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今日は戦士長から護衛はいらないと言われたために学園内を自由に歩いていた。これは皇帝に許可されているために問題ない。と言っても昨日ほとんどクリストファー王の護衛として回ったために、見るところもない。


「練習場か…」


どうやら演習場と違い、学園の敷地の外側にあるために民間人にも開放されている場所の様だ。学園の生徒もいれば冒険者のような服装をした人もいる。


「体を慣らすか」


中は演習場と違い草が生えておらず、人に見立てた木や魔法を当てる用の的がある。


「まずはイシュダルからだな」


木の目の前に立つと、居合の構えをする。


「フッ―」


刀を振りぬくと、バラバラバラっと木が横に細かく切れ、地面に落ちる。


「力を籠めなくてもこの切れ方。やはり凄まじい切れ味だな」


切った木を渦に入れ、次は的の前に移動する。そしてダークアローの魔方陣を一つ横に作る。


「込める魔力はこの程度でいいか」


少し多いかもしれないが練習場は破壊しても大丈夫と書いてあったしな……大丈夫だろう。きっと。


そしてダークアローを的に向けて飛ばすと、風を切る音が聞こえたかと思うと的があった場所が爆発した。


「む、やはり少し多かったか」


すると、近くに教員がいたのか直ぐに練習場に飛んでくる。


「何事だ?」


と、いいながら明らかに私の方を見ている。まぁ爆発している目の前に私がいるのだから仕方ないか。


「お前…ケイか……?」


どうやらこの女性教員は私のことを知っているようだ。少し記憶を遡るか。


「どうしてお前がここにいるんだ?いや、それは聞かない方がいいのか?」


なるほど。この女性、クリスとは友人と言われる仲なのか。


「ケイ?」

「あぁすまない。もしかしたらと思っていたが本当にクリスがいるなんて驚いたよ」

「…いつからそんなに気持ち悪い喋り方になったんだ……?」

「随分と辛辣だね」

「そうかもしれないが……喋り方が変わっただけではないような気がする」

「そうかね?確かに喋り方は前より変わったかもしれないがいつかは元に戻る」


そういえば皇帝が人格が二つあるということに気づいたきっかけであるあの手紙の送り主は誰なのだろうか?


「すまないが少しだけ場所を移動しないだろうか?」

「私はいいがクリスはいいのかね?」

「お前のことに比べたら全く問題ない」


そしてエリオットが現在泊っている部屋に到着する。どうやらクリスはエリオットにも私のことについて相談するようだ。


「やぁケイ。何か大変なんだって?」


いつの間に教えたのか、エリオットも少しは状況を知っているようだ。


「私自身はそうでもないのだが……」

「と、いうことなんだ。何かしらの呪いや魔法の影響を受けているのではないかと思ってな」

「あーなるほどね。視たら分かったけど呪いじゃないね。多分魔法だと思う。魔道具とかの可能性もあるかな」

「ふむ。どこに問題があるんだ?」

「脳だね。多分洗脳系統の魔法だと思うけどケイは普通に動けてるしコミュニケーションが拙いってわけでもないからなんでなんだろうね?」

「魔法は発動しているのか?」

「そうだね。確実に発動しているはずなんだけど問題なさそうだしさー」

「私も聞きたいのだがこの魔法はどうやったら解けるんだ?」

「んー簡単なのは他人が魔法にかかっている人の魔力に合わせて魔法を発動している原因の魔力を吹き飛ばすことなんだけどさ」

「魔力を他人に合わせるのなら私でもできるぞ」

「いや、クリスがそう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ。一つ問題があって」

「何なんだ?」

「魔力を流すのにキスをしないとダメなんだよね?」

「……」

「それでは駄目ではないか。クリスが嫌だろ」

「でもさ。普通なら腕をちょっと切ってそこに唇を当てて魔力を流せばいいんだけど脳だからさー下手に外傷つけて魔法が暴走されても困るしどうしようもないんだよね」

「私の方でも少し調べてみるとしよう。帝都の図書館にでも行ったら魔道具の解除方法などいくらでも書いてあるだろう」

「でもケイがかかっている魔法相当強力だから結局それしか方法ないと思うんだよねー直に流し込むのがやっぱ一番効くし。ほら、薬とかと一緒だよ。塗り薬より飲み薬の方が協力でしょ?」

「す、すまないが少し考えさせてもらう!」


そしてクリスは、早歩きに部屋を出て行った。


「あちゃーやっぱ女の子にはキツい内容だったかな?」

「エリオット。私も部屋に入ってから疑問に思っていたことがあるんだが聞いてもいいだろうか?」

「ん?いいよ」

「なんで男装をしているんだ?」

「はぇ?」

「どうしたんだ?」

「僕は男性だよ!どこで女性だって思ったんだい?」

「ふむ。何かバレたらまずいことがあるのか……そうだな分かった理由だが今まで私は全く気付いていなかった。今の私は目が非常にいいからね。よく見たら女性の特徴が完璧には隠れていなかったんだよ」

「へ、へぇーそうなんだー」

「すまない。言わない方が良かったか?」

「いや、ケイにだったら…大丈夫かな?」

「そう言ってくれるとありがたい」

「でも絶対他の人に言っちゃだめだよ?」

「元々言うつもりはない」

「ならいいけどさ」

「では私の疑問も解けた。エリオットからしたら重要なことかもしれないが私はこの魔法を解く方法を調べてくる」

「あー全然大丈夫だよー。ケイも大変そうだからね。いってらっしゃーい」

「あぁ」


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