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ある街で人食いババアが出るらしい

作者: いよかん

ちょっと思いついたので書いてみました、初投稿です

ある街で人食いババアが出るらしいという噂を耳にした。

人食いババア?なにそれ、

当然冗談だと思うだろう?僕もそう思った。ただ、毎日暇を持て余していたし、ちょっと興味本位でその村に立ち寄った。

その村にいくバスの本数は一日わずか2本。朝に到着して夜に帰宅する感じか…ババアの噂に1日を無駄にするのはしゃくだが、もともと暇で暇で仕方ないのだ。予定もなかったし行ってみようと思った。

街に着いた。僕はてっきり田んぼや森が広がる片田舎を想像していたが…確かにそこは田舎で田んぼが広がっていたが何かが街の雰囲気と不釣り合いだった。

僕は通りすがりの人に声をかけた。

「すみません、ちょっといいですか?」

人食いババアの噂を聞いてやってきたというのはとてつもなく間抜けな気がするが実際そうだから思い切って

「ここらへんで…」人食いババアが出るという話を聞いたのですが、と続けようとして言葉に詰まった。

僕が話かけたのはロボットだ!と直感的に思った。思わず後ろに下がる。

人間にそっくりだがどこか違う!はっきりいってすごく不気味だ。

「こんにちは、どうかしましたか」

僕が男の人だとおもって話しかけたものは僕の動揺に気付いているのかいないのか丁寧にこう言った。

「あ、あなたロボットですよね?」

「ええ、まぁ、そうですけど」

不思議そうにしている。まゆを潜めているところが人間っぽい。表情までされているなんて、なんて性能のいいロボットなんだ。

「この街はほとんどおばあちゃんの土地でして、ワタシ達はおばあちゃんの畑を手伝っているロボットです」

「そうなんですか、」

普通、畑を手伝うロボットといえば人型のアンドロイドではなく大きい車に稲刈り用の刃物がついた乗り物を思い浮かべるが、最近の農家事情には疎いのでなにも言わないでおいた。特に興味があるわけでもない。

「人食いババアがでるとかいう噂をきいてこの街にやってきたのですが、…そんな話、あるんですか?」

僕は本題に入った。それにしても人に似せたロボットというのは見るだけでもこわい。話終わったらさっさと離れよう。

「人食いババア?この街にババアにあたる人は1人しかいませんが人食いではないですね。」

「まぁそうですよね、僕も半信半疑できただけですし…もし本当にいたとしたらなにをするわけでもありません。」

「そうですか、ではおばあちゃんに会いますか?」

どうしてこの流れでロボットのおばあちゃんの話が出てくるのだろうか。コミュニケーションスキルはまだ低いのかもしれない。

ロボットはわらっていった、「いえこの街に来る電車は1日2本で今日は1本通ったのであとは午後なんですよ。ここら辺はど田舎で客人をもてなす店もありません。ですからよかったらうちに、と思いまして…」

ふうん、それもいいかもしれない。人食いババアの代わりに人型のロボットのおばあちゃんに会ったという体験ができる。

このロボットは少しこわいけど暇を持て余すのはもっとこわい。

僕はロボットについて大きな家にたどり着いた。

僕とロボットが家に近づくと扉が空いておばあちゃんが出てきた。「よくきたね、喉、乾いてないかい?冷たいスープを用意しておいたよ。」

なんて人の良さそうなおばあちゃんなんだ。逆にこわい。

だがしかし、僕は思った。どうしておばあちゃんは僕が来ることを知っているんだ?スープまで用意するなんてなんか不気味だ。やっぱり帰ろうか。もしかして、僕をスープの具材にしようとしているんじゃないだろうか!そう思ったとたん僕はダッシュできた道を戻った。

おばあちゃんには悪いが僕はこういう人間だ。

するとどこからともなく人が現れて道を塞いだ。ロボットだ。あの、はじめにあったロボットとは違う。

僕は脇をすり抜けようとした。「逃げ道はこっちよ!来て!」逃げ道と聞いて僕はそのロボットについていく。チラッと後ろを振り返るとたくさんのロボットが僕を追いかけてきていた。遠目から見ると人の群れだが、走り方からロボットだとわかる。

「なんだよあれ!」

「こわい思いをさせたかもしれないけど、悪いことはなにも起きないわ」

「だ、だって僕を捕まえて、す、スープの具材に…!」

女のロボットはわらった。

「あっはっはっは!全く面白いことを言うのね!まぁそうなるわよね、これがおばあちゃんの趣味なのよ。」

「趣味?趣味って…ロボットに人を追わせる?」

「そ!おばあちゃんはねー冒険心のある若者が好きなのよ!それで街にきた子供のクローンをロボットで作って一緒に住まわせているの、だからあなたに悪いことは何も起きないわ!今日はぐっすり眠って帰るだけ、気がついたらバスの中よ。」

そう言って連れてこられたのはいろんな機械が並ぶ倉庫の中だった。

「え!どういうことだ…よ」

睡眠ガスが流れていたのか…ロボットには、きかない…

「クローンのあなたには、仲間になってもらうけどね!」

女のロボット、クミは倉庫から出ながら言った。

ここはババアとロボットが住む街、ロボット達はババアにこき使われ続ける。ただ一つ、ババアから自由になるためには新たに街にきた人間を捕まえて仲間を作ること。

たくさん仲間を増やしたロボットは昇格し、ロボットをこき使うことができる。

そうやってロボットが増えた暁には世界中をロボットで満たしてしまおうとするババアの野望である。

ババアはいつか死ぬ。人間はいつか死ぬ。ロボットは壊れるまで死なない。ババアの野望を抱いたロボットが世界を征服する日はくるのだろうか。僕はそんなことを夢に見ながら帰路に着いた。帰った頃にはもうあの街のことなど覚えていなかった。

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