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スラりんを立たせたい  作者: like
13/14

13話 本当に終わったりん


「無駄なことはやめるりん!」

 

 スラりんはメイド服の女性の顔をじっーと見つめる。


「私は本気だ!腹が満たせるためなら、鬼でも蛇にでもなってみせようぞ」


「いやいや。鬼になるほどの物かよ」

 

 メイド服の女性は真剣な顔で言う。シュアは呆れる。


「くっ!ボクもお腹が空いた苦しみは分かるりん。スラぽんさんと出会わなければママりんを食べていたりん」


「そう。あの蛇を焼いてガブリと食べればじゅるり」


「おい!ステファニー様を食べるとかって何だよ!」

 

 スラりんがメイド服の女性の言葉に同意して顔を背ける。メイド服の女性はよだれを垂らしてあさっての方を見てる。シュアは蛇を食べると聞いて驚いて問いただす。


「このスライムに浮気したのが愚かだ。大きさに惑わされてしまって」


「分かるりん。スラぽんは食べたいぐらいに魅力あるりん」


きゅー!きゅー!


「こらー!ステファニー様をどうしたんだ!」

 

 メイド服の女性はくっ!と悔しい顔をする。スラりんも分かると顔に出す。スラぽんは話しを理解したのか叫ぶ。シュアは体を乗り出して蛇の状態を尋ねる。顔は必死である。


「シュアりん!黙るりん!」


「そうだ!これは私たちの話しだ」

 

 二人そろって顔を揃えて向けて注意したのである。


「お前ら。対立してたのじゃないのか?」


「そこはそれりん。スライムの魅力が分かる人りん」


「私も蛇を捨ててスラぽん?にくら替えした女だ。このお腹が求めているんだ!」

 

 シュアは尋ねる。スラりんが笑顔で説明すると、メイド服の女性は叫び出した。


「他に求めなかったのかよ」

 

「悲しいりん。スライムの魅力を分かりあえった同士だけどりん」

 

 シュアは呆れる。スラりんは目を瞑った。しばらく沈黙が続いて、


「スラぽんさんを食べさせはしない!りん」

 

 目をカッーと力強く開けて、メイド服の女性を指で指して宣言する。その顔は真剣そのものである。


「友よ。残念であるが私も命がかかっているので譲れないのだ!」

 

 メイド服の女性もスラりんの目を力強く見つめる。


「いやいや譲れよ。食べ物は他にあるぞ。争う物か?」

 

 真剣な目で見つめ合う二人を見て、シュアは右手を振って違うだろうと言う。


「素人は黙っているりん!」


「そうだ!これは私たちの問題だ!部外者は去れ!」

 

 シュアの言葉が聞こえて、二人は顔を揃えシュアを見て怒る。


「すまない」

 

 シュアは二人の気迫に押されて大人しく謝る。


「分かればよい」


「うんりん。スライムの問題に素人は入るなりん」

 

 二人はうんうんと頷く。そして、


「スラぽんさんを返すりん」


「返さない!私の一部になるのだ!」

 

 スラぽんの取り合いが始まる。スラりんが返せと両手を上げて取ろうとすると、メイド服の女性は持っているるスラぽんを取られまいと持ち上げる。


きゅー!きゅー!


「スラぽんさんはお前よりボクを選ぶりん」


「何を言う!私の一部になることを選ぶのだ!」

 

 二人のスラぽんの取り合いが続く。取ろうとするスラりん。取られまいとするメイド服の女性。真剣な顔でやっている。スラぽんはただ叫ぶことしか出来なかった。



「あのメイド服の女性。スラりんの攻撃をかわし続けているな。ただ者じゃないな」

 

 スラりんの素早い手の動きをスラぽんを持っていて、難なくかわしている姿を見て感心する。


「中々やるりん。でもスラぽんさんへの想いはボクが勝つりん」


「フッ。スラぽんは私に食べられたいのだ」

 

 取り合いを停止する。お互いに見つめ合っている。


きゅー!きゅー!


「照れ屋さんめ。そんなに嬉しいのか?」

 

 スラぽんは叫ぶ。メイド服の女性はぎゅっと力強く絞めて逃がさなかった。嬉しそうにスラぽんの体に頬すりをする。


「はーい!お食事出来ましたよ」

 

 台所で食事を作っていた看護婦がスープを入れた器を持って来た。


「こ。これは!」

 

 体をわなわなと震わすメイド服の女性。自分の横を通ると


「しゃあー!渡すのじゃ!」


ぽてん。


「あっ!ボクにも渡す!りん」


 メイド服の女性が看護婦に襲いかかる。抱えていたスラぽんが床に落ちる。スラりんも気づいて負けじと襲う。


「えっー!」

 

 看護婦は驚いて叫ぶ。メイド服の女性とスラりんが両方から近づいて来た。


「おいおい。スライム無視かよ」

 

 スラぽんが床にぽつんと居る。二人が狙うものは


「その器を渡すのじゃ!」


「食べ物をボクに!スライムにちょーだい!」


 お互いに叫び合って、看護婦の持っているスープを取ろうと手を差し出す。


「いよいよ我が腹に三日ぶりの食料が」


「これでスラぽんさんと姉妹りん」


 どっちもあと少しで手に届く。二人ともニヤッと笑う。どちらが取るのか?


「きゃあー!」


パリーン。


ボト。


「••••。フッ」


「りん」


 二人の手には何も無い。ただ見つめ合っている。


きゅうー。


「何やってんだ?」


 看護婦は二人の行動に恐怖を覚えて、思わずしゃがんでしまった。そのときにスープを手から離してしまって床にぶちまけてしまったのである。


「お前が悪いんだ!友に譲ればいいのに!」


「何を言うか!りん。可愛いスラりんに譲るのが筋りーん!」


 今度は取っ組み合いの喧嘩を始めたのである。


「ふぅー。着いたか」


 蛇が疲れた顔で入り口に着いたのである。


「くぅー!」


「りーん!」


「これは何だ?」


 蛇が目にしたのはお互いに手をつかんで力比べしている二人である。思わず言葉を出すと


「うん?」


「あっー!りん」


 二人は蛇の存在に気づいて、蛇に視線を移す。


「こうなったら蛇の丸焼きでもいいか。もう!何でもいい。腹に含まれれば」


「そうりん。ボクもスラぽんさんがいるから我慢していたけどりん。じゅるり」


 二人は手を離して、じわりじわり蛇に近づいて行く。


「君たち。目が怖いのだけど。冷静になろうね」


 二人の見る目に怖れる蛇。距離は近づいて、


「しゃあー!食べさせるりんりん」


「りんはボクらスライムだけ使えるりん。本家を見せてやるりんりんりん」


 二人は蛇に襲いかかる。その顔はゾンビの様である。


「ぎゃあー!」


 蛇は叫んで外に出て走って行った


「待て!」


「娘を助けるりん!」


 二人も外に出て、蛇を追いかけて行った。


「風。いや暴風の様な奴等だな」


 一部始終を見ていたシュアがそう言うと、


ぷよ。ぷよ。


 スラぽんが体を揺らしてシュアの所へ来たのである。


きゅー。きゅー。


「うん?お前置いてかれたな」


 スラぽんが声をかけると、シュアは苦笑いをする。


「本当にお前はとんでもない奴に出会ってしまったな」


きゅー。きゅー。


 スラぽんを見る目が優しい。それを分かったのか、


ぽよん。


 スラぽんは体をジャンプしてベッドに乗ったのである。


きゅー。きゅー。

 

 シュアの寝ている上半身に自分の体をすりすりしたのである。


「あっはっは。分かっているか。お互い様だな」


 シュアは笑顔でスラぽんの体をなでる。ここに絆が誕生したのである。


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