロボロになるパターンか!!」

 

 アイテムボックスにしまいながら、ルクスは用心深く森を進む。

 途中、鑑定・Cで食べられるきのこなどを見つけると、それもアイテムボックスに放り込んだ。

 

「レッドバーニーも捕まえておこうかな……? 無駄にはならないもんなー」

 

 ルクスは立ち止まった。

 この先に、群れがいる予感がする。

 

 再生できるので、群れに突っ込むのは怖くはない。

 だが、そこで鬼哭丸を振り回すと素材の買い取り価格が下がるのが怖かった。

 

 ルクスは、小石を気配の先に投げると剣を構える。

 ブラックバーニーが、四方八方から飛び出してきた。

 

「うわぁぁぁぁ、あっちこっちいかないで~~~!! 止まってーー!!」

 

 モンスター相手に無意味な言葉を投げながら、ルクスは必死に剣を振るう。

 ブラックバーニーはレッドバーニーにより素早く、咄嗟にルクスは足ばかりを狙った。

 

 鮮血が舞う。

 動けなくさせれば、後で仕留めればいい。

 

 ルクスは、必死に足を狙って右に左に飛んだ。

 途中、飛び出してくる勢いでそのまま首をはねてしまったブラックバーニーもいたが、気が付けば二十体ほどのブラックバーニーが転がっていた。

 

「おおおお、こんなに倒したことないよぉぉぉ!! 売って、ユミエラにも食べさせて、売って……」

 

 楽しくひとり言を呟きながらしまっているルクスは油断だらけだ。

 周囲がブラックバーニーの血で染まり、ホワイトウルフとシルバーウルフが周囲をじわじわと囲んでいることに、気が付かない。

 

 GYAOOOOOOO!!

 モンスターの雄たけびがあがる。

 

 ルクスの背後から、シルバーウルフが喉笛に噛みついた。

 そのまま、前後左右からウルフたちがルクスにとびかかる。

 勝利を確信したモンスターたちは、ルクスの体を食いちぎるが、やがて困惑が広がった。

 

「……ひどいなぁ、ズボンも破けちゃったじゃないかぁ。これ掘り出し物だったのに。俺のサイズってなかなかないの、知らないよね?」

 

 ゆらり、とルクスが立ち上がる。

 体は、八割ほどもう再生が終わっていた。

 

 その体からは、高貴なデーモンの血の匂いが立ち上って、無自覚にモンスターを威圧をする。

 極度の再生により、髪色は白くなり、背には翼が生えた姿で。

 

 その紫の瞳を見たウルフたちは、麻痺状態に陥った。

 ルクスは、そんなモンスターを引き寄せては魂を食いちぎる。

 

 十五体ほどのホワイトウルフと、十体のシルバーウルフが魂を食われて死んだ。

 

「……あれ、いつのまにかデーモンモードになっちゃった」

 

 アイテムボックスから着替えを出しながら、ルクスは次第に元の黒髪に戻っていった。

 さすがに、半裸に近い恰好で出歩くのはつらい。

 

「これってレベルあげの邪魔になるんじゃないかなぁ……」

 

 首をかしげつつ、ルクスは狩りを続行した。

 帰宅したら、素材解体をしてひとまず肉以外を売る予定だ。

 

 ホワイトウルフはあまり需要がないが、シルバーウルフの毛皮はそれなりに価値が高い。

 ルクスは、鬼哭丸を持ってさらに森の奥地へと踏み込んでいった。

 

 以前のルクスからすれば、それだけで成長を感じる。

 

 グランディアの森に、ルクスの長身は溶け込んでいった。 

とうとう一人修行です

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― 新着の感想 ―
オォ、ルクスもしかして強くなっている?
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