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0063


帝国皇帝自室


皇帝が朝の食事を終え、暫くするとコンコンと扉が叩かれる。


「入ってよいぞ」

「は、失礼いたします」


入ってきたのは帝国幹部の一人であるメロアであった。メロアは情報取集部隊のトップであり、もちろんだが一人で国を潰すこともできる。メロアの場合は強さはもちろんだが、本人が体を動かすのが嫌いなために情報操作をし、内乱を起こすなどをして自滅させる。


「リハージ王国の勇者の件ですが、確かに成長速度や魔法威力などが高いようでした。しかし威力だけでいえば殲滅魔法部隊にも少数ですがいるでしょう」

「その程度であればいらんだろ」

「今の状態で入りませんが、やはり成長速度に目を見張るものがあるために早めに仕掛けて奪うのもいいでしょう」

「ふむ……ではすぐに兵を集めよ。商人達からも武器や食料を買い取れ。勇者というほどであれば戦争には出てくるだろう。帝国幹部も数名組み込んで良い」

「了解致しました。もう一つですがエリオットという者を覚えておいででしょうか?」

「確か輝煌魔法という物を使い、異界の武器を使うやつであったな」


帝国は自国の領土外に居る強者は、戦争で攻め込んで攫うかスカウトするかである。そのために強い者はほとんど帝国に把握されている。


「その者が勇者の大会に参加したようなのですが敗退しました」

「ほう。いったい誰にだ?」

「ケイという者です」

「初めて聞く名だな」

「私達でも分からない未知の魔法を使っているのが確認されました」

「魔道具か?」

「それはまだ不明です。もしその者が魔道具を使っていた場合は奪いますし、自身の力であれば高値でスカウトしてきます」

「その者は未知の魔法を使うのであったな?」

「はい」

「……大白金貨を20枚までなら許そう」

「ありがとうございます」

「では次の報告ですが……」


~~~~~~~~~~


三日後

帝国領土内森


帝都から少し離れた場所にあるなんの変哲もない森に帝国幹部の一人であるカレラが来ていた。帝国幹部が自ら出向くと言ったらその国を滅ぼすか、脅すか、新しい帝国幹部をスカウトする時くらいだ。そしてカレラが魔物を殺しながら更に森の奥へ進むと一人の女性がいた。


「カレラさん。いらっしゃい」

「アンリア様もお元気そうで何よりです」

「今日はリハージ王国との戦争の件よね」

「そうです」


この時はまだ帝国内でもリハージ王国と戦争をすることは知られておらず、帝国が情報を漏らすはずもない。


「ほら、中に入って!紅茶も用意してるわよ」


アンリアが大木に付いた扉を開けると、中には机と椅子などがあり、紅茶とお菓子が二つ置いてあった。まるで最初からカレラが来るのが分かっていたかのように。


「ありがとうございます」


カレラは中に入り、椅子に座る。


「それでさっそくなのですが」

「わかってるわよ。ちょっと待ってねー」


アンリアがそういいながら目を瞑る。そして五分ほどの時が流れる。


「そうね。簡潔にいうと今回の戦争は帝国側も被害を受けるわね」

「本当ですか?」


この会話を何も知らない人が聞いたらふざけているようにしか聞こえない。アンリア。この人物は現皇帝の父。つまりファリーダの父が見つけた人物である。アンリアは前皇帝が見つけてから全く姿が変わっていない。前皇帝がアンリアに目を付けたのは、この森を超えた国に進軍するために軍がこの森を通っていると多数の魔法のトラップがあり、全ての部隊が攻め込む前に壊滅状態となってしまった。そしてそのことに興味を持った皇帝が自ら出向き、罠をすべて破壊してアンリアを見つけたそしてアンリアの能力は予知であった。予知は未来予知とは違い、数か月未来でも見ることができる。そのために皇帝はアンリアの存在を秘匿した。そして重要な戦争や選択ではアンリアを頼るようになった。そして帝国はさらに領土を拡大した。


「そうね。死を司る魔物って記憶にあるかしら?」


アンリアに言われた言葉で自分の記憶を思い返す。すると一つだけ当てはまりそうなものがあった。


「あります」


カレラが思い出したのは子供のころに聞いた話だ。昔帝国が領土を広げるために、魔物の巣窟である森の魔物を一掃していた。ほとんどの魔物が倒され、最後に一匹だけ魔物が残っていた。正しくは残ったのではく自分の意思で生き残ったのである。その魔物は既に数部隊を壊滅させており、逆に残ったのはその魔物の姿を見た部隊であった。そして逆に軍が一掃された。その魔物は報復に帝国にの帝都を攻めてきた。激戦の末に帝国幹部数名の犠牲で魔物を追い返した。そしてその魔物は死を司る魔物といわれた。


「その魔物を召喚できる人物が王国側にいるわ。もちろんその人物は帝国幹部に迫る強さを持っているわよ」

「……」

「今回は小競り合いでは終わらないわね」

「ありがとうございます」


カレラは椅子から立ち上がり、扉に手をかける。


「もう帰るのかしら?」

「はい。これほどのことを皇帝陛下に直ぐに報告しないわけにもいきませんので」


そしてカレラはアンリアからの不吉な情報を帝城に持ち帰った。


リベルタイン帝国の情報

メロア    帝国幹部の一柱。情報収集部隊のトップであり、(不明)魔法を使い、書類などを盗み出す。

アンリア   予知ができ、帝国の最重要機密の一つである

情報収集部隊 大陸にあるほとんどの国に部隊の者がおり、情報を集めている

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