2:不思議な巡り合わせ
「あっはっは。愛莉、マジで頭のネジ緩んできたんじゃねえ?」
と男勝りなしゃべり方をするのは、親友(?)の由利。そしてここは最近流行のカフェ。
でもって、由利が私の事を馬鹿にした理由は。
「そんな、夢が現実になるなんて。ありえんありえん。ま、楽しませてくれたから、礼は言う。
ありがとな」
…そう、例の夢の事を喋ったら、コレである。
「…………全然嬉しくない」
「だろうな」
なおもきしし、と怪しい笑い方をする由利に、いい加減悲しい通り越して呆れてきた。どついた。
「ふがっ!っ、何すんだよ」
「べえつにいいい」
「ふてくさる事無いだろ。でも、もう高校生だってのに、恋もまともにした事無い愛莉もやっと進歩したな。
由利嬉しいっ!」
よーしよしとか言いながら、愛莉の頭を撫でる。その手を何とかどけて、
「ねえ、結城どう思う?」
「何でオレに聞く」
…こっちはコレである。
はいはいはい。私が悪ぅござんしたよ。あんたなんかに感想求めたのが悪かった。この、カ〇野朗め。
「…カ〇はお前だろ、野生化け猫め」
なっ…! こんの人間のカ〇め!餓鬼めえええ!
「お前とは同年代だろ。何だよ、餓鬼って」
………………いっぺん死ね!
てか、何でさっきから私の考えてる事分かるんだろ…。もしや、読心術?!
「ちげーよ。お前の考えてる事位はすぐ分かる。単細胞だからな」
「誰が単細胞だって?」
「「お前だよ、愛莉」」
「ハモんなぁぁぁ!」
私、本格的に落ち込んできたよ。
はあぁぁ…と深いため息が口から零れ落ちる。流石にダブルパンチはキツイ。この二人、仲はかなり悪いけれど、毒舌家だって事は共通している。そんなこんなで、結構この立場は辛かったりするのだ。
…またため息がでそうだ。
愛莉は気分を変えるべく、夢の中の彼の事を考えてみた。
まず髪型はショートで、黒髪。黒縁メガネをかけていた。甘い顔立ちの長身。そんで色気オーラを纏いまくっていて、美声。だけど、何かどこと無く結城に似てたような…。ま、気のせいだよね。
けど…ただ私が美化しまくったのが夢に出てきただけな気がする。
そう思うと、何だか悲しくなってきた。
由利がそんな愛莉の心境を察したのかしないのか、タイミング良く彼の事を聞いてきた。
「なぁ、その彼とやらは、いけめんとやらだった訳?」
「…うん…。かなり。私なんかとは不釣合い」
「私は可愛くも美人でも無い。私なんかとは似合わない。 そんな風に思ったんだな?」
「………おっしゃる通りでございます」
「ふうん。あんた、やっぱ馬鹿だったんだな」
「は?」
「だから、愛莉は馬鹿だって言ってんだ。愛莉がどんだけ可愛いか知らないんだろ。じゃないと、そんな事言えない」
「…………はい?」
「だから、あんたは十分可愛いって言ってんの」
理解に欠けます、由利さん。
「だぁー、もう!いい!分かんないならもういい!んで、その彼とやらはどんな容姿をしてなすった訳よ?」
「…うんと、髪型はショートで、黒髪。黒縁メガネかけてた。綺麗な顔してて、長身だったよ」
結城に似てるようなうんぬんは言わない。からかい材料にされるだけ。
「ほおう。それで、結城に似てたんだ」
「そうそう、どこと無く似てて…違ぁぁーう!」
「オレに…似てた?」
ほらあああ!由利の馬鹿!っこんな事になったらもうメンドクサイの嵐だよお…。
「そいつ、胸元と目の下に黒子あった?」
何故か、そう言う結城はとても真剣で。不思議に思ったけど。
「うん、あったよ。確かにあった。後は、右手の小指に…指輪してた。十字架の付いた黒いの」
「それってまさか、こんなのか?」
がさがさとバックの中から迷い無く指輪を出す。その指輪は銀色で、十字架が付いたもの。
「…そう。何で、結城、何でそれ持ってるの?」
驚きを隠せずに問うと、信じられない答えが返ってきた。
「…たぶん、そいつは……………
オレが10歳の時に生き別れた双子の兄だ」
その場にいた全員の顔色が真っ青になる。そして、
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
店員さんのその声で、現実に戻る。
けれど、これは運命のいたずらか。
「一人です」
そう言った声は夢の中の彼の声で。愛莉と結城が素早くそちらを向く。由利もつられて向くと、
確かに、愛莉の言った容姿で、追い討ちをかけるように
その小指には黒で十字架の、指輪が光っていた。
それを見たと同時に、
とても嫌な、
とても悲しい予感がした。
きっと、何かが、起きてしまう。
こんな事、本当に起きたら大変ですよね。
それよりも、こんな私の小説を
(最早小説じゃ無いかも)2話目まで読んでくださってありがとうございます!