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再びネラの転移によって飛ぶと、場所は王都からネラの転移で帰ってきたときのようにあまり目立たないような細い道だった。転移するとすぐにネラが細い道から出て行く。


「ほら、行くわよ」


教会の場所がわかるのか?


「なぁネラ」

「なに?」

「ネラは教会の場所がわかるのか?来たことあるっていうのならわかるがダンジョンから今まで出たことなかったんだろ?」

「感覚?」

「なんで疑問形なんだよ」

「私だって初めての感覚だからよ。予想でしかないけど多分ティーラ様の教会しかわからないような気がするわ。セルレイ様とかほかの神の教会の場所まではわからないと思うわ」

「ルカはわかったりするのか?」

「はぁケイ。お前はわかってねぇなぁ」

「何をだ?」

「……俺がわかるはずねぇだろ!!」

「だろうな。じゃあなんだ?精霊特有の物なのか?」

「必ずとは言い切れないけど違うと思うわ。外からダンジョンに入ってきた精霊もいたけどそんなこと言ってなかったから。まぁ私は自分以外の上位精霊にあったこともないから上位精霊特有の物かもしれないわね」

「なるほどな。そういうことか。なるほどなるほど」

「お前はわかってないだろ」

「そんなことないぞ!!つまりネラが凄いってことだろ!」

「そういうことじゃないわよ!!」

「ネラ…諦めろ……」

「そうするわ…で、多分ここよ」


ネラの目線の先にはいかにも教会といった建物があった。ケイは教会を生で見るのは初めてだ。海外に行ったこともなければ、学校の行事のようなもので教会に行くこともなかったので写真でしか見たことがなかった。


「入るわよ」

「わかった。それとルカ」

「なんだ?」

「絶対うるさくするなよ?」

「わあってるよ」


流石に教会で騒いではいけないのは知っている。地球では神という存在を信じてはいなかったがこの世界では神という存在は確かにいる。というか会った。その神があきらかにいるというのに無礼を働いたら真面目に頭上に雷を落とされそうだ。まぁルカだけならまだしも神の魔法なんて町自体が吹き飛びそうだしな。


中に入ると白い服を着ている女性が一人おり、奥には男性の巨像があった。あれが闇の神ティーラだろうか?巨象の前まで近づくとネラは知っていたかのようにひざを折り、目をつぶって祈り始めた。もちろん俺らは祈り方を知っているわけではないのでネラと同じようにして祈る。


特に祈ることもないがどうしようか?


「きゃッ!!」

『お前がケイか』


後ろで悲鳴のようなものが聞こえた後に目の前から声が聞こえる。部屋の中にいた女性かと思ったがしっかりと男性の声だし、俺の名前を知っているはずがない。あまりよくないと思いながらもうっすらと目を開ける。ぼやけているためによくわからないがローブのような物を着ているようだ。


『別に祈らなくてもいい。目を開けろ』


そう言われ、うっすらと開けていた目を開くとわかり切ってはいたが男が立っていた。そしてその後ろの巨象と姿がそっくりなことに気づく。


『私の姿がよく見えたところで自己紹介をしておこう。私は闇の神であると同時に探究の神であるティーラだ。闇の神の名のほうが大きすぎて探究の神であることはあまり知られていないがよく覚えておけ』



………意識分裂!!



ケイは再び顔を下に向ける


「神であるティーラ様自らお越しいただくとは感謝いたします。私の名はケイでございます。闇魔法を得意としており、種族はドラゴンデビルです」


既に祈ることをやめ、ティーラを見ていた二人が驚いたようにケイを見る。ネラが驚いたのは口調、ルカが驚いた理由は口調と種族を言ったことだろう。


『種族まで言っていいのか?』

「ティーラ様が結界を張ってくださっていることはわかっております」


ケイの言った通り部屋は結界に包まれており、音を消す系統の結界だと予想したのだ。


『あの女の記憶は後で私が消しておこう』


後ろにいた女性は涙を流してティーラに祈っている。いきなり今まで祈っていた神が目の前に出てきたらそりゃあああなるわな。


「感謝いたします」

『それとその口調も直せ。上っ面だけの物など必要ない』


どうやら意識分裂を使っていたことがばれていたようだ。膝をついていたが、立ち上がり口調も直す。


「わかった」

『それでいい。さて本題だが私がここに来た理由はお前の魔法に関してだ』

「魔法か」

『そうだ。お前は気づいていないようだがお前には私の魔力が混ぜられているのだぞ?』

「え!?」

「し、しかしティーラ様。魔力を他人に混ぜるなどほとんど成功例がなく。ましてや神の魔力を混ぜるなんて……」

『よく学んでいるな精霊。その通りだ。ほとんどの場合は爆発するだけだがケイに私の魔力を混ぜたのがラヒネ様なのだ。失敗するはずがないだろう』

「ラヒネが?」

『本来なら様をつけなかった時点でお前を消しているが許してやろう。そしてだ。私の魔力を混ぜられたお前はとてつもない速度で独自の魔法を生み出し、闇魔法に特化した』

「な、なるほど…」

『それでだ。お前影魔法使っていないだろ?』

「そうだな」

『【魔法進化(クラスアップ)】しているぞ』

「クラスアップ?」

『【影魔物(シャドウモンスター)】でサファイアリザードマンでも呼んでみろ』


無詠唱で魔法を使う。前と同じように目の前の床に魔方陣が現れ、そこから魔物が出てくる。しかし、前までは黒一色だったが、所々が青くうっすらと光っている。


『今使ったお前の魔法の名前を教えてやろう。名は【影戦士(シャドウウォーリア)】だ。前と違い元々使っていた魔法も使え、命令もある程度は聞く。さらに経験値を得ることもでき、存在進化もする。ほとんどそこらにいる魔物と変わらないが知能もこっちの方が高い』

「倒されたとしても魔力があればもう一回呼び出せるのか?」

『当たり前だ。一度魔法を使うように命令してみろ。全力でやらせていい』

「魔法を使え。全力だ」


サファイアリザードマンに向かって命令すると、サファイアリザードマンが今までなかった魔力を尻尾付近に溜める。そして尻尾に大きな水の剣ができ、横に振る。


[バキバキバキッッッ!!!]


その剣は教会の壁に当たり、轟音を立てた。


『中々強い覚醒級を倒した様だな。王級なら特に問題もなくこいつだけで倒せるだろう』


しかし、サファイアリザードマンの攻撃によって轟音を立てた壁には傷一つついていなかった。


「た、確かにサファイアリザードマンはこの魔法を使う前に倒したしな。そんなに強いとは…」


そしてサファイアリザードマンは俺の前に戻ってきて膝をついた。


『ほう。知能もずば抜けて高いか』

「えっと戻すには…」

『戻れとでも言ってやれ』

「戻れ」


するとサファイアリザードマンの足もとに影が現れ、サファイアリザードマンの形が崩れて影の中に溶けるように消えて行った。


『私が来た理由はこれくらいだ。この程度そこらへんの魔法師でも分かるというのに…。それとお前にこれもやろう』


ティーラがケイの肩に触れるとケイの人化が解ける。


『私の加護をやった。闇魔法やその系統の魔法の威力が上がるだろう。ではな』


そしてティーラが光の粒子となり消えて行った。ケイがはッ!と思い後ろを見ると女性は横になっており、意識はないようだ。部屋に貼ってあった結界も、部屋を包んでいた魔力がなくなっているためにもう消えたのだろう。


「一つ聞いていいか?」


今まで口を閉じていたルカがケイに聞いてくる。


「なんだ?」

「あいつ誰だ?」


……今きっと俺とネラの心の中で思ったことは同じだろう。





お前まじか。


「ん?どうしたんだ?」

「お前……。ルカお前………」

「あんたもう……」


この世界の情報

魔法進化(クラスアップ)     魔法が進化することであり、威力や効果が上がる

スキル説明

影戦士  影魔物から進化したスキル。ある程度の知識を持ち、魔法を使い、存在進化も可能

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