へんたい……
暖かな天井とはまさにこれの事言うのか……。
白色の天板には一切の曇りがない。ただ、装飾もないからとても味気なく見える。
ふと左手を上げると針が刺さっているのか何かしらの液体を体に注入されている。
「点滴……」
「ん、目が覚めたか。起きたか小僧」
野太い男の声が聞こえた。
「うぐっ……」
酷く鳴る鐘のような音、頭をわりそうになるほどの地割れ……。
「おいおい、起きて早々俺の顔を見て吐くとは酷いやつだな」
男の顔は片目がなかった。
日本人にしては堀が深く少し日に焼けている。体は大きく190はあるだろう。
髭は丁寧に剃られていて……いや、少し顎下にカサブタがある。
「だれだ……」
「ははは! それだけの啖呵がキレるんだ、大丈夫そうだな」
「応えろ!!」
「そう吠えるな、おれはアルタス。日本人みたいな名前ではないが国籍は日本人だ。信じなくてもかまわん。ただ、これからお前の主となる奴の名だ、覚えとくことに損は無いだろ。まあ、お前の勝手に呼べばいい。そのうち嫌でも慣れる」
男は丸太に似た椅子から立ち上がり大きく息を吸った。
「上体を起こせ、出るぞ」
「どこに……っ、いってぇ」
「見てみろ、朝だ。朝には飯を食わねばならない。お前にも食わせなきゃならん。それが主足るに相応しいからだ。それと、服はそこに置いてある。着ろ」
男が指さす方へ目を向けると、可愛らしいメイド服が置いてあった。
「冗談や、酔狂でこんな服は着させん。ただ、」
「ただ?」
「俺の個人的趣味だ」
「……変態かよ」
どうやらおれは拾われて変態に育て上げられるそうだ。