3:不思議な運命
今現在、朝。学校。
けれど愛莉の思考回路は全く別の場所のとんでいた。
昨日の彼の事である。
「はあ…」
思わず口からため息が漏れる。
…いけない、またため息ついちゃった。
昨日の彼の事があってから、何回ため息をついたか、全く分からない。
友達に「今日は休んだら?」と言われてしまった位。けれど、結城と由利は回りに気を使わせるような事はしていない。一番辛くて苦しいのは結城なのに…。
きっと、結城の事だから、「お前に同情される筋合いは無い。全く、オレもおちぶれたもんだ」なんて言うに決まってる。昔からそうだった。何もかも、自分で抱えて。私には何もさせてくれ無かった。
…いや、私ができなかった。そして、結城には私が入る隙間なんて無いんだ。
ヤバ、泣きそう。
もう!私はうじうじと!情けない。
気持ちを入れ替えなきゃ。
ぺしぺしと頬をたたいて気合を入れる。
よし、もう大丈夫。
と、前を向いた時、ちょうど先生が入って来た。若くて綺麗な女性の先生。
「おはよう。今日は、金曜日言った通り、転入生が来ています。どうぞ、入って」
その声と共に長身の少年が入って来る。
「かっこいい…」
どこからか、そんな声が聞こえる。
ほお…昨日の彼よりもかっこいいかな?
ちょっとした淡い期待の視線を向けると…
そこには、甘く整った顔立ち。そして黒髪。胸元と、目の下に黒子。
…小指には十字架の指輪。
昨日の彼よりかっこいいどころか…
本人がいた。
そして、
「初めまして、結先 摩雪と言います。よろしく」
と、結城の 枡里という氏名とは異なった氏名を名乗った。