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スラりんを立たせたい  作者: like
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友よりん

チュン。チュン。


「うん? いつの間にか寝てしまったか」


 窓から日差しが差す。シュアは寝ぼけた顔で目をこする。夜が明けたんだと。


「どうやら戻っていないようだな」


 シュアは周りを見渡す。誰もいなく静かである。


「昨日のドタバタが夢のようだ」


 しみじみ静けさを味わっている。


きゅー。きゅー。


「うん? お前ここで寝ていたのか?」


 シュアは自分の腰から寝息が聞こえて見てみると、スラりんたちの争っていたスラぽんが眠っていた。


「この姿。スラりんが見たらぎゃあー! と叫ぶだろうな」


 シュアはくすっと笑う。あいつならやりかねないと。


シュタ。


「誰だ!」


 入り口から音が聞こえた。扉はスラりんとメイド服の女性に破られて真ん中が空いている。


「しっー! あまり大きい声を出すな」


「ステファニー様!」


 シュアが見たのはスラりんたちに追われていた蛇である。シュアの所に向かって行く。


「顔が疲れていますね」


「あいつら組んで私を捕まえようとするんだぞ。本当に食べられるかと思ったぞ」


 蛇はシュアの近くに着いていきさつを話す。その時のことを思い出して体を震える。


「あはは。大変でしたね」


「笑い事じゃないぞ。全く、私を食べると言うのはどこから出てくるんだ」


「スラりんですからね」


「あのメイドも引けを取らないぞ」


きゅー。きゅー。


「うん? このスライムは」


 蛇は声でスラぽんに気づく。


「置いてかれました。一緒に待っていたのですが眠ってしまって」


「そうか。でもこの姿をスラりんが見たら」


「ええー。「何でシュアがりん。ムキー」と跳びかかって来る姿が思いつきます」


「本当にあいつは凄いよ。私に恐怖を覚えさすのだから」


 蛇は尻尾でスラぽんの体をつんつんする。


きゅぅー。きゅぅー。


「何か苦しんでいないか?」


「そうですか? 私には分かりません」


「汗も出ていて、悪夢でも見ているのか?」


「恐るべし。スライムにも悪夢を見せるのか」


「まあ。昨日の出来事はある意味悪夢だな」


「まあ。いつも通りのスライムのスラりんで良かった」


 シュアはほっと胸を撫で下ろす。


きゅぅー。きゅぅー。


 スラぽんが汗を浮かべて苦しい声を出していると


「ふぅー。美味しいりん」


「友よ。感謝するぞ」


 何やら外から聞こえてくる声。スラりんとメイド服の女性が明るい声であり、足音からこっちに近づいて来る


「げっ! 戻って来やがった!」


 蛇はあたふたと動く。顔は動揺している。


「まさかあそこでなあー」


「ボクに任せるりん。スライムの神様は見捨てないりん」


 二人の声が大きくなっていく。蛇の動きも速くなる。


「ただいま! りん」


 扉の空いたところから入って、笑顔で手を上げるスラりん。


「ただいまりんりん」


 メイド服の女性もスラりん同様に入って、スラりんの口ぐせのりんを二回付けて言った。言葉の内容とは逆に固い顔である。


「戻ってきたのか」


「うんりん。戻ったりん」


 シュアが言うと、スラりんは頷いてシュアの所へ跳んで行く。


「友のお陰でこの腹が三日ぶりに腹が満たされたぞ」


 メイド服の女性も満足な顔でお腹をぽんぽんと叩いて、スラりんの後を追う


「スラりん様の実力りん」


 どや顔のスラりん。メイド服の女性に向ける。


「アメリス。生涯この恩忘れないぞ」


 メイド服の女性。アメリスも頭を下げて返す


「どうだりん。スラりん姉さんの力はりん?」


 スラりんが着く。にやけたスラりんがシュアの方へ向ける。


「はいはい。スラりん姉さんは凄いですよ。パチパチ」


「心が込もってない! りん」


 シュアの感情のない顔と声に怒るスラりん。


「いえいえ。ちゃんと感情を込めていますよ」


「ふん! 子供りん」


「そうだぞ弟殿。友は私の命を救ってくれたのだ。立派な人物だぞ」


 アメリスも着く。二人の話に入ってきた。


「弟殿も友を尊敬するがよい」


「そうりんりん」


 スラりんは言われて胸を張ってどや顔になる。


「妙な友達が出来たなあ」


 シュアが苦笑いをする。


「くっくっく。羨ましいかりん。仕方ないりん。うん?」


「どうした? 友よ」


(ヤバイ。気づいたか」


 スラりんの笑いが止まりベッドをじっーと見ている。アメリスは心配する。蛇が慌てる。なぜなら


(とっさに布団の中に隠れて、そっーと見ていたけど気がついたか?」


 蛇は隙間から外を見ていた。スラりんの視線がこっちに向いており内心汗だらだらである。


「ぎゃあー! りん」


「うわー!」


 スラりんの絶叫に、見つかると外へ出る蛇。


「うん? あの時の蛇ではないか」


 アメリスが蛇に気づく。


「な。何で! スラぽんさんがシュアの体の上で寝ているりん!」


 スラりんがシュアの顔を指で指して詰問する。指先がプルプル震えている。


「スラりん姉さんは友達をつくったんだもの。弟のボクもスラぽんと友達になってもいいでしょ」


 シュアはお返しも込めて、見せつけるようにスラぽんの体を擦ってニヤリとする。


「弟殿も良かったな」


「む。むっりん。ボクと言うスライムを姉さんに持ちながらスラぽんさんと友達にするとは、シュアもスライム好きりん」


 アメリスは笑顔で喜ぶ。スラりんは最初は納得していない顔だったが、最後はスライム好きと言うことで納得した。


「スライム好きって……」


 シュアは複雑な顔をすると


「それより友よ。これはどうする?」


 アメリスはスラりんに見せる。


「あれ? ママりん」


 アメリスが見せたのは蛇である。右手の指でつままれている姿である。


「不覚。私もこれまでか」


 ガックリする蛇。食べられてしまうのか?


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