母娘喧嘩ラウンド2りん
「ママりん!」
スラりんが蛇に気づいて顔を向ける。
「ぷい。ママりんはあのちびとイチャイチャしている筈りん」
スラりんはぷいっと顔を背けた。先ほどの喧嘩を根に持っている。
きゅー!きゅー!
「あれが本気だと思ったか?」
「ママりんはちびの味方ばっかしていたりん」
「あれはなあ。シャルが••••」
「シャル!何とりん。あのちびを名前で呼んでいるのか!りん」
「だってなあ。名前で呼ばないとどう呼ぶんだよ?」
「ちびって呼んでやればいいりん。ちびーーー!ってりん」
「スラりん。大人気ないと思わないか」
「ムキー!りん。やっぱりママりんはちびの味方りん。喋りたくないりん。顔も見たくないりん」
スラぽんが蛇が来たくれた事に嬉しい声を出す。ただスラりんは意地をはって蛇と顔を合わせない。理由はママりんはボクよりちび(シャル)を取った。今さらどのような顔でボクに会いに来たの?である。
蛇はスラりんを大人なんだからと言うと、スラりんは余計に反発する。最後は怒り爆発で大きく跳んで地面を叩きつける。、
ドスン!ドスン!
きゅー!きゅー!
「あっ!馬鹿者!地面が揺れる。崖があるんだぞ。崩れて岩が落ちたらどうするんだ!」
スラりんが着地すると地面に衝撃が走る。何度も跳んでいてその度に地面が揺れて崖がグラグラとして小さな岩の欠片が落ちていく。スラぽんは驚いて叫ぶ。蛇が大声で注意すると、
ぷくー。
跳ぶのを止めた。スラりんの顔は真っ赤であって、頬をぷくーと膨らませていて蛇を睨みつけている。目にはうっすら涙を浮かべている。
「ムカ!ムカ!ムカ!ムカつくりーん!」
スラりんが壊れたように叫ぶ。
「何で?何で?何で?りん。ママりんはボクばっかり怒るの?りん」
「それはお前が大人気ない行動を取るから」
「大人気ないって何!りん」
スラりんが蛇を指して尋ねる。
「お前は大人だろう。その言葉つかい行動は仕方ないけど。子供に対してあの態度はいけないぞ」
「ボクだって子供りん!」
スラりんが再び跳び始める
ドーン。ドーン。
きゅー!きゅー!
「わっ!揺れる」
スラりんが跳んで着地をすると地面が揺れる。蛇も体勢を崩しそうになるが踏ん張っている。スラぽんは叫ぶ。
「それにボクは娘りん。娘の肩を持つのがママりんの義務りん」
「はぁー。戦場に連れて行っても変わらなかったか。あれぐらいの温い戦場じゃ元に戻らないか」
「何!を関係ない話しをしているりん!今はボクとちびどっちを娘なのか聞いているりん」
顔を真っ赤にして言うスラりん。蛇はため息を吐いて情けない顔をする。
「そんな話しだったか?」
「ムキー!ともかく。ムカつくりん。ちびを取るかボクを取るかりん」
きゅー。きゅー。
「うん?スライム」
スラぽんが蛇の所へ来て
すりすり。
「何だ?私に用か?」
きゅー。きゅー。
「困ったなあ。魔物の言葉は大体理解できるんだけど、スライムの言葉は分からないんだよ」
「フッ。ママりんも大したことないりん」
スラぽんが蛇の体にすりすりする。蛇が尋ねるとスラぽんが叫ぶ。蛇はスラぽんの叫びが理解できなくて困る。スラりんはそんな蛇をくすっと笑う。蛇はスラりんのくすっに怒りを覚えて
「私を恨んでいるのは分かるけど、その態度はないんじゃないか」
「へえー。大人のママりんでもりん」
蛇がカチンとして睨みつけて言葉の節々に怒りが出ている。スラりは見下す態度で言い返すと、
ズッシャーン!
「ほうー。大人の私が何だ」
蛇は尻尾を力強く地面に叩きつける。叩きつけられた地面の破片が空に舞う。更にスラりんを睨みつける。
きゅー!きゅー!
「大人と言う者が、か弱いスライムを怖がらすとはりん」
スラぽんが蛇の行動に驚いて叫ぶ。スラりんは更に続ける。
「お•と•なのやる物ですか?りん」
わざわざ間を空かして言うスラりん。馬鹿にした態度に蛇は、
「スラりん。お前は子供だったな。子供が舐めた態度をしたら躾をしないと」
「ママりん。ボクは大人じゃなかった?りん」
沈黙が続く。お互いに顔を睨みあって、
ゴロ。ゴロ。
崖から岩ころが数個落ちてくる。それを合図に
「テメエ!母親を馬鹿にすんじゃねえーぞ!」
「ママりんこそ子供りん!大人になれりん!」
蛇がドスの利いた声で大声で言うと、スラりんもキーキー高い声で言い返す。
「りんと付ければ子供と思われると思っているのかりん!」
「あっ!りんを馬鹿にしたなー!りん」
「テメエのあざとさに嫌気してんだよ!」
「あざとさ?ボクは純粋りん。清らかな心のスライムりん」
「それよりもりん。子供のボクの言葉に反応するなんて••••」
「何だよ。言えよ!ムカつくな。そのニヤニヤした顔。言うなら言えよ!」
蛇は苛つついた。喋るのを止めて勿体ぶるのもそうだが、ニヤニヤした態度に一番腹が立っていた。
(ムカつく)
「そう言うなら言うりん。ママりんって••••」
再び喋るを止める。いじされて、
「早く言え!潰されたいか!」
「喋りは大人だけどりん。心と体は子供りん」
ニコッと笑顔で言う。
ピシッ。
きゅー!きゅー!
ズッシャーン!
「私が子供だと。お前殺されたいか。この蛇様を」
蛇がいきなり尻尾を伸ばしてスラりんの側の地面を叩いた。地面の破片が舞う。スラぽんは驚いたがスラりんは涼しい顔で動じなかった。
「ママりん。ボクねえ何で怒ってんだろうと思ったんだりん」
蛇にうさぎ跳びで近づきながら言って、
「さっき分かったりん。怒ったんじゃない。嫉妬してたりん」
ピタッ。
スラりんが蛇のすぐ前まで来た。
「大人のボクにりん」
「そうりん!子供だから嫉妬したりん!小さいりん。小さい体で言ったりん!ワッハッハりん」
スラりんはわざわざ蛇の前で高笑いをした。見せつけるために、
「スライムにこうまで舐められるとはなー!」
蛇が牙を食いしばってスラりんを見る。今にも怒り爆発で襲いかかる顔である。
「しょうがないりん。ママりんは子供りん。りんに怒ったのも嫉妬りん。みんなから可愛いがられるボクに嫉妬したりん。ああー心が狭いりん」
「そうかりん。子供だもんねりん。こ•ど•もりん」
スラりんは再び笑いだした。それを見た蛇は体を震わして
「殺。殺す。この世界に塵一つ残さない」
「やるかー!りん。ボクに食べられそうになって逃げたのにりん!」
きゅー!きゅー!
スラぽんが震えて叫ぶ。蛇の殺気に怖がっている。一方のスラりんも負けずに拳を上げて反論する。
「食べ物!」
そしてスラりんの食べ物と言う言葉に反応して目を輝く者が、
シュッ。
蛇がジャンプして飛びかかる。向かう先は
「お前の首に噛みついてやる」
高度を下げながら、スラりんの首筋だけ目に映して飛びかかっていく。
「甘いりん。こうなったらりん。焼き鳥の代わりに、ボクとスラぽんさんの契りの食べ物になるといいりーん!」
スラりんも蛇を捕まえる構えをする。右手を伸ばし捕まえて火で焼いてスラぽんと食べるつもりだ。
きゅー!きゅー!
スラぽんがスラりんの言葉を聞いて叫ぶ。スラぽんがぷるぷる震えて汗が浮き出ている。まるでいらないと言っているみたいに、
「このスライムもどきか!」
「何を!爪の先から頭のてっぺんまでスライムりん!」
いよいよ蛇がスラりんの伸ばした右手の直ぐ前まで来た。口を開けてシャーと牙を見せつけている。スラりんはハンターの眼差しで蛇の動きを見て捕まえる動きをしようとしたが、
「食べ物はどこに!」
スラりんは動きを止めて腕を下ろしてしまった。この大声に覚えがある。忘れもしない。
「スラりん!どうした!このまま噛まれてもいいのか!」
蛇が嬉しそうに言う。スラりんは俯いたまま反応がない。
シャー。
スラりんの首筋まであと僅か。どうなる?スラりん。このまま蛇に噛まれて死ぬのか?