0056
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「ね…あんた…おきな…よ。おきな…っていって…の!」
耳元で声が聞こえる。こんな声の奴いなかったと思うが…。
「起きなさい!!」
「うるさい。【呪刀】」
耳元の声を発している人物?に向かって刀の先を向ける。
「ひッ…。や、やっぱりあの闇魔法の術者はあなただったのね…」
「あー?」
目をこすりながら背中を起こし、声のした方に目を向けると黒いドレスのようなものを着た黒髪の女性が胸元に刀を向けられながら固まっていた。
「殺す前に聞いておくが、なんであの魔法が闇魔法とわかった?」
ケイのカース・ウエポンジェイルは意識分裂と同様にケイのオリジナル。何も知らないものが見たら普通は錬金術や武器特有の能力だと思うだろう。色がこの世界の闇魔法は魔方陣が紫色のために、魔方陣を見たから分かったというわけでもないのだろう。
「な、なに言ってるのよ。私は精霊なんだからその程度の魔法で死ぬわけないでしょ!」
「精霊?お前が?」
「そうよ!だから闇魔法ってわかったのよ!」
「根拠は?」
「【精霊化】」
女の体がどんどん小さくなっていき、最後には肩に乗るほどの大きさになり、蝶のような黒く、綺麗な羽が背中から生えていた。
「ね?」
「そうか。【闇の矢】」
「何でよ!?」
「得体の知らない能力を持っていたからだが?」
「理不尽よ!」
「世の中そういうもんだ。それで?目的は?」
「お礼を言いに来ただけよ!!」
「お礼?お礼されるようなことなんてした覚えがないんだが」
「ほら。あのサファイアリザードマンよ」
「あいつがいて何かお前に不都合があったのか?」
「あたりまえよ。さのサファイアリザードマンは独自進化して魔力が漏れ出してたから下級の精霊が近づけもしなかったのよ。それでもともとあの場所を住処にしてた精霊が困ってたところであなたが倒してくれたからお礼を言いに来たのよ」
「だったら早くそういえよー。殺すところだったぞ?」
「な、なんて危ない……」
「それでお前はまだここにいるのか?」
「へ?」
「え?」
「いや、だってあなた達についていったら面白そうだし……」
「ついてくるか?」
「いいの!?」
「邪魔にならなかったらな」
「ふふん!!私はこれでも上位精霊だから戦力にはなるわよ」
「じゃあついてきても大丈夫だろう」
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「それで結局こいつはなんなんだ?」
「精霊だ」
クリスやルカたちが起きてきたために上位精霊について説明する。
「ふむ。精霊とは人並みの大きさにもなれるのだな」
「あったりまえよ!上位精霊なんだからね!」
「ん?上位精霊といったか?」
「そうよ」
「本当に上位精霊なのか?」
「さっきからそういってるじゃない」
クリスが俺のほうに顔を向け、こちらに向かって歩いてくる。
「ケイ。一つ聞くが上位精霊とはどういうものかわかってるのか?」
「全くわかってないが?」
「あの精霊、上位精霊なのか!」
「エルデンはしってんのか?」
「当たり前だ。上位精霊といえば名前持ちが多いが、強さが極端に差のあるやつが多いはずだぞ」
「エルデンの言った通り上位精霊は戦闘特化や回復特化もいるからな。そのために強さは大魔物級から上位覚醒級まで様々だな」
「ちなみに私は王級は倒せるわよ」
「ということは覚醒級と」
「そうなるわね」
「私精霊なんて初めて見ました……」
「もっと私に見惚れてもいいのよ」
「覚醒級ってことはお前強いのか!」
「な、なによ」
「あとで模擬戦しようぜ!」
「いやよ」
「あとで俺がしてやるから早く階層を下りる準備をしろよ」
「だってケイはあの魔法使ったらそれで終わりじゃねえか」
「使わないでやるから」
「つまり本気じゃないってことじゃねぇか!!」
「お前めんどくさいなぁー…」
「ケイ早くしろ!もうすぐ出発するぞ!」
「了解ー!!早くルカも準備しろ」
「ちぇー」
この世界の情報
上位精霊 名前持ちが多く、何かに特化している魔法を使う精霊が多いために、強さが様々である