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小夜歌  作者: 齋藤十二
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第十六話(改)

第十六話



俺のようなバカには、難しい事なんぞ考えられない。

だったら、一番大事な事を決めればいい。

なら簡単な話だ・・・俺はマーカラを守ればいい。



俺を取り巻く環境は大きく変わっている。

俺は、このまま行けば、マーカラを殺しかねない存在になる。

今までずっと続いている政府の研究とやらが、マーカラにとって有益な物とは思えない・・・どうする、逃げるか??


いや、どう考えても力不足だ。

逃げたって、すぐにとっ捕まる・・・そっちの方が不利だ。

今は、素知らぬ顔を決め込んで、身の振り方を慎重に考える時期だ。


それと、ショーの行動を分析しなければ。

勘でしかないが、ショーの失踪はマーカラを守るための行動だ。

政府にガッチリ取り込まれている俺や、その研究機関に、これ以上接近しかねない状況を危険と踏んだんだろう。


確かに正解だ、だがショーよ、お前は何処に行って何をするつもりだ?

お前は、マーカラを・・・どうしたいんだ?


俺の直観が正しいと前提すれば、マーカラは、指導者が欲する「人類が目指すべき進化の姿」そのものだ。これ見よがしに吸血の「黒髪姫」などという噂を大きくしたのも、何者かの意図があると考えた方がいい。


吸血の不老不死の命という価値は、極端に二分されると俺は思う。

それを望む者と、俺のように、タダでくれると言われても願い下げの奴だ。


マーカラは、とっても寂しそうだったじゃねぇか。

俺は、できることなら、マーカラに平凡な女として

笑って生涯を全うして欲しいと思う。

これは、俺の身勝手なエゴだ・・・だから、アイツに面と向かって問うてみたい。


「お前は、どうしたい?」ってな。


そう考えりゃ、ショーが何故マーカラと消えたのか?

何となく予想がつく・・・。



さて、俺の身の振り方だ。

多分俺の血というか命は、マーカラにとって害を為すものだ。

だからといって、散々ぱら研究されちまった以上、今さら自殺しても、もう遅そうだ。


だとすりゃ、ショーの側に付いて、有効活用した方が良いだろう。

問題は、どうやって上手い事ショーたちの所へ逃げ込むか・・・だ。

いや待て、俺が転がり込むことで面倒な事になりかねないか。


何にせよ俺の身体は、マーカラのために、せいぜい有効活用してもらわねぇとな・・・・。


そんなことを漠然と考える日々が続く。

気持ちの上での整理はついたが、実際俺に出来る事など限られている。

ショーとマーカラの消息を追う事が、まずは先決か。


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