0057
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「精霊って一体どうやって生まれるんだ?」
唐突に気になったので人型の闇精霊に聞いてみる。
「え?いきなり何よ」
「それは私も気になるぞ」
今は十六階層。十五階層のボスはサファイアリザードマンよりは弱かったために特に危なげもなくクリアした。忘れているかもしれないがこれは本来勇者の実力を試すものであり、けして戦闘狂二人のために来たわけではない。そのため今はキサラギさんとエルデン。我慢できなかったルカが戦っている。
「魔物と一緒なのか?」
「あんな汚らわしいやつらと一緒にしないでよ。私たちは精霊大王や精霊王から生み出されるのよ」
「精霊王?」
「じゃあお前も精霊王から生まれたのか?」
「そうよ。精霊王は基礎属性の数いて、其々が自分の属性と同じ属性の精霊を生み出せるのよ。例外として精霊大王はどの属性の精霊でも生み出せるけどね」
「まあそうね。あと私は上位精霊だからちゃんと名前があるわよ。ネラって呼びなさい」
「名前持ちなのか?」
「そうよ」
「私も名前持ちは初めて見たな」
「名前持ちって珍しいのか?」
「そうだな。まず名前を付けるほどの知能を持ち合わせている魔物が少ないからな」
「なるほどな」
「あ、それとあなた」
「なんだ?」
「それ魔剣よね?」
ネラが俺の腰にある刀を指さす。
「そうだが?」
「あなたそれ封印されてるわよ」
「封印?」
「そうよ。封印のせいで本来のその魔剣にあるスキルが封印されてるのよ」
「剣にスキルなんてあるのか?」
「普通はないわね。だから魔剣と呼ばれてるのよ」
「その封印解けたりするのか?」
「私が解いてあげるわよ。封印魔法は闇魔法が封印に特化しただけだからね」
「じゃあお願いできるか?」
「いいわよ」
ネラが手で刀に触れると手がポッと光る。
「はい。これで終わり」
「今ので終わりなのか!?」
「もともと魔剣の力で封印が弱くなってたから特に問題もなかったわ」
「そ、そういうもんなのか」
「それはそうと今の魔剣に純粋に自分の魔力を変質させずに流してみなさい」
「わかった」
ケイは鞘から刀を抜き、手に構える。そして手から魔力を流していく。すると刀の柄が魔力のようになり、背中で大きな鞘になり、刀身がケイの元の身長ほどの大きさになった。
「それが本来の姿ね」
「大太刀だな」
「オオタチ?」
「ああ、まあこの刀のことだな」
「夜阿ノ國の武器のことね」
「ん?多分そうだな」
「次のボスかなにかに使ってみなさい」
「そうしてみるか」
「二十階層超えたら交代してやるよビ!!」
戦闘中のルカが叫びながら俺にそう言ってくる。
「私が狩れないではないか!!」
「いいじゃねぇか!!」
「よくないわーーー!!!」
お前ら本当に魔物狩ることしか考えてないな……
この世界の情報
精霊大王 代々その能力が受け継がれている。精霊大王だけがすべての属性の精霊を生み出せる
精霊王 基礎属性の数だけおり、自分自身の属性の精霊を生み出すことが可能
基礎属性 この世界の基礎の魔法であり、火、水、風、土、光、闇がある
夜阿の國 異国の建築方法や武器や服装があり、その国の一人一人が外界に出ることが人生でほとんどない
スキル説明
封印魔法 封印することに特化しており、自分が掛けた封印ならば簡単に解くことができる