表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気弱なヴァンパイアハーフは多分バトルを頑張りたい〜事故物件ダンジョンで社畜しながら妹の命を救います  作者: 相木ナナ
百害あって一利あり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/56

第11話 判明したこと

 ルクスは、半妖専門病院の椅子に座っていた。

 シャツは、雨宮ケニーからもらった商店街シャツで「めざせ爆売り」と書いた文字シャツだ。

 

 ルクスにおいて、ださいとかかっこ悪いとかは関係ない。無料で着れる、最高だ。

 診察室では、ユーナが呼びつけてくれたヴァンパイアハーフ専門の医者が、ユミエラの診断をしている。

 

 CTスキャンなどもしているので、ルクスは部屋の外で待機だ。

 二日前の単発型ダンジョンで知り合った卯実うみ賢人に、剣を借りてからルクスは一度しか使っていない。

 

 しかし、思ったよりレンタル主の賢人からメッセージが来るので仲良くなりつつある。

 今は病院なので、携帯の電源を切っていた。  

 

「う~ん、悪い結果が出ませんように……! あ、出ても治りますように!!」

 

 デーモンハーフのくせに、ルクスはよく神頼みをする。

 自力で解決できないものは、大抵神にすがるのだ。

 

「ユミエラさんの保護者さん、入ってください」

 

 長身のルクスは、診察室のドアを開けようとして一回肘をぶつけてから、ようやく開けた。

 採血されて、また顔色の悪いユミエラがベッドに座っている。

 

 医者の意味深な目配せで、ユミエラはベッドから別の部屋に連れていかれた。

 ルクスの心臓が、音をたてる。

 やはり、相当悪いのか。

 

「ユミエラさんは、ヴァンパイアハーフとのことでしたが……ルクスさんもヴァンパイアハーフでいらっしゃいますか? 手元のデータには、デーモンハーフとも記載されているのですが」

 

 ルクスはここ数年、病院に通った記憶がない。

 相当古いデータを見つけたのだろう。

 

「ヴァンパイアハーフでもあり、デーモンハーフでもあります。俺とユミエラは半分しか血が繋がってないので」

 

 ユミエラは、母が死ぬ前に人間との火遊びで生まれた子供だ。

 相手の男は逃げて、母は帰ってきたが父のオーデュインは責めなかった。

 

 ルクスもユミエラも、同じように可愛がられて育てられている。

 

「ああ……そうでしたか。ユミエラさんは、このことをご存じで?」

 

「はい、父は隠さない性格だったので」

 

 母を責めてはいけないよ、自分がふがいなかったんだ。

 オーデュインは、過去の話をするときは決まってそう言っていた。

 

 現に、今も「少しだけ」出かけて、三年以上経っているのだ。

 そういうところだぞ、と思う。

 オーデュインは、愛情深いがどこかズレているのだ。

 

「なるほど……。ちなみにお母さまは?」

 

「もう亡くなっています」

 

「ご病気ですか?」

 

「たしか……永飢病えいきびょうという名前だったと思います。俺が十一の時に亡くなりましたが」

 

 医者の眉がぴくりと動く。

 ルクスは嫌な予感がした。

 

「ユミエラさんの病気は、おそらく遺伝かと思われます。永飢病えいきびょうは、まだ現代では解明されていないのです」

 

「そんな!! どうにかならないんですか!? たとえば……マナ石でどうにかとか!」

 

「マナ石はクリーンなエネルギーですよ、人体には効きません。でも、そうですね……去年確かグランディアのほうで悪魔の君主(デーモンロード)が、永飢病えいきびょうの対策を立てたとか……そんな噂がありますが」

 

「そのデーモンロードの名前分かりますか??」

 

 もしかしたら、という予感がルクスにはあった。

 そうであれば、一縷の望みがある。

 医者は、ルクスの無知を憐れむ顔をした。

 

「デーモンロードといえば、グランディアには一人しかいらっしゃいませんよ。星冠のオーデュイン・フォン・レオンフォール卿ですよ」

 

「うわあああああああああああ、やっぱりオヤジじゃねーかーー!!!!」

 

 ルクスの絶叫が、病院にこだます。

 医者のほうは、大きくのけぞっていた。

 

「え? ルクスさんのお父さんが、あのレオンフォール卿なのですか!?」

 

「どーもこーもそうなんですよぉぉぉぉ!! オヤジーー! マジで帰ってこーーい!!」

 

「ああ……ですから、苗字が記載されていなかったのですか」

 

 医者が納得の顔をする。

 グランディアで貴族籍があると、地球では名乗れないのだ。

 魔族が権威を持つと危険だという理由で、禁止されている。

 

「ならば、お父上のデータなどはないのですか?」

 

「あんにゃろ、グランディアに行ったきりなんですよ!! あれ……でも確か日記を残してたような……?」

 

「なにかしら、手がかりがあればよいですね。この病気は、血を摂っても摂っても栄養失調になるようなものです。こちらでも、血の錠剤と血液ボトルは用意しますが、解決にはなりませんので……」

 

 ルクスは記憶をたどった。

 父が、困ったらこれを読む用に、とノートのようなものを置いて出て行ったような気もする。

 

「ありがとうございます、先生! 探してみます!! ダメならグランディアに行ってみます!!」

 

異世界あちらは広いですからな……お気をつけて」

 

 ルクスの胸に希望が宿った。

 何も手が打てないよりは、微かな可能性にかけて見せる。

 

 ユミエラの命は、兄である自分が守るのだ。

 

 残金の千円と、売ったモンスター素材のお金はお会計で完全に消えたのであった。

ルクス、残金0円

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルクス!残金0円ってどうする!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ