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ヘリサスに戻ると、既に道は軍の隊列を乱すのでは?というほどに人であふれかえっていた。一番最初に帰ってきたのが王国竜騎団であったのだが、竜騎団には戦争などに勝利した時には人の大勢いるところで旋回をしたり、ブレスを空に向かって吐くなどの動きによって勝利を伝えることがあるのだが、それをしたために直ぐに道沿いは人であふれかえった。


「ケイー早く帰ってスイに飯作ってもらおうぜー」

「お前の頭は飯のことしか考えてねぇのか」

「えーあそこのご飯は僕もおいしいと思うけどなぁ」

「おいしいのは認めるけれどルカの場合は食べすぎなのよ」

「食べたら成長するのだからいいことではないか」

「そんなにおいしいのであれば私も食べてみたいな」

「おう!めちゃくちゃうめぇぞ!」

「ではこちらでもとても美味しい料理をお出ししましょう」


ケイたちに立ちふさがるように軍服を着た男が話しかけてくる。


「無視してくださってもかまいませんが私の役職を言いますとリハージ王国王族専属転移師です。国王様からの伝言ですが、至急王城に来るようにと」

「賢者の私は行っていいのかな?」

「国王様には許可されているので構いません。しかし他の皆様は許可されていませんので申し訳ございませんが連れていくことはできません」

「国王様からの命令であれば仕方ないね。僕たちが逆らうわけにもいかないし」

「そうだな。行ってくるといい」

「じゃあちょっと行ってくるか」

「私も一緒に飛ばしてくれないかな?」

「わかりました。では行きます」


~~~~~~~~~~


「国王様。連れてまいりました」

「ご苦労。では賢者様を案内して差し上げろ。ケイはそこに座れ」


転移すると、今回は国王様の両側に騎士団長と戦士長がいた。


「賢者様はどうぞこちらへ」


転移魔法使いの男がスカーロを案内して部屋の外に出ていく。


「ケイ。戦争での活躍は聞いている。よくぞ皇帝相手にあそこまでの奮闘をしてくれた。感謝する」

「いえ、この程度国王様に感謝されるほどのことではございません」

「そう言うな。あれほどの活躍であれば貴族にすることもできれば特別部隊さえ作ることが可能なほどの活躍であった」

「お褒めにあずかり光栄です」

「それでよい。さて、本題となるがこの内容は仲間にもしゃべることを許可せん。もし口を滑らしたなどということがあれば直ぐに捕らえて処刑させてもらう」


国王様が殺気とはまた別の圧を放ってくる。


「承知いたしました」

「ケイを呼び出した理由だが、お前には執事になってもらう」

「……へ?」

「はっはっは。まぁそうなるであろうな」

「!失言失礼いたしました」

「よいよい。いきなりであったからな。ケイに執事になってもらうのは帝都に行くときだけだ」

「帝都…ですか」

「そうだ。先ほど戦争が終戦したとの知らせを聞いてから直ぐに帝国の使者が来た。今は待たせているが内容としては戦後処理等の話をしたいから国王自らが来てほしいということだ」

「失礼ながら言わせてもらいますと、それはあまりにも異常では?戦後処理で国王様自らが行くなどこのような状況では恨みを買った敵地に自ら赴くようなものです。なにより使者に行かせればよいのでは?」

「貴族でもないのによく学んでいるな。そうだ。普通ならばその通りなのだが、相手は帝国。帝国という名だけで我が国程の大国でさえ震えずにはおられんのだ。帝都に行くなど普通ならばあり得ないが何事にも例外というものはある。そしてだが、帝都に行くには護衛が必要だ。騎士団長と近衛騎士団長は同行させるつもりだが、帝都に行くとなると二人にはすまぬが心もとない」

「確かにあまり連れて行ってしまえば周辺国家に攻撃される可能性もあります。流石は国王様です」

「この程度そこらの貴族でもわかることだ。そこでケイ。お前だ。お前には私の護衛をしてもらう」

「護衛なのに執事ですか?」

「そうだ。騎士というのは確かに私をいつでも守れるようにそばにいるが、それは執事やメイドも同様。騎士などは部屋に入るときは人数が決まっていることが多いが、執事一人二人程度なら問題ないだろう」

「なるほど」

「一つ聞くがお前は手で戦えるのか?」

「いえ、ほとんど無理ですが、空間から武器を取り出すことなどはできます」

「……そうか。ならばよい。そして一番の問題点なのだがケイ。お前は執事などやったことがなかろう?」

「はい」

「そうであろうな。だからお前にはしばらくこの王城で執事として働いてもらう」

「!?…わかりました」

「なに、直ぐにはすぐだが今すぐと言わけではない。荷物もあるであろう。一度ヘリサスに戻り、別れを済ませ、荷物をまとめたのであれば王城にもう一度来るがよい」

「国王様のご厚意に感謝します」

「本来であれば断られても仕方ないのだ。文句を言われても仕方がないが感謝される覚えはない」

「そんなことはございません」

「ふっお前はまるで貴族のようだな。私が何を言っても世辞しか言わん。女相手にはそれでいいかもしれんが男はあまり喜ばんぞ?」

「いえ、本当のことを言ったまでです」

「本当に貴族の素質があるやもしれんな。どこかで学んだのか?」


ケイは元の世界でも普通以上には勉強はできた。ただ、この世界でもどこで学んだのかを調べるくらいの情報収集能力はあるだろう。ならば、独学と答えるのが一番だろう。


「恥ずかしながら独学です」

「ほぉ。独学でそこまでの知識を身に着けたのか。ならばケイよ。本当に帝都から帰ってきたときに貴族になるかを検討しておけ」

「検討させていただきます」

「うむ。ではケイをヘリサスまで送り届けろ」

「承知いたしました」


いつの間にか帰ってきていた先ほどの軍服を着た男が答える。


「お送りいたします」

「ではケイよ。また会おうではないか」

「またお会いできる日を楽しみにしています」


国王の満足そうな顔を最後に、視界が切り替わった。


リハージ王国の情報

リハージ王国王族専属転移師 王族専属の転移師。王国にも帝国ほどではないが転移師が数人いるため、非常に重要な存在となっている

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