表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/33

第19話:復讐の矛先

第19話:復讐の矛先

■神谷 悠 視点


神谷悠の視線の先には、一枚の写真があった。

それは、大学の研究室で笑顔を見せる白井教授の姿。

その後ろには、まだ希望に満ちた目をしていた自分が映っていた。


「僕が、最後に信じていた“大人”だった」


悠は、ノートパソコンの画面を切り替え、準備済みのファイル群を開いた。

「SHIRAI_CASE」フォルダの中には、録音ファイル、会話ログ、横領証拠、推薦状改ざんの原本画像、そして複数の証言書が並んでいる。


「白井教授。あなたが『見て見ぬふり』をした結果、あの地獄が完成したんですよ」


悠の言葉に、部屋の空気がぴんと張り詰める。


彼は“次の裁き”として、教授への告発準備を進めていた。

それはただの復讐ではない。

「構造」を壊すための攻撃。

“加害者を庇った”教育機関の象徴たる人物に、責任を取らせるという意思。


悠は動画撮影を開始した。

背景は黒。自分の姿はシルエット。


「僕を指導すると言っておきながら、加害者たちを守った教授がいます」


「推薦状を改ざんし、彼らを一流企業へ送り出す片棒を担いだ人物です」


「横領した研究費の流用先に“芹沢グループ”の名前がありました」


画面には、証拠のスクリーンショットが次々と映し出される。


そして、動画の最後に悠は告げる。


「教授。あなたには“嘘”が似合います。でも、真実は隠せません」


投稿ボタンが押された瞬間——情報の波が世界に放たれた。


■坂本刑事 視点


「ついに来たか……白井教授か」


警視庁捜査一課の会議室で、坂本は資料をめくっていた。

悠が投稿した“内部告発映像”は、すでに各報道機関にも伝えられていた。

だが、警察の視点では、この件は非常にデリケートな問題を孕んでいた。


「推薦状の偽造……大学関係者の証言もある。“教授による組織的不正”があった場合、教育機関全体に波及する」


上司は硬い顔で言った。


「しかしこれは“被害者の主張”に基づく証拠群だ。私怨による操作の可能性も……」


坂本は否定しなかった。

だが、同時にこうも言った。


「神谷悠は、完璧に“証拠”を揃えてきている。

感情ではなく、計画として。だから我々は動かざるを得ない」


坂本は捜査員を招集し、神谷から提供された資料と照らし合わせる形で、大学内および関係企業への事情聴取を開始した。


やがて浮かび上がったのは、白井教授が“寄付金”名目で複数企業と癒着していた構図だった。

神谷が指摘した推薦状の改ざんも、過去データとの照合で一致。


さらに、教授のPCから“原文修正ログ”が発見されたことで、証拠としての信憑性が確定的となる。


「……これで、教授も終わりか」


坂本は心のどこかで、違和感を拭いきれなかった。


(神谷は、どこまで読んでいる?)


彼が提供した証拠のすべてが“完璧すぎる”こと。

そして、次に誰がターゲットになるのかという“予測不能性”。


(もはやこれは……被害者の域を超えている)


だが、事実は事実。

証拠が真実を示している限り、動かざるを得ない。


■ナレーション


白井教授はその日のうちに大学から“停職処分”を受けた。

翌日には大学が緊急会見を開き、「調査委員会の設置」と「組織的責任の有無を検討する」と発表。


SNSは再び燃え上がる。


《加害者の後ろにいた教授も崩れた》

《神谷、次は誰を断罪する?》


悠の投稿には、またも100万以上の反応が集まった。


だが、彼はまだ満足していなかった。


次のフォルダを開く。


——「早乙女真白」

——「隠れた黒幕」

——「肉親の罪と罰」


「……まだ、終わらない」

お読みいただきありがとうございます。


よろしければ、下の☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ