6/26
6:不思議な… ~摩雪~
オレには、記憶が無い。
事故って、記憶を無くした。
母さんは、その時死んでしまった。
どんな人だったんだろう…。綺麗な人だったのかな?
今はいとこの家に滞在中。いとこの皆はオレを割れ物みたいに扱う。
正直、凄く辛い。皆が普通にしてくれない事が、凄く。
そんな風に思っていたら、夢を見た。
可愛い女の子が、懸命になだめてくれる。
でも、その子をオレは知らない。だから、夢の中だけど、聞いてみた。
『君は、誰だ?』
『え…?私は』
答えようとしたけれど、急に遠ざかってしまった。その日から、彼女が夢の出てこなくなって。
寂しく思ってたら、彼女に会った。
愛莉と言うそうだ。可愛かった。
いろいろ話していると、愛莉ちゃんが急に泣き出してしまった。
『ごめんなさい』
それだけ言って、背を向けてしまった。
何でだろう…。そう思いながらふぅ、と摩雪は息を吐いた。