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スラりんを立たせたい  作者: like
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戦いの者の顔りん

「終わったか」

 

「ママりんボク汚されたりん。シュアにめちゃくちゃにされたりん」

 

「その姿はやめろ! 俺が襲ったに見えるだろう」

 

 うずくまって泣くスラりん。泣くスラりんを指して怒るシュア。


「スラりん。立ちなさい」


「はーい。ママりん」

 

「全く。悪ふざけしやがって」

 

「でも汚されたのは事実りん。シュアのあれでりん」

 

 ウソ泣きでけろっとしている。にやっと笑ってシュアを見る。


「お前人間だろう。絶対に分かってやっているだろう」

 

「さありん。でもそれでボクの体を遊んだのは事実りん」

 

「その辺でいいかな。お遊びは」

 

 スラりんはとぼける。シュアは計画的と責める。そんな二人の間に蛇が入って来た。


「えっ! はい」

 

「お遊びとはひどいりん!」

 

「くすぐりとアイアンくローだろ。お互い気がすんだろう」


「分かったりん」

 

 シュアは蛇の声かけに緊張して返事をする。一方のスラりんは違うと蛇に言ったが、蛇の一言で納得した。


「本題に入るぞ。この山に来たのは何だシュア」


「はい。頂上にある建物に盗賊が巣くっていて、その討伐依頼で来ました」


 シュアが直立不動で答える。

 

「うむそうだったな。そしてスラりん」

 

「何で君が今回いるのはなぜか!」

 

「分からないりん」

 

 一方のスラりん。考えもせずにさらっと言った。


「少しは考えろよ」

 

 蛇は嘆く。外れてもいいから考えて答えてほしいと。


「教えてりん」

 

 スラりんは片目を閉じた可愛い仕草で、両手を合わせてお願いする。


「そ。それは!」

 

 思わせ振りにする蛇に、ごくりと唾を飲んで緊張しながら見るスラりん。


「頂上に行ったら教えよう」


 蛇は向きを山頂の方へ変えて道を登って行く。スラりんはこけて体勢を崩す。


「シュア。お前もかりん」


 スラりんはシュアを見る。こけていて体勢を元にしている所だ。

 

「ふん!」


「何なの!りん」

 

 シュアがスラりんに気づいて顔を背ける。そして蛇の後を追って山頂への道を登って行く。それを見たスラりんは、不満げな顔で文句を言ってうさぎ跳びでシュアと蛇の後を追って山頂への道を跳んで行く。



「大きさは街の建物位だな」

 

 スラりんたちは山頂に着いて、蛇が建物を見て述べた。石壁で造られた兵士の詰所を盗賊たちが根城にしている。スラりんたちは少し離れた所で岩に隠れながら見ている。


「はい。中は分かりませんが、聞いたところ盗賊は二十人程と聞いております」


 シュアが隣にいる蛇にギルドで聞いた情報を言う。

 

(ボクも言いたいけどりん)

 

 シュアと蛇とは違う岩に隠れているスラりん。シュアと蛇に言いたそうな顔で見るが間に入れないのである。


「う~ん。どうするか? 中に斬り込むか。外で誘き寄せてやるか」

 

「私は外がいいです。広いところなら私の魔法が良いです」

 

 シュアの情報を聞いて考える蛇。シュアは自分の作戦を提言する。


「ファイア」

 

ボッ!

 

(手が熱くないのかりん)

 

 シュアは作戦の要の魔法を唱える。手の平に炎を出す。それを見て手の平を火傷しないのかと心配するスラりん。


「だったら、私は中だ。この尻尾で奴らを叩き潰してやる」

 

 蛇も作戦を決めて提言する。尻尾を上下に振って見せつける


(さすが、ボクたちを震わせた尻尾りん)


 スラりんは思い出す。あの逃げた尻尾攻撃を。ブルブルと震える。


「ステファニー様。私の魔法こそです」

 

 シュアも一歩も引かない様子だ。


「中なら接近戦メインだから、私が暴れる」

 

 蛇も引き下がる様子はない。お互いに私がと言っていると。


「ここでスラりんの出番だ」


「えっ!」


「スラりんに作戦を決めてもらおう」


 スラりんの方を見て突然に言ってきたのである。いきなり決める立場になったスラりんは驚きを隠せない顔だ。

 


「このスライムにですか......」

 

 蛇の言葉に、不満げな表情でスラりんを睨みつけて見るシュア。


「スライムでも馬鹿に出来ないぞ。スラりん。どれで行く。外。中。私は中だよ。ママの願いを叶えてね」

 

 右目をウインクして自分の作戦を採用するように、普段やらない可愛い仕草をした蛇。


「スラりん。外だよな。スライムとして認めてやるから外と言え!」

 

 一方のシュアは、腕を組んで上から目線で高圧的に言う。


「ママりんの案でいくりん」

 

 決断は早かった悩む必要もなかった。ママりんの言うことなら大丈夫と信じている。


「ありがとうスラりん。やっぱり魔物同士だね」

 

 自分の作戦を採用されて笑顔で感謝を言う蛇。


「チッ! 魔物じゃないくせに」


 舌打ちをして、スラりんを睨みつけて文句を言うシュア。

 

「じゃあ。決まった所で実行するぞ」

 

「分かりました」


 蛇が実行すると言うと、スラりんを不満げに睨みつける顔から真剣な顔つきになる。

 

「ボクはどうすればいいりん」

 

 スラりんは不安に。もしかして戦いに参加しろと言うのかと。


「スラりん。参加するか」


ふりふり。ぶるぶる。

 

 蛇がスラりんに参加を呼びかける。スラりん即座に首を素早く横にいっぱい振って拒否を示す。言われて体が震え出した。


「嫌か。仕方ない。隠れていろ。私とシュアが終わるまでここに隠れていろよ」


 スラりんはほっとする。自分はスライム。戦うなんてとんでもないと思っている。蛇の言葉に安堵して体の震えが止まる。


「では、ステファニー様。行きましょう」


「分かった」

 

 蛇も真剣な顔つきに変える。スラりんはいつもと違うシュアと蛇を見て胸が締め付けられる。自分だけ置いてかれるようで不安になる。


「ふん。ともかくスライムの様に震えてじっーとしていろ」

 

「何! りん」

 

「すぐに終えて来るから待っていろ!」

 

 スラりんの不安げな顔に気づいたシュアが言う。スラりんはシュアの言葉に怒りを覚えて跳びかかろうとするが、シュアがスラりんを指してここで隠れていろ!と強い口調で命令する。


「行くぞ!」


「はい!」


 前にいる蛇がシュアを見て合図をかける。シュアも返事して蛇の所へ歩く。


「頑張るりんよ!」


(待っているりん)


 建物へ向かう蛇とシュアに応援をする。蛇が尻尾を立てて応える。戦いに向かう蛇とシュアの背中を見て、自分の所へ無事に戻ってと願うスラりんである。

 


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