0050
リベルタイン帝国皇帝目線です
0050
帝国会議室
その一室には一つの椅子が空いており、周りには数十人の男女が座っていた。その一人一人が重圧を放っている。そして扉の外からコツコツと歩いてくる音が聞こえる。扉の左右にいた兵士が扉を開ける。そこには赤と黄色の混ざった髪色をした、人形と見間違えるほどの美しい女性がいた。その女性は空いていた椅子にドカリと座り、机の上に足を置く。
「それで?この我を呼び出すとは何事だ?もしくだらないことであればお前らのうちの一人の首を切り落としてやろう」
女性がそういう。
「皇帝陛下。どうやらディアリー王国とリンカア王国が離反し、軍を率いて我が国に攻めてきているようです。我が国はすぐにでも王都を攻めるつもりですが皇帝陛下はどういたします?」
皇帝陛下と呼ばれた女性はしばらく考えるようなそぶりをする。
「ふむ。すぐに転移魔法師に準備をさせろ。ライアーとカレラは自分の軍を率いて我についてこい。リンカア王国にはメイソンが行け。部下を二人連れて行って呪竜を使ってもよい」
「「「はっ」」」
~~~~~~~~~~
ディアリー王国王城
「情報部隊から有力な情報です。すぐにでも成果をあげられるかと」
「これでリベルタイン帝国も終わりだろう」
「はい。リンカア王国の軍もすでにわが軍に合流しております」
「力が強くても知識がなければ意味がない。我らディアリー王国の離反にも気づかず、馬鹿な奴らだ」
[バコォォォン!!]
突然扉が爆発により吹き飛ぶ。
「な、何事だ!兵は何をしている!」
煙の中から人影が現れる。
「ファリーダ・リベルタイン!!」
「我の名を誰の許可で語っている、ゴミ共が。そして我に逆らうものは皆殺しだ」
一人の男が魔法を発動しようとする。
「死ねッッ!!」
「フッ」
ファリーダは魔法師に近づき、どこからか現れた槍を魔法師に向かって投げる。
「グハッ!!」
そして槍が当たった魔法師は絶命する。
「喜ぶがよい。この国は貴様らを皆殺しにした後に我が支配してやろう」
「ッやつを殺せーー!!」
一人の男が剣を振りかぶり、横から切り込む。
「ガシッ!」
「なんだ?このやわな攻撃は」
ライアーが転移でそこに現れ、手でつかんで止める。
「攻撃というのはこういうもんだ!!」
その剣を奪い取り、自分の目の前に投げ、目の前にいた敵を後ろにいた敵もろとも剣を蹴り、心臓を貫き、倒す。そして部屋の端から一人の魔法師がファリーダに向かって、魔法を放とうとする。
「【ボ―】」
しかしカレラがなんらかの魔法で後ろに現れ、口をふさぐ。
「駄目じゃない。あの方に向かって魔法を放とうなんて」
そういいながらその魔法師の首をナイフで切り落とす。
[ボッッッカッアアァァン]
壁の一部が爆発により、吹き飛ぶ。そしてそこからライアーたちが連れてきた軍が入ってくる。
「ライアー様!王城制圧完了しました!もうすぐで砦や塀の兵士たちも制圧できるとのことです!」
「早く制圧しろ。訓練より遅れてるぞ」
「申し訳ございません!」
「わ、我々は降伏する!」
床に倒れていた王がそういう。
「お前は何を言っている?」
「え、え……?」
「お前は我ら帝国に二度敵対した国の末路を知っているだろう」
「な!まさか!?」
「当たり前だ。王族貴族皆殺しで、我が国の優秀な部下を配置する。領土拡大に協力してもらい感謝する。我が直々に殺してやろう、感謝するがよい」
再びどこからか剣を取り出し、切りつける。
[ザシュ!]
「グギャア!!」
「これでしまいか?」
ファリーダが剣を消し、カレラにそう聞く。
「どうやらそのようです。攻めてきていた軍も殲滅魔法部隊で対処済みです。そろそろ私の部隊も帰ってくる頃でしょう」
「よろしい。リンカア王国はどうなった?」
「既に呪竜で壊滅済みです。ですが土地は使いものにならなくなってしまいました」
「仕方あるまい。土地が魔素溜り化しなかっただけましであろう」
「では土地はどういたします?」
「ライアー」
「なんです?」
「土地が使い物にならなくなってしまったようでな、王都を浄化してこい」
「魔力がだいぶん減ってしまいますがいいんですか?」
「よい。次のリハージ王国との戦争が始まるまで戦争を始めるつもりはない。離反が起こらない限りだが、国を二つもつぶしたのだ。今年中は離反などあるまい。それに貴様の魔力はすぐに回復するだろう」
「では早速行ってまいります!」
「早くいけ」
「はっ」
一人の白いローブを纏った男がライアーに近づき、魔法を発動するとライアーとその男の姿が掻き消えた。
「カレラ様!砦、塀の兵士を制圧いたしました!」
「よろしい。皇帝陛下。この国は完全に制圧いたしましたがどういたします?」
「カレラが暫くは仕切れ、戦後処理が終わったらほかの部下と交代だ。といってもすぐに戦後処理は終わるだろうがな」
「了解いたしました」
「我は帰る。戦いの終わったところになぞ興味はないからな。あとは任せたぞ」
「お任せください」
ファリーダは手首にはめているわっかに触れると帝国に転移した。
「陛下。お疲れ様でございます」
「食事の用意をしろ」
「直ぐに」
「教官共にも伝えておけ。実戦で制圧までの時間が遅れていた。訓練のすべてを変えろとは言わんがもっと練度を高めろ」
「必ず伝えておきます」
「我は私室にいる。食事ができたら呼べ」
「承知いたしました」
こうして皇帝の日常は過ぎていく――
皇帝の日常怖い……
リベルタイン帝国の情報
リベルタイン帝国 この大陸の最大にして最強の名を持つ国。王族はいるが、力こそすべて。完全な実力至上主義
ファリーダ・リベルタイン 女性初の皇帝。しかし、弱い女性を皇帝に置いておくはずなどない
ライアー 帝国幹部の一柱。独自の(不明)魔法を連発しても魔力が切れることがない。原因は固有魔法の(不明)とされている
カレラ 帝国幹部の一柱。暗殺を得意としており、(不明)魔法を使うとされている
メイソン 帝国竜騎兵のトップにして、帝国幹部の一柱。(不明)魔法を得意としており、自分の竜の上から発動するために強力
帝国幹部 様々な分野のトップであり、誰もが一国を一人で潰せるほどの力を持っているといわれる
呪竜 呪いにより、強制的にいうことを聞かせており、魔法などの威力も上がっている。ワイバーンなどの下級ドラゴンではないためにブレスの威力もすさまじい
転移魔法師 転移魔法自体珍しいが、帝国の領土は広大なために国中から集められている。帝国幹部には必ず一人は専属の転移魔法師がいる
殲滅魔法部隊 多対一を得意とし、威力の大きさや、範囲から戦争などでは重宝されている。
この世界の情報
魔素溜り化 威力の高い魔法などを使うと魔素溜り化すること。魔力が一つの場所に集まるために発生してしまう