表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

悪役令嬢が活躍する乙女ゲーム逆転小説のざまぁされるヒロインに転生したんだけど。

作者: 耳たぶもちこ

某小説サイトに投稿されるラノベを読み漁ってた私。

本来断罪されるべき悪役令嬢が、お馬鹿ヒロインをざまぁする物語が大好きだった。


特に『悪役令嬢に転生したので、死亡エンド回避します』が大好きだった。


人気が出て、無料で読める小説サイトから、書籍化、コミカライズに至り、舞台化に映画化さらにゲーム化までした小説だった。


自称聖女のヒロイン(笑)は、禁断の魅了魔法をバンバン使いまくり、王太子、公爵令息、騎士団団長の息子、最年少で宮廷魔導師になったショタの逆ハーレムを作る。彼らには、それぞれ婚約者がおり、王太子と悪役令嬢は婚約を結んでいた。

自称聖女ヒロインが、せっせと逆ハーレム作ってるその間に悪役令嬢と幼馴染のイケメンが手を組んで、魅了魔法にかかった王太子と自称聖女ヒロインにざまぁする内容だ。


とにかく、テンプレートな話だったけど、ざまぁが凄まじく、ファンはスッキリさっぱり、ストレス発散出来て大喜びした。


ま、どうして私が過去系で話しているのか。

大体皆察していると思うけど。



私、悪役令嬢





じゃ無くて、自称聖女ヒロイン(笑)に転生しちゃいました~。


まじか。



男爵令嬢のアマリア・スミス。

お約束の貧乏男爵。

更に貧乏な理由が領民の為に、税金を低くしているからとかではなく、女遊びをしているからだ。

父親が凄いゲスくて、庶民の女性相手にあちこちで子供を作ってたうちの1人が私だ。

普段は放置してるくせに、一番顔のいい私を家に迎え入れた。


『確かお前の母親は魔女だったな。魅了魔法が使えるはずだから。鍛えて上級貴族から金をむしりとれ』


ゲスい父親のこのセリフで私は前世の記憶を思い出したのだ。

しかも、ろくに淑女教育を受けさせてくれないままに、貴族学校に放り込まれた。

魔女独自の魔法に、回復魔法に似たものがあり、その力を聖魔法と偽り、入学申請したらしい。


くっ。もう色々詰んで無いか?

今頃悪役令嬢こと、イザベラ・レイアース様は、幼馴染のイケメンとざまぁ展開にするためにいろんな対策を練っているはず。


私が出来ることは、王太子に父親の所業をちくり、聖魔法使えなくて、魅了魔法使えますって自己申告すること。

それから魅了魔法は使わないことを誓うことだけだ。

心配なのは、魅了魔法の使い手は少なく、防ぐ対策が無いことだ。

対策があった場合、小説の話が破綻してしまうからだと思うけど。


早速入学して、王太子にチクる気満々だったのに、問題が発生した。

王太子に近づけない!

回りは取り巻き兼護衛達が囲んでいるし、イザベラ様に対抗意識を持ったご令嬢が押し掛けているし。

イザベラ様は、王太子の婚約者回避は出来なかったみたいで、バッチリ婚約者のままだ。


小説の自称聖女ヒロインは魅了魔法を使って近づいたんだろうなぁ。

魅了魔法は使わずに接触しないと、王太子から信頼されないだろうし。



そんなこんなで、時間がどんどん過ぎ去った。

私は結局王太子に接触出来ず、ついに小説でざまぁされる卒業式になってしまった。


卒業式では、逆ハーレムメンバーはそれぞれの婚約者を伴い幸せそうだ。

ただし、悪役令嬢のイザベラ様は、王太子の隣にいながら私を凝視している。


ひぃ~。


恙無く、卒業式が終わり、ゲスい父親が怒りの形相で保護者席から飛び出し、私を引き摺り出した。


「どうして、金を寄越さないんだ。一体お前は誰のおかげで学校に通えていると思ってる?!今からでも遅くない!謝恩会で彼らに近づき、たらしこめ!さもなくば、お前をヒューイット侯爵に売り払うぞ!」


ヒューイット侯爵とは、60過ぎのじいさんで、女性をいたぶる趣味がある。

しかも貴族の娘を嫁として迎えいれ、さんざんいたぶって殺していると噂の人だ。息子がいるのに引退せず、貴族社会にしがみついている。


私はふと思った。


最初からこうすれば良かったよね?

ゲスい父親に魅了魔法かけて、性根を変えてやるのだ。

なんだ、簡単なことじゃん。

幸い魅了魔法使えること知ってるのこいつだけだし。


私が魅了魔法を使おうとした時だった。



「あんた、ふざけんじゃないわよ!」



という声と共に

バシッと頬を叩かれた。

私は見事に回転して転がった。


ちょ!イザベラ様やないか。


「あんたのせいで、王太子と結婚しなきゃならないじゃない!私はクリスと結婚したかったのにぃ!クリスにも、話が違う、お前の虚言に長年騙されたって振られるしぃ。」



いや、知らんがな。



わんわん泣くイザベラの真後ろに、魔王…じゃなくて王太子がいますけど?



それから、私達は事情を聞かれるために呼び出された。

役所の偉い人に事情聴取されたので、小説の話はせずにゲスい父親が、金の為に貴族子息をたらしこめと言われたことをチクった。

聖女じゃないことも、魅了魔法のことも。


そう、別に私は王太子にこだわらず、役所の偉い人や学校関係者に相談すりゃ良かったんだよね。

小説の世界だって思い込み、王太子じゃなきゃって考えてたよ。


私はその後、定期的に監視されることになった。

どうせ監視されるなら、王宮で鬱などになった人達に魅了魔法で精神ケアをするお仕事をしたいと掛け合ったところ、上手く就職出来ることに。



それから、上司の勧めでお見合いし結婚した。

私の予想では彼も監視要員だ。

彼は非常に堅物だけど、私を大事にしてくれる。

多分彼の様子が変わったら、私は捕まえられると思う。

魅了魔法を使ったとみなされて。


数年結婚生活を続けた私に、旦那は寂しそうに一言だけ

「すまん。お前のことは好きだ。だが、態度に出せない。」

その一言は許されるギリギリのラインなのだろう。

私も一言だけ告げた。

「知ってる」

旦那は一瞬目を見開いた後、私をそっと抱きしめた。



それから、私は可愛い子供に恵まれ幸せに過ごした。


イザベラ様は、大きな声で他の男と親密だったことを暴露したため、王妃に相応しくないと、婚約破棄されたらしい。家には勘当され、喜び勇んでイケメン幼馴染の元へ行ったが門前払いされ、仕方なく親に頭を下げ、田舎の領地で1人寂しく暮らしたらしい。

大きな声で騒がなければ、そのまま王妃になれただろうけど、心は日本人だとしたら、好きでも無い男に嫁ぐよりはいいのかな?と思った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公、知っている小説の世界なのに殆ど何も出来ないまま、しないまま卒業を迎えたのがリアルで良かったです。そうそう無双的なこと出来ないよなーと思います。 それと、主人公の旦那、良き旦那~。…
[一言] なんかヒロインをざまぁ展開にしないようにするために無理に悪役令嬢を悲惨な目に合わせたようにしか見えないのであんまりでした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ