20/26
20:あれ?皆集合?
息を切らしながら、愛莉は必死に走る。
結城の元へ行くために。
走って、走って。ひたすら走って。
やっとの思いでたどり着いて、チャイムを鳴らす。
すると、結城はすぐに出てきた。
「…どうしたんだ?」
「ほぇ?…だから、心配で…その…」
うぅ…しっかりしろ、私…。
「そうか」
くすくすと楽しそうに笑う結城。少しほっとした。
もしかしたら、泣いてたんじゃないかとか、そんな事言えないや。
結城は私が思っているよりよっぽど強い。ただ、それだけの事なんだ。
「泣く訳無いだろ、甘ったれ」
「うわぁぁ、そこまで言わなくても良いのにな」
後ろには、もう一つの笑。
なんと摩雪君だった。
「あれ?あれ?何で摩雪くんが…」
「そんな純粋な理由じゃ無いよ。結城の泣き顔が見れるんじゃないかと思って」
にたにたと笑う摩雪くん。
あぁ…この人は黒かったのか…。