0070
0070
ケイがショーンに奢ると決定した後にケイはショーンがおすすめだという飯屋に連れてこられた。
「そういやぁケイは飯は食ったのか?」
「いや、賢者がきて起こされたから何も食ってないな」
ケイがスカーロのことを賢者といったのは、賢者はその名前だけは有名だがどんな顔をしており、どんな名前も分からず、性別までわかっていないものもいる。その証拠にスカーロは闇の賢者だというのに顔を知る者もおらず、紋章を見てから初めて賢者だとわかる。稀にだが自称賢者を名乗り好き勝手する者もいるが、ほとんどが街の警備隊に連行される。しかし度が過ぎると国の軍が動くことも歴史上ではあった。もちろん嘘だとわかったために、即死刑だったが。
「多分賢者様に起こされた人は今まででも相当少ないと思うぞ」
「そんなものいらないんだが…」
「はっはっはまぁいいじゃないか。こうして俺に奢ってもらえるんだから」
「俺賢者と死闘したんだよな~」
本来は模擬戦だったはずが既にケイの脳内では死闘に変わっていた。確かにお互い非常に殺傷能力の高い魔法を使っていた。スカーロは短剣だったが、ケイは矢や黒柱を乱射しまくり、勘で呪刀をスカーロ六人に使った。どちらかと言えば死闘にしたのはケイのような気もするがどっちもどっちだろう。
「しょうがないやつだ。後でいい女を紹介してやるから。これでいいか?」
「え゛」
予想外すぎる答えにケイの口からとんでもない声が出る。
「なんだその声は?もしかしてお前彼女できたことないのか?」
ケイの精神に50のダメージ。
「な、ないな…」
「お前今の顔も十分整ってると思うが前の顔も髪とかの色が違うだけで整ってたのになんでだ?」
ケイの精神に100のダメージ
「いやー本当になんでだろうね…」
「じゃあ俺が紹介する女が初めての彼女だな」
「付き合うことは確定なのか…」
「なに、お前も見たら必ず一目ぼれするぞ。もしかしたら自分にはもったいないって言いだすかもな」
「そんなにか」
「あぁそんなにだ」
付き合うどうこうは置いといて興味は出てきた。
「ほらここだ」
そんなことを話しているうちにもう着いたようだ。建物の大きさはギルド以上大きく、立派なものだ。中からは賑わっているのか相当な人の声が聞こえる。
「さて、入るか」
「そうするか…」
ここに来るまではそこまでの距離はないものの、ケイは肉体的ではなく精神的損傷を受けていた。
~~~~~~~~~~
中に入ってみると、店の中では中央にステージのようなものがあり、ステージで複数の女性が踊っている。
ケイが席に座ると、ショーンが慣れたように料理を注文していく。しばらくすると料理が次々と運ばれてき、直ぐに机が料理で埋まった。
「さっきも言った通り俺の奢りだから好きなだけ食え」
「俺としてはうれしいんだが大丈夫なのか?」
「なにがだ?」
「払えるのか?」
「ケイ…。俺はこれでもこの町の警備隊長だ。このくらい払える」
「確かにそうだな。じゃあ遠慮なく」
そしてケイはルカ…ほどまでは行かないものの料理を次々と口に運んで行った。
~~~~~~~~~~
「あ~食った食った」
「やっぱりここの飯は美味いな…」
机の上にあった料理はすべてなくなり、ショーンもケイもとても満足そうな顔だ。そして皿を引くために従業員が皿を手に取る。
「あら。ショーンじゃない」
その声を聴いてケイとショーンが従業員のほうを向く。
「レーナ。丁度いいところに来てくれた」
レーナといわれた女性は服装からして先ほどステージで踊っていた女性のようだ。見た目はショーンが言った通り一目ぼれするような顔をしており、体もきれいな曲線を描いていた。さらに服装だが、露出している部分が多く、実に扇情的な服装をしている。よく今まで襲われなかったものだ。
「こいつが金級のケイだ」
「金級?それならこの町に結構いるじゃない」
「こいつは普通の金級じゃないぞ。王都で勇者様の大会の冒険者部門で優勝したやつだぞ」
ショーンはケイが大会で優勝したことを知っていることに一瞬驚いたが、ギルドでも知ってるものがいたために納得した。
「あら、あなたがそうなのね」
レーナはあまり驚いた様子もなく返事をする。
「あまり驚かないんだな」
「まぁここにきた商人があなたみたいな特徴の人が優勝したって言ってたからもしかしたらって思ってたのよ」
レーナがケイのほうを見て言う
理由はそれ以外にもあり、この店はそれなりに資金のある商人や冒険者がくる。そのためそのような情報もたくさん行きかっている。そしてなによりもケイは王都に行く前からこの姿だったために非常に目立っていた。
「相変わらずの頭の回転の速さだな」
「貴方が馬鹿なだけよ」
「案外否定できんが…今日は飯を食いに来ただけじゃない」
「なにかあるの?」
「こいつの彼女になってやってくれ」