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「さて、今日からはダンジョンの攻略スピードを上げるぞ」
全員が起きて、集まって朝飯を食べていた時に皆に向かってケイが言う。
「いきなりだな」
「あげるのは別に構わないがなんでだ?」
「エルデン」
「なんだ」
「このダンジョン探索は七日という期間が設けられているが別に六日や五日で終わらせてもいいんだよな?」
「そ、それは可能ならばいいが…」
「ふむ。つまりケイは七日目になる前にダンジョンタ探索を終わらせたいと?」
「そうだな。これはあくまでキサラギ達勇者の試験なんだからできるだけ早く終わらせた方が国王様の評価も上がるだろ」
「確かにそうだろうな」
「だから攻略スピードを上げるってことだ」
「それは僕もついていっていいのかな?」
「別に俺らは構わない」
「じゃあ僕もついていくよ」
「わかった。さて、早速だがお客様だ」
ケイの言うお客様。既にこのダンジョンに入ってから百体以上見てきた魔物。今この階層にいる魔物はケイからしたら経験値でしかない。気配を消して迫ってきてもすぐに気づく。ルカやエリオットたちなどもほとんど全員が気づいていただろう。そして今日は今起きて今朝食をとっていた。一回も魔物を狩っていない。あの戦闘狂の二人が我慢できるはずもない。
「しゃあーー!!今日一番の魔物は俺がもらったーー!!」
「今日こそは私が狩らせてもらう!!」
二人はすぐに立ち上がり、剣を抜き、切り、魔法を放ち、燃やす。既に朝の清々しい気分など何もない。目の前を見れば戦闘狂二人が魔物を切りまくっている。
うわー…あの戦闘狂二人味方でよかったー……。
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二十六階層~二十八階層
戦闘狂二人の調子が良すぎたために全く苦戦することもなく、ケイ達の出番もなく攻略。しいて言うなら魔物が少し可哀そうになった。
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二十九階層~三十一階層
三十階層のボス。死の騎士をキサラギさんの望みにより一人で討伐に向かう。圧倒的な殲滅魔法の火力により、なんとか討伐に成功。しかし、殲滅魔法を連続して撃ったためにしばらくは殲滅魔法は使えなさそうだ。
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三十二階層~三十四階層
ケイとエルデンの初めてながらも見事な連携により一番問題なく攻略。
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「おーボス部屋だ」
「ここは三十五階層のボス部屋だな」
「早速行こうか。あ、そうだケイ」
「なんだ?」
「君も手伝ってくれないかい?」
「え?なんでだ?」
「一回ケイと一緒に戦ってみたかったんだよ。僕が君に合わせるからケイは自由に動いていいよ」
「それならいいが」
「よし、じゃあ行こうか」
「おう」
エリオットが扉を開ける。中にいたのは体が腐食し、体の中の骨などが見えている。見るのもおぞましいドラゴンのような姿をした魔物だった。
「あれはコープスワイバーンだ。首一点に高火力を放てば倒せる」
「了解【意識分裂】」
ワイバーンは上にいるために身体強化を使い跳躍する。しかし、ワイバーンは口から紫色の炎のようなものをはく。ケイは全く躊躇せずに炎のようなものに突っ込んでいく。そして炎のようなものを大太刀で裂く。今のケイは魔法を切ることができる。ドラゴンは体内に魔方陣のようなものを持っており、空を飛ぶときやブレスをはくのも少量の魔力で放つことができる。流石に殲滅魔法ほどのものは無理だがこの程度なら問題ない。
そしてそのまま首を狙うが空で回避される。だがここは密閉空間。壁を使いさらにワイバーンに向かって切りつける。ワイバーンはそれに気づくと羽から骨を突き出し、羽を一瞬で大きくして、羽で防いだ。そしてケイはエリオットのいたところに戻ってくる。
「今ので警戒されちゃったねー。どうする?」
「俺があいつを捕まえる。その間に切れ」
「捕まえられるのかい?」
「できる【浸食】」
ケイが浸食を使い、この部屋を魔物の狩場に変える。
「これで捕まえる」
「確かにこれならできそうだね【エンチャント】【輝煌】」
エリオットが一気にワイバーン近づき、ケイが浸食で四方八方から槍のようなもので刺し殺そうとする。これで詰みだ。
[ザンッ!!]
「ギャアアァァ……」
ケイの槍では貫かず、エリオットの剣で首だけを切り落した。
「【解除】。よし、これでいいだろう。素材も駄目にならなかったしな」
そういいながら浸食を解いていく。
「今までルカとかが戦った敵はほとんど原形がなかったからね」
「あいつは戦い方雑だからな。仕方ないといえば仕方がないが」
ルカは連撃が多いのでストームや斬域などをつかってしまうと、魔物がミンチになってしまうために素材をとるとらない以前の問題だ。
「ケイー!早く素材をバッグに入れて次の階層にいこーぜー!」
「ちょっと待っとけ!」
ルカにせかされ、エリオットとともに急いで素材をバッグに詰めて次の階層に降りた。
今日は一気に十階層以上おり、最後は三十九階層で探索を終了した。流石にボスと戦う体力は残っていなかった。
ダンジョン探索五日目終了
この世界の情報
不死化 一回死んでしまった人間や魔物などがゾンビやコープスワイバーンなどの不死種に変異してしまうこと
不死種 足や腕、胸などを切っても生きている魔物。主に首を切り落すことが不死種を殺す手段となる
魔物説明
コープスワイバーン 既に一回死んでしまったワイバーンが魔素溜りなどの影響により不死種となって復活した魔物。