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0076


翌日いつもより早めに起き、ネラをたたき起こして準備をする。ルカは昨日スカーロと一緒に先に行くといっていたために既に部屋にはいない。いつもより早めにスイに朝食を準備してもらう。


「ケイさんは戦争に行くんですよね?」

「あぁ」


改めて言われると本当に戦争に行くんだなと実感する。ただ不思議なことにそこまで恐怖はない。ただ戦争をよく知らないからなのだろうか?


「ケイほどの力があれば大丈夫だろ」


スイの隣から見慣れた男の顔が出てくる。スイの父親だ。最初は危険物を見るような目で見てきたが喋っているとだんだんと仲良くなっていったというわけだ。


「おっちゃんたちは逃げないのか?」

「逃げるってどこに?」

「王都だよ」

「ケイ…。あのな?お前ら冒険者が戦争から帰ってきたら誰が飯出すんだよ」

「それは……」

「俺らが出すんだよ」

「あんたじゃなくて私でしょ!!」


厨房のほうから勢いよくフライパンが飛んでくる。厨房からここまで結構な距離があるはずなのだがおっちゃんの頭に凄い音を立てて当たる。そしておっちゃんがひざから崩れ降りて横になる。


「は、はは……。ま、まぁ死ぬんじゃ…ねぇぞ……」

「そ、そりゃあもちろん…」


そしておっちゃんがフッと笑うと目を閉じていった。


「それでケイさん。ケイさんがいる場所ってどこなんですか?」


そして何事もなかったかのように会話が進んでいく。


スイの言ういる場所というのは戦争でどこにいるかということか?これは言っていいのか?……いいか。


「俺は遊撃だから決まった場所はないはずだな」

「ゆうげき?」

「ある程度は自由に行動していいってことだな」

「じゃあ前に出なくてもいいんですか?」


ここで帝国幹部を相手にしなければいけないとは言わない方がいいんだろうな……。


「そうだな」

「よかった……。なら危険なことはしないでくださいよ」


戦争に行く時点で危険な気がするが……。


「あぁもちろん」

「スイ私には何もないの?」

「ん~頑張ってください?」

「なんで頑張ってくださいなのよ…」

「いいじゃないですか!」

「はいはい嬉しいわよ」

「もぉーー!」

「じゃれてないでもう行くぞー」

「じゃれてないわよ!」 「じゃれてないです!」

「分かったから行くぞ。遅れでもしたらルカに怒られるだろ…」

「分かったわよ」

「無事に帰ってきてくださいね」

「おう」


宿から出て細い道に入る。


「転移先はカテリ平原の上空でいいわよね?」

「そうだ」


普段ならば人目につかない場所に飛ぶが今回は平原。しかも二十七万という人がいるのに地面に転移するわけにはいかない。だから空というわけだ。ケイがバサッと翼を召喚する。そして竜人化で尻尾も出しておく。ネラはケイの鎧の女性バージョンの様な鎧になり、ケイと瓜二つの翼を背中から出す。


「お前空飛ぶのに翼いらないだろ?」

「ほら?精霊ってばれると色々面倒でしょ?」

「それは確かにそうだな」

「そういうこと。ほら、行くわよ」

「準備万端だ」

「【影転移】」


~~~~~~~~~~

カテリ平原王国軍上空


転移し、降りるために下を見るとその景色は圧巻だった。大地を埋め尽くさんばかりの人人人。空中には王国のワイバーンやドラゴンまで複数いる。さらに奥の方を見れば真っ赤な軍が見える。王国の鎧は何の変哲もない鉄だが帝国の軍は鎧まで真っ赤に塗装されているようだ。


「ケイ。多分あれよ」


ネラが指さす先は軍の最前線であり、皮の鎧や様々な武器を持った者たちのいる場所だ。


「冒険者が集められてるのか?」

「そうじゃないかしら」

「行ってみるか」

「えぇ」


二人で急降下するとワイバーンの上に乗っていた騎士たちが驚くが気にせずに降りていく。派手に土埃を立てながら着地すると、冒険者達が驚いた顔でこちらを見てくる。そして武器をこちらに向ける。


「てめぇら誰だ!!」

「早く答えねぇと串刺しにするぞ!」

「私たちは味方よ味方」

「嘘をつくんじゃねぇ!そんな格好のやつは見たことがねぇ!」


戦争前でピリついていたのか殺気に満ち溢れている。


「待て待て待て!」


人ごみの中から聞きなれた声が聞こえる。


「落ち着け!こいつはケイだ!ケイ。翼をしまえ」


目の前にクリスが出てくる。


「わかった」


ケイが背中から翼を消す。


「これでいいか?」

「ま、まぁいいか」


クリスが俺の腰を見て言う。


「それよりよくあんな派手な登場の仕方したな」

「え?もしかして転移までばれたか?」


ケイが小声で言うとネラがそれはないと言ってきた。


「なんでだ?」

「ワイバーンの上にいた騎士が気づいていないのに気づくはずないじゃない」

「あ、それもそうか」

「そうよ」

「私もケイ達がおりてくる直前じゃないとわからなかったからな。それでネラはその翼どうしたんだ?」

「あぁこれは―――


~~~~~~~~~~

カテリ平原帝国軍陣地最前線


「ライアー様。進軍の準備完了いたしました」

「そうか。ならそろそろいいだろう」


ライアーの部下の男がライアーに杖を差し出す。杖には魔石がはまっている。さらに部下の男が三つの魔石を渡すと魔石が一瞬光る。ライアーはそれを上に投げると魔石はスーっと上に上がっていった。そしてライアーが杖にはまっている魔石に口を近づけ、空気を胸いっぱいに吸い込む。


「魔法部隊!!魔法展開よおぉぉい!!!」


ライアーがそう言うと後ろから様々な詠唱が聞こえ、帝国軍の上に何万という魔法陣が重なり合い、空を覆う。


「魔法!!撃てええぇぇぇ!!!」


~~~~~~~~~~

王国軍


王国軍側でも帝国軍の魔法陣が見えた。元々散らばらしていた拡声器を使い、王国竜騎団長が叫ぶ。


「全軍!!結界展開!!!」


そして次々と結界が何重にもなるように展開され、ほとんど色がわからない結界も何重にもなったことにより青色に輝く。


そして膨大すぎる魔力がぶつかり合う。結界が光ったかのように錯覚し、音が結界のない後ろから聞こえる。


~~~~~~~~~~

帝国軍


ライナーとてこの程度で王国軍が殲滅できるとは思っていない。逆にこの程度で消し飛んでしまったら今まで王国を攻めかねていた理由がわからなくなる。


「帝国軍よぉ!!進軍せよ!!!」


帝国軍からとてつもない声量の雄叫びがなると、次々とライナーを追い越して進軍していく。



後の両国の歴史書にはこの戦争は●◆戦争という名で呼ばれる。


王国軍

総力二十七万

優勝者数名

王国陸軍

歩兵隊十七万

騎魔隊四万

魔法部隊三万五千

王国竜騎団

ワイバーン部隊五千

ドラゴン部隊百

王国魔法師団

殲滅魔法部隊百

広範囲魔法部隊三百

補助魔法部隊二万

冒険者数千

帝国軍

総力三十万

帝国幹部二名

帝国陸軍

歩兵隊十八万

騎魔隊五万

陸軍魔法部隊四万

帝国竜騎隊

ワイバーン七千

ドラゴン二百五十

呪竜二体

帝国魔法部隊

殲滅魔法部隊二百

広範囲魔法五百

補助魔法部隊二万

回復魔法部隊一万


部隊説明

魔法部隊   王国では陸軍の魔法部隊をさすが、帝国では魔法を専門とした部隊の総称となっている

騎魔隊    魔物に乗っているものが舞台の半数を占める部隊。騎馬隊などもいっしょに騎魔隊と呼ばれる

補助魔法部隊 王国ではこの部隊に回復魔法師もいるが、帝国では別となっている。この部隊は主に接近してきた敵を弱体化、または味方を強化する部隊。補助部隊という名ではあるが個々の戦闘力も重視される。

この世界の情報

●◆戦争

『情報無し』

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