5:不思議な… ~結城~
この物語に出てきている人たちは、きっと、皆複雑な思いを抱えていると思います。
なので、結城の気持ちを書いてみました。
彼はこんな風に思ってるのかなぁ、とかいろいろ考えながら。
摩雪…。何で、お前が…いるんだ?
10歳の時、両親が離婚した。こんなの、よくあること。そして、父さんとオレ、母さんと摩雪。
…摩雪は、母さんに引き取られた。オレは父さんについていった。
本当は、摩雪と母さんの方に行きたかった。でも、母さん一人の力で二人も子供を育てるのは無理だ。
だから…、オレは父さんについていった。摩雪とは、母さんとは、もう会えないかもしれない。そう思いながら。でも、今摩雪が、オレと同じ高校にいる。…何でだろう…。何かあったのかもしれない。
もしかしたら、愛莉の夢に摩雪が出てきたのは何かを知らせるため…?
――――それは、違うか。
それなら、オレの夢の中に出てくるだろうし。…それにしても、不思議だよな。オレの生き別れの弟が、愛莉の夢の中に出てきた。普通、こんな事無起きないだろうし。
…そう言えば、愛莉が摩雪に声をかけてた。オレは、怖くてかけられなかったかけど。
――――それに、あいつ…オレに声かけてこなかった…。オレを見ても、動揺しなかった。
もしかしたら、知っていたのかも知れない。オレが、この学校にいるって。それか、オレに気づいて無いか…。それか…オレが、分からないか。
どれなのかは、オレには分からない。でも、きっと、いつか
オレに気づいてくれるって、信じてるから。摩雪――――――――――――――――――……。