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7話 クエストボードは酒の残り香とともに

昨日の夜、俺は悪酔いをしてしまったようだ。

早朝テミストスに連れられて酒場の店主に謝りに行った。店主はころっと許してくれて「飲み過ぎには気をつけるのなら、いつでも来ていい」と言ってくれた。本当に心の広い店主だ。自分が恥ずかしい。


俺は昨日の悪酔いチャージを草むらに盛大リリースしながら"クエストボード"へと向かった。

クエストボードとは”誰でも依頼の申請、受託のできる掲示板”だ。

どこの街にも街の中心地に建てられているので簡単に見つけることが出来る。


ペール国から出た後はこのクエストボードで"マンドラゴラ"採集やペットの子竜探しなどをすることでお金を貰って生活費の足しにしていた。俺にとっては手っ取り早くお金を得られるありがたい仕組みなのだ。

これまで、戦う術のない俺は命の危険がないような、比較的安全な依頼を受けてきた。

しかし今、俺の側には剣聖ハーデス。この男がいればモンスターの討伐など危険度が高いかわりに、報酬も高い依頼を受けることが可能だろう。


テミストス

「クエストボードは使ったことがない。任せてもいいか?」


カゲ

「えぁ、任せてくださいね」


・レッドドラゴン討伐

 危険度⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 依頼地域・マベンタ山脈

 依頼主・国蓮組合

 報酬・金貨100枚


これは…危険度が高すぎるな。


・魔王軍残党の討伐

 危険度⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 依頼地域・オライル地方

 依頼主・オライル城主

 報酬・金貨15枚


これも…危険度が高すぎる。


・ペットのラッキーピッグの捜索

 危険度⭐︎

 依頼地域・オライルの街

 依頼主・ラッキーピッグ大好き

 報酬・銅貨2枚


これは…報酬が低すぎる。

…大好きならもっとかけてあげなよ。

……ん、これは


・ゾンビ型モンスターの討伐

 危険度⭐︎⭐︎

 依頼地域・オライルの墓場

 依頼主・墓守サントス

 報酬・金貨2枚


危険度は高くなく依頼場所も近い。

そして危険度に対して報酬が高い。かなり高い!こんなに高くてもいいのだろうか!?


カゲ

「ハーデス、受ける依頼を決めました」


カゲ

「私たちが受ける依頼は…」


「これです!」

「…これにするか」


俺がクエストボードのコスパ最強依頼を受けようと手を伸ばした、ほぼ同時のタイミング。

別の男が同じ依頼に手をかけた。

男の手はがっしりと男らしく。俺の手をすっぽりと覆ってしまうほどだった。


カゲ

「あらあら…ごめんなさい。同時に依頼を受けようとするなんて、珍しいこともあるのですね。ふふ、この依頼はお譲りいたしますね」


ごつい手の男

「あぁ…これは丁寧にどうも…。ってあぁああああ!?昨日の酔っぱらい!!!」


こうして何の因果か俺たちと無精髭の男は再会を果たす。

この再開が後に世界の命運を握る大きなものとなるのだが…それはまだ先の物語だ。


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