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カテリ平原上空


空に魔方陣が現れ、その上にケイの姿が現れる。その手にはバッドが作った瓶が握られている。


「あんなこと言われたら飲みたくなくなるな……」


暫く、といっても数十秒程度だが、瓶を見つめたケイは意識分裂を使うことにする。


「【意識分裂】」


意識分裂を使ったケイは、瓶の蓋を開け、一気に飲み干す。ケイが完全に制御していた魔力が空気中に漏れ出す。が、それもすぐ止まると今度はケイの鎧が陽炎のように揺れて見え、鎧の中のケイの肌はぷつぷつと肌が破け、血が出てきている。


「使い方はわかるな。…【神の雷(ゴット・ドナー)】」


すると、晴天だった空が曇天になり戦場全てが雲に包まれる。陽炎のように見えていたケイの体も元に戻り、肌が切れるのも止まった。


試しに手を下にかざしてみると、雲から雷が落ちてくる。それを少し操ると、ヴァイスが作った龍の倍以上の物ができる。


「今のところ問題はないか」


問題がないと確認すると、更に雷を落とし龍を作る。


「これだけいればいいか」


ケイの周りには百メートルはあるであろう龍が十体いる。


「行け」


ケイがそう言うと、龍たちは城に向かって突っ込んでいく。すると、城を守るように白く光る結界が龍の行く手を阻むように現れる。龍たちは口に雷の玉のようなものを銜えて、結界に衝突する。


~~~~~~~~~~


帝国帝城


「エルファ。あの魔法はなんじゃ?」

「魔方陣が見えないから天候魔法に分類されると思うけれどあんなに黒い雷は見たこともないし雷を落として生物に変えるなんて聞いたこともないわ」

「じゃあ僕たちと一緒でオリジナル魔法を作ったんじゃない?」

「その可能性が高いのだけど、あの規模の魔法を発動できるはずがないのよね……」

「さっきあやつが転移で消えた時にいた執事服の男の魔力も観測しときたかったんじゃがなぁ」

「スーラだけ上位結界魔道具を持たせて転移させておきましたので直ぐにあの執事服の男と鎧の男の現在の魔力量は送られてくるかと」

「あの男に目をつけられたらスーラに持たせた上位結界など簡単に吹き飛ぶと思うが…」

「なので遠見の魔眼を全力で使わせて視させています」

「何かあればすぐに転移で戻ってくるじゃろう。そこまで心配せんくてもいい。今はそれよりも陛下じゃ」

「陛下なら耐えられるんじゃないのー?」

「あまり言いたくはないが分からないな。陛下自身は強いのはわかってるがあの城を出すこと自体が稀でしかもあれほどの巨大な魔法と正面からぶつかり合ったことがない。だから分からない」


今こうしている間にも黒く、長い生物が作られていく。


「本当に準備しといた方がいいんじゃない?」

「いや、しかし……」


アルベールが何かを言おうとすると、部屋の隅に魔方陣が現れる。幹部たちは直ぐに其々の武器を手に取り、魔法陣も作り魔法の発動準備をする。


「スーラか」


転移してきたのはスーラだった。


「はっ。皆様おそろいの所申し訳ございません。至急お伝えしたいことがございましたので」

「まぁよい。いってみぃ」

「ゼオン様ありがとうございます。執事服の男と鎧の男の魔力量ですが、執事服の男は人間ではなく魔物に似た魔力の流れ方でした。カレラ様のおっしゃっていた死を司る魔物の可能性が高いかと」

「それであの鎧は?」

「転移で出現した後に爆発的に魔力が上がったものの正体不明の魔法を発動した後に魔力が上がる前と同レベルに減りました」

「魔素吸収でも使ったのかしら?」

「何で増えたかは知らないけど魔力がそんなに爆発的に上がったら激痛でショック死しない?僕が前作った魔道具でも結局ショック死しちゃったし」

「どっかの誰かさんみたいに痛み感じないんじゃない?」

「失礼ですね。私だってこんな体で生まれたかったわけじゃないですよ。まぁ今は感謝していますが」

「痛みがないということはほぼないじゃろ」

「えぇそうね」


~~~~~~~~~~


龍を十体突っ込ませると、結界によって四体が消滅した。が、結界を破壊し、城をほぼ崩壊にまで至らせた。空はまだ雲で太陽が全く見えない。そして城から光が出現する。その光はこちらに向かってきている。ケイは雷を操り、龍を三体待機させる。光がケイの目の前まで来ると、急に停止する。ケイが光だと思っていたものは、白いドラゴンだった。その上には皇帝が乗っている。


「中々やるではないか。久しぶりにこれを使った」


皇帝がこれというのはきっと背中に現れている翼のことだろう。翼といっても片方にしかなく、背中についてるわけでもなく、浮いている。形も鳥の羽が離れて浮いており、白く光り輝いてるために、翼といっていいのかわからない。体も赤い鎧に包まれているが、王国軍等の兵士と比べると鎧がとても薄そうに見える。


「しかも一発の魔法であれほどまでに城を破壊されるとはな。我も訓練を怠った罰が来たのかもしれぬな」


皇帝が自分が作り出した城を見て、クククと笑いながら言う。ケイは皇帝に対して何も言わずに龍で攻撃をする。龍が近づくと、皇帝が腰につけていた剣を抜き、龍を切り裂く。切り裂かれた龍は、魔法であり、雷であるために、空気中に放電し、爆発する。


「やはり神装(しんそう)を使っていなければ危なかったな。しかし我が喋っているのに攻撃をするとは、お前は礼儀を知らんのか?」


皇帝の笑っていた顔が無表情になり、とてつもない殺気を飛ばしてくる。きっとこれも何かのスキルだろうが、ケイは今意識分裂を使って完全に体を掌握しているために、恐怖を圧倒的な理性で潰す。


「なに、少し試しただけだ」


皇帝は無表情からぽかんとした顔になると急に笑いだす。


「この我を!リベルタイン帝国の皇帝である我を試したと言ったか!良いだろう良いだろう。本来であればヘリサスを落とすところだったが、お前という宝石をゴミの山から見つけたのだ。今回はそれでよしとしてやろう」


皇帝の気分で戦争を終わらせるというのもまた、リベルタイン帝国でしかできないだろう。今回は普通の戦争よりも死傷者は少なく、蘇生魔法もかけることができるが、木っ端みじんになったものや潰れたものなどは蘇生できない。蘇生できたとしても蘇生魔法の上位のものではないために、レベルは下がり、スキルのレベルも下がる。兵士たちにとってそれは致命的なことだ。蘇生されてとしても前と同じ役職に就けるかはわからない。帝国も呪竜二体を失ったため被害は小さくはない。


「それはありがたい」

「次に会うときに更にお前が強くなっていることを願っていよう」


すると皇帝はここに来た時と同じように、光の輪をくぐって消えた。


「【解除】。ふぅ……もう二度と会いたくねぇな」


気になっていた皇帝には会えた。いや、会ってしまったというべきか。好奇心で気になっていたが、冷静に考えてみれば超大国の王であり、とてつもない力を持っていて殺される可能性すらあるというのに会ってみたいななどという馬鹿なことを考えていた自分が恥ずかしくなる。好奇心って怖ッっと思ったケイであった。


この世界の情報

神装      古代の超文明が作り出したといわれる鎧。現大陸では(不明)着確認されている。

蘇生魔法の階級 超超上位の物であれば、複数人をもとのレベルで蘇生できるといわれているが、下級の物ではスキルすら消えてしまう危険性もある

上位結界魔道具 大量生産とまでは行かないが、生産することが可能。一般の兵に配られることはまずない

スキル説明

天候魔法 エルフなどがこのスキルを持っていることが多く、雨を降らせることや雷を落とすことも可能

魔素吸収 空気中にある魔素を吸収し、自分の魔力に変えるスキル。だが、使えば自分の持てる魔力以上の魔力を吸収してしまいショック死してしまうことが多いため、外れスキルと言われている

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