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0045

ケイの二つ名を悪魔からデビルにかえさせていただきます。これからの話では悪魔になる場合もあります。一応この世界でも悪魔もデビルも同じ意味なので。


0045


「ついに待ちに待った決勝戦だああぁぁ!!決勝戦は同じFブロックから勝ち上がったケイとエリオットだ!もはやこの二人の説明なんていらないだろう!早速だが決勝戦スタートだぁぁ!!」


観客席からの歓声がさらに大きくなる。


「決勝戦…開始!!」


ついに決勝戦が始まった。しかしどちらも動こうとせずに硬直状態だ。


「ねえ」


エリオットが話しかけてくる。返事をしていいのか悩む。当たり前だがこの世界には呪や洗脳の類の魔法などいくらでもある。少し悩んだが返事を返す。


「なんだ」

「君はずいぶんと疑い深いんだね。まあそれはいいことだけど君は予選の控室で視線に気づいていたかい?」


問いかけられた意味が分からないがその時に事を思い出してみる。思い出してみるが、全く身に覚えがない。


「なんのことだ?」

「なるほどね。じゃあ君は案外期待はずれなのかもしれないね【白炎槍】」


エリオットの周りに白く光る五本の槍が現れ、すべてケイに向かって放たれる。


「【闇の反射(ダークリフレクション)】」


ケイは手慣れたように渦を使い、身を守る。そして槍はすべて渦に飲まれていった。


「やっぱり遠距離攻撃はきかないか」

「流石に当たるわけにはいかないからな」

「じゃあこれはどうかな。【輝煌銃】」


そういったエリオットの手に白い魔方陣が現れた。魔方陣が消えると色は白色だがこの世界にはないはずの見覚えのあるものがエリオットの手に握られていた。


「な!?拳銃!?」

「これを知ってるんだ」


この時ケイは口には出さなかったがしまったと思ってしまった。なぜなら拳銃はこの世界にはなく、普通なら拳銃を見たとしてもどんな武器かもわからずにやられるだろう。しかしその武器を知っている存在がいるとしたら拳銃のある世界からの召喚者などなのだろう。


「【エンチャント】【白炎弾】」


エリオットが銃口をケイに向けトリガーを引く。


[バンバンバンバンッ!]


銃口からは薄く白色に光る白い弾が発射された。


「ツッ!!!」


ケイはすべての弾の軌道上に渦を配置する。しかし―


[ドパンドパンドパンドパンッ!]


全ての弾が渦を貫通する。


「ッ【竜人化】ッ!」


[ガンガンガンガンッ]


ケイの腹にあたった弾はとても人間(人間ではないが)にあたった時の音とは思えない音を出し、弾かれた。ケイが腹を竜人化させたため防げたが頭だったらどうなっていたかわからない。


「今のを防ぐかーじゃあもっと高火力で行こうか」

「させるわけねえだろッ!」


ケイは縮地を使い、間を一気につめ攻撃する。


「【一閃】ッ」


それに対してエリオットは剣を抜き、胸元に構える。


「【キャッスルウォ-ル】」


[ガキッ]


突如現れたエリオットを囲むように張られた薄く光る壁にケイの刀は阻まれた。


「早くても当たらなかったら意味がないね」

「チッ」

「それじゃあ【輝煌砲】」


エリオットが胸元で構えていた剣を横に振ると左右に二門ずつ白く光る大砲が現れた。ケイはそれを見た瞬間後ろにバックステップでその場から離れる。


「大砲とかありかよ……」


ケイが後ろに下がるとエリオットが剣を地面に突き刺す。すると。


[バゴンバゴンバゴンバゴォン!!]


大砲から一斉に白く光る炎を纏った弾丸が打ち出される。


「【浸食】ッ!」


ケイは舞台を浸食し、シュンスイの時よりもさらに分厚い壁を作る。


[ドガンドガンドガンドッガアァァンッ!!]


壁は何とか耐えたがまた一斉に大砲を撃たれたら必ず崩れる。しかしケイは一回防げればよかったなぜなら。


「【翼召喚】」


ケイは背中に翼を召喚し、無詠唱で身体強化を使い脚力で空に跳びあがり、翼を使い上に上昇する。エリオットのほぼ真上で止まる。


「本気で行くぞ。【呪刀】【竜人化】【エンチャント】」


ケイの周りに五本の禍々しい刀が浮いており、右腕は鱗に覆われ、管のようなものが通っており背中から翼が出ている。全身が漆黒の鎧で、髪も白と黒、肌も真っ白だ。この大陸にいるほぼすべての人間がこの人は人間の味方だと思うか?と聞いたら否だと答えるだろう。


「それが君の本気というわけかい。じゃあ僕もそれに答えてあげないとな。【聖剣の雨(ホーリーソードレイン)】【エンチャント】【ホーミング】」


ケイのさらに上空から黄金に輝く剣が無数に出てくる。ここでエンチャントホーミングの内容を教えておこう。ホーミングはエンチャントした物体。剣でも斧でも椅子でも机でも狙った相手にあたるという魔法だもちろんよけ方はある。飛んできたものの破壊、術者の殺害、鉄でできたような部屋にこもる。最後の方法は時間稼ぎにしかならない。飛んできたものは魔法で硬さだけ強化されているため、たとえ椅子だろうと何年もかけて壁を削る。術者の魔力が切れたら終わりなんてことはない。飛んできた物体に魔力がこめられているのだから。その魔力が切れるためには五年ほど必要といわれている。硬化も追尾もほぼゼロに等しいほどの魔力しか使わないのだから。そのため実質一番簡単で一番難しいのは物体の破壊。飛んでくるものが机や物体の数が少数ならば簡単だったが今は剣(聖剣だが)でその数は優に百を超えている。


「これは……剣のシャンデリアとでもいったところか…」

「面白いたとえだけどそんなこと言ってていいのかな?」


一気に聖剣が動き出す。それとと同時にケイの呪刀も動き出す。呪刀が一振りされれば20本ほどの剣が破壊させる。しかし、エリオットの剣は次々と補充されていく。エリオットの剣の数が膨大すぎるために次第に呪刀にもダメージが入っていく。


「これじゃあもたないな【黒い木(ブラックツリー)】【黒柱(ブラックピラー)】」


地面に黒い木を生み出し、生成された黒い雪を操り、空中に聖剣とほぼ同じ量の黒柱を作り出す。それを聖剣に高速で当て、破壊する。


「【エンチャント】【輝煌】」


エリオットが驚異的な脚力でケイの近くまで弾丸のように跳び、眼が眩むほどに輝く剣を抜き放つ。


「僕が閃光って言われる理由を見せてあげよう」


エリオットがそういうとさらに剣の輝きが増し、魔法で作り出した聖剣より神々しくなり、もう一つの太陽ができたように錯覚する。


「【輝煌鋭剣(きこうえいけん)】」


さらにパっと光ったと思うと翼が切れ、管も切れ、肌も切れていく。ケイは翼を切られたことにより、空を飛べなくなり地面に落ちる。


「グッ!!」


常人なら全身がつぶれるほどの衝撃だがそこはさすがの防御力だ。しかい、いくらケイといえどあの攻撃を全身で食らってしまったらひとたまりもない。


「今ので原形を保っていられるなんて相当な防御力を持っているんだね」

「結構…ダメージ食らった…けどな……」


ケイはそういいながら立ち上がる。


「いやいや、それでもあれをたえたのはすごいよ。だから今度はちゃんと一撃で決めよう。【太陽(サン)】」


エリオットが手を上にあげると黄色い魔方陣を赤で囲ったような魔方陣が現れる。そしてその上にめらめらと燃える火の玉が現れる、近くにいるだけで服や髪の毛も燃えてしまいそうになるほどの本物の太陽に似たものがエリオットがあげた手の上にある。実際舞台がドロドロに溶けてしまってる。なぜかはわからないがエリオットは全く被害を受けていないようだ。


「これは最近作り出してね、今まで使ってこなかったんだけどなんでだと思う?」

「切り札か…」


その答えを聞くとエリオットは楽しそうに笑う。


「あはははは!やっぱりそうだよねー。普通はそう思うよね。特別に答えを教えてあげよう。答えはこの今まで見たことのない魔法で勝つのってとても目立つと思わない?」

「は?」

「この試合が終わったら僕の二つ名閃光から太陽(サン)に変わっちゃうかもね。まぁそれもそれでいいか。おっとそうだった君を倒さないとね。じゃあバイバイ。君はよく頑張ったよ」


そういうとエリオットは手を下に振り下ろす。すると疑似太陽もケイに向かっていく。


「危なそうだから使いたくなかったけど仕方ないか…。【意識分裂】」


疑似太陽がケイに向かっていき、ケイの正面の舞台が解け始める。


「これで僕の勝ちだ」


そしてケイにぶつかりケイの負けだとエリオット自身も観客や司会者もそう思っていただろう。国王や騎士長もエリオットの勝利を疑わなかった。やはりどの世界でも予想外なことはいくらでも起こるのだろう。


[ズバッッッ!!!!!]

[ボッッッカアァァァンッ!!!]


疑似太陽が縦に真っ二つに切られ、左右に分かれた太陽が大きな音を立て爆発した。そして炎にケイのいた場所が飲まれる。


「君はずいぶんと予想外のことをしてくるね……」


エリオットは疑似太陽を切り、さらにあの爆炎でも致死ダメージにならなかったケイにそういう。


「………」


しかしケイは何も答えない。青い瞳でエリオットのすべての行動を見逃すまいとジッとのぞき込んでくる。


「答えないか…。でもそのけがでこの量の聖剣をよけられるかな?」


エリオットの周りに百本以上の聖剣が集まるり、一斉にケイに向け打ち出され―――るはずだった。エリオットの周りの聖剣は全く動かない。


「あ、あれ?なんで―」


もう一度ケイのほうに視線を戻すとケイがいない。


「どこにッ!?」

「―――【抜刀】」

「ッ!?」


[ガシュッ!]


ケイの刀がエリオットの肩の部分にあたり、肩の部分の鎧がはじけ飛び、肉がえぐられた。エリオットの肩からは血があふれ出る。


「そんなこといったいどうやったんだい?」

「……」

「これにも答えないかい。僕も全力を出さないとまずそうだね…」


エリオットの今の質問の意図はなぜ君は魔力がない(・・・・・)んだい?ということだ。エリオットは生まれつき生物の魔力を見ることができた。この世界は大人は当たり前だが、小さな赤子や昆虫だって魔力を持っていた。魔法を使えないのは魔力を外に放出することができないだけでありだれしも少量とはいえ魔力を持っていた。そしてホーミングは標的の魔力を追尾するため魔力がないものには意味がない。しかしこの世界の常識では魔力のないものなどいないはずだった。少なくともエリオもそうだと思っていた。ケイの魔力がなくなるまでは。魔力切れの場合は魔力がなくなった瞬間に倒れ、退場となる。しかしケイ退場になっていない。ということは魔力切れではない。ならいったいどうやって?エリオットはそういう意図で聞いたのだ。普通自分の意識で魔力を完全に隠蔽するなど不可能だ。必ず少量ではあるが魔力が漏れてしまう。そしてさきほどまでケイは魔力が出ていたのだ。


「トラウマになっても責任は取らないからねッ!!」


再び上にあげた手に今度は一つではなく、重ね掛けされたようになった魔法陣が現れ、疑似太陽が六個現れる。


「【千切り】」

「きゃ!?」

「?」


疑似太陽がすべて完成した瞬間に連鎖的にすべて爆発した。


「【黒柱(ブラックピラー)】【闇の矢(ダークアロー)】」


合計30本以上の魔法で生み出した黒柱?や矢らしきものが空中に浮いており、すべてがエリオットに狙いを定めている。


「これは……?」


ケイの今までの黒柱などはちゃんとした形を形成していた。しかし今エリオットが見ている黒柱や矢は溶岩が噴き出るかのようにぼこぼこと蠢いている。


「その体でいったいどうやって魔法を行使しているんだい?普通そんな状態で魔法を行使したら激痛で死ぬはずなんだけど…」


大けがをした状態で魔法を行使してしまうと体内の魔力官というものが破壊されてしまう。そのため普通は激痛でショック死してしまう。ここは舞台の上だからいいが痛みに耐えたとしても魔力疾患になってしまう。しかもあの量の傷の痛みを耐えることなど不可能だろう。

これによって今までの魔力が消えることや魔法の不安定さ、痛みに耐えている理由などが全く分からない。そしてケイが言葉を発しなくなる前に言った言葉。【意識分裂】。

この世界には意識分裂というスキルはない。このスキルは完全にケイのオリジナル。意識分裂とは戦闘以外におけるすべての思考を一時的に捨てる。分裂させることだ。いうなれば身体や思考の戦闘に対する最適化というべきだろう。そのために魔力を消すことは完全にはできないといわれていたが完全に魔力を消すことも可能にした。この状態のケイは完全に自分の人体を掌握していた。普通は魔法を発動できないほど魔力官がぼろぼろであっても魔力で幕のようなものを張り、無理やり通す。あまりにもごり押しなやりかたのため、どこかで不安定が生じてしまう。それが魔法に出たのだろう。だが魔法をよく見ると先端だけは形を変えていないためケイは問題ないと考えたのだろう。そして痛みに耐えている理由は神経の機能を一時的に切っている。そのために痛みなど感じるはずもない。さらにこの傷であの素早さをだせる理由も全身の魔力官から魔力を筋肉に流しているからだ。簡単にいうと身体強化の上位版を常に使っている状態だ。さらに五感も強化されている。


「これは…負けてしまったかな…」

「……」


ケイは無言で魔法をエリオットに向けて放つ。


「くッ……」


魔法はエリオットを貫き、致死ダメージとなり退場となった。


「な、なんと!ケイが一気に形勢逆転してしまい、優勝してしまいましたっ!!冒険者部門優勝はケイだあああぁぁぁ」


観客席から舞台に向かって万雷のような拍手が闘技場を包み込み、歓声が響き渡る。


あるものはこの強さに恐怖し

あるものはこの強さに嫉妬し

あるものはこの強さに羨望した。


これはまだ始まりでしかない。


この世界の情報

魔力官       魔力を体に流している重要な場所

魔力疾患      魔力がなくなるわけではないが魔法がつかえなくなる

スキル説明

白炎槍       空中に浮かぶ槍を生み出し、敵に打ち込む

輝煌銃       前の世界の拳銃に似ており、使い方も同じようだ

白炎弾       輝煌銃から打ち出される弾であり、ほとんどの魔法を貫通する

キャッスルウォール 自分の身を守る壁を作り出す。エリオットは防と短縮して発動していた。

輝煌砲       当たれば体がはじけ飛ぶほどの火力を持っており、操ることによって一斉に打ち出すことも可能

聖剣の雨      疑似聖剣を作り出し、一気に落とす魔法

ホーミング     物体にエンチャントすることによって敵の魔力を追尾して攻撃する

輝煌        足などにエンチャントすると素早さや脚力を爆発的に上げることが可能

輝煌鋭剣      瞬きの間に全身を切りきざんでしまうほどの火力を持っている。

太陽        疑似的な太陽を作りだし、その火力は呪刀にも匹敵するほど

意識分裂      思考や身体を戦闘に最適化させる


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