表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小夜歌  作者: 齋藤十二
15/21

第十五話(改)

第十五話



どうせ俺は、研究施設では暇を持て余している身だ。

失踪した友人たちが心配なので、捜査に積極的に協力させて欲しい、そう申し出た。


俺の気紛れに、捜査員たちは、うんざりした表情を浮かべたが、俺の今の立場やショーとマーカラとの交流関係を鑑みれば、露骨に無下には出来ない。捜査の邪魔にならない範囲で・・・という条件で、ある程度の情報の提供を受けることが出来るようになった。まぁ、どうせ捜査員たちも、俺の事など、ハナからアテにはしていまい。


一方、俺は最初から政府の捜査員を信用しちゃいない。

当初の事情聴取で、聞かれたことは嘘を付かずに話したが、全てを教えた訳でもない。


特に、マーカラが潜伏する可能性のある場所・・・そう、びっしりと連絡先の書き込まれた、あのメモだ・・・その存在は、捜査員には一切話してはいない。


そして多分、その事を知っているのは俺とショーだけだ。

ショーがマーカラと行動を一にしていようと、別行動になっていようと、多分、行動を予測する重要な情報になる・・・・そして、俺がプロの捜査員を出し抜き得る、唯一の情報でもある。


俺は悪い頭を絞って、慎重に行動する。

捜査員から教えられた情報の他、大学などに足を運んで調べているうちに、ショーの研究のいくつかが、かなり特殊なものであることが分かった。学問的な知識は、当然俺には無い・・・だが、公にしていない、お蔵入りの研究の中に、特殊な血液を媒体とした、人類の人工的な強制進化に関わるものがあると知った。


その時、俺の特殊な体質と、突如現れた黒髪姫の噂、ショーの研究、俺の見た悪夢、そしてマーカラの存在が、どこかで確実に繋がっているの事を確信し、それが猛烈な恐怖に変わる。



・・・なんてこった



俺が見たあの悪夢

人々は黒髪姫マーカラの力を欲し、俺はマーカラを殺し得る者。

あの悪夢は夢などではなく、「呪いの言葉」だった。


激しい感情に直結した、あの直観が、全ての真実を語っていたとは・・・・

そして、その事を知るのは悪夢を見た俺だけのはずだ・・・いや、本当にそうか?


俺はマーカラに、彼女と黒髪姫との関係を匂わせるような発言をしている。

ショーも当然、マーカラが黒髪姫であると、早いうちから推測し、しかも俺が、それに関わる特殊な体質を有するだろうこと、それ故にマーカラに対し過剰な反応をしたことにも気がついたはず。



俺はよろよろとトイレに向かい、冷水で顔を洗った。

水に濡れた間抜け面が鏡に映っている。

そして深く、深呼吸をする。



俺の腹は決まった。

俺が一番守りたいのは、マーカラだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ