0039
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第一回戦が終わった翌日俺は再び闘技場の舞台に続く廊下を歩いていた。今日の相手はどうやらエルフらしい。エルフといえば全員で美男美女というイメージがあるのだが実際はどうなのだろうか?そう思いながら舞台に上がっていく。それと今回は最初から人化を使っている。すでに前の試合で使ったからな。舞台に上がると弓を持ったエルフらしき女性がいた。その女性は確かに美人の部類に入るだろうが視線がすごい。俺が舞台に上がってきてから一切俺から目をそらさない。
「今日一番目の試合は精霊召喚や精霊弓術を操り女性ながらも数多の戦士や魔術師を倒してきたルビーニ!!対するは闇魔術師のケイ!!ケイの情報はほとんどが謎!さらに使う魔法も謎!!だがその強さだけは謎ではない!!それでは第九回戦始めようか!!」
「本選第九回戦開始!」
[ドヒュン!!]
「!?」
試合開始の合図とともに何かがケイに飛んできた。首をひねり掠る程度だったが頭から血が出てきている。後ろを見ても矢らしきものは刺さっていない。
「今のをよけるのね。やっぱり反射神経はいいらしいわね」
「光栄だなッ!!」
浸食の魔法を無詠唱で発動し、舞台全てを黒に染める。これで舞台はケイの想いのままに操作できる。
「【精霊召喚ライトラプタ】」
地面が黒に染まると、何かを召喚した。それは光事態でできた鳥だった。その鳥がルビーニが近寄るとルビーニはその鳥に飛び乗った。
「精霊を召喚してくるだろうとは思っていたが精霊って乗れんのか…」
ルビーニはそのまま上に上がっていくと鳥の上で弓を構える
「【火精霊スパーク】」
ルビーニが赤い矢をケイに向かって放つ。しかし、今度はケイが矢をしっかりととらえたため避けることができたが。
[バチッ!!」
「ガッ!?」
だが背中に激痛が走る。
「な、なにを…」
もちろんルビーニがその問いに答えてくれるはずもなく無慈悲にも次の攻撃を開始する。
「【精霊召喚オスクロリーベ】」
するとルビーニのとなりに闇が現れ、一つの形を形成していく。それはケイの見覚えもあるライオンのような姿になった。しかし色が真っ黒だ。そして黒いライオンは出現してからすぐに咆哮をあげる。
「グオオオォォォン!!」
ライオンが吠えるとケイの周りの空気自体がズシッと重くなる。
「つ…次は重力を操るのかよ……」
「あら、まだ立っていられるのね。そこはさすがというべきかしら。でもその状態で私の矢を避けることはできないでしょう【風精霊トゥルビネ】」
次は緑の矢をケイに向かって放つ。
「ッ!【闇の反射】!」
「それは前の試合で見たわ」
ケイは自分の目の前に渦を出すがルビーニが狙っていたのはケイの真横。緑の矢はケイの隣で形を崩し、緑の斬撃となる。
「【浸食】ッ!」
ぎりぎりで魔法を発動したがすべてを浸食するには発動が遅かったためダメージを食らってしまった。
「対人戦慣れすぎだろ…」
「あら、ありがとう。でも残念。次で終わりね。【水精霊ドラウン】」
再びルビーニはケイの横を狙い、青い矢を放つ。
「【稲妻】」
「え?」
黒い雷がルビーニに向かって飛んでいく。
「ッライトラプタ!【ライオ】ッ!」
黒い雷に対し、鳥が口から光のレーザーを雷の向かって撃つ。ルビーニの素早い判断でライオが勝った。もうすこし遅れていたらライオが負け、鳥もろともルビーニは体が泣き別れになっていただろう。
「切ったと思ったんだがな」
「な、なんで…」
そこには重さなど全く感じさせないケイがいた。
「俺を見すぎたな」
そういいながらケイは視線を横にやる。ルビーニも隣を見る。
「グオォ……」
そこにいたはずの黒いライオンは地面からできている黒く鋭いものに貫かれ、黒い粒子になっていた。
「いつのまに…」
「子供でも分かるくらい簡単だぞ。渦で俺が見えない間に俺が舞台を操って精霊を倒しただけ。いや、今のは本当に危なかったぞ」
違う。今ルビーニが驚いているのはそこではない。ルビーニはあの一瞬でそこまで考えていたことに驚いていたのだ。渦で自分の体を隠し、自分をケイに注目させ、攻撃するところまでを考えたのだ。
「まずは叩き落すか。【翼召喚】」
ケイは背中から翼を生やし、空を飛ぶ。
「貴方、翼まで出てくるなんてずいぶんと変わった魔道具を持っているのね」
「これでお前が上というアドバンテージはなくなったわけだな」
「そんなものはなくてもべつにいいのよ!【光精霊エクレール】ッ!」
今度は上に黄色の矢を放つ。その矢はすぐ目が明けていられないほどの光になる。
「目つぶしかッ!」
ケイは腕で光を遮ったが片目が防げなかった。
「【精霊召喚ファイアーヴォルク】ッ!」
炎に纏われたおおきなウルフのようなものが出てき、ウルフが地面を足でたたくとウルフの足もとからケイに対して火柱を地面から出してくる。
「【黒柱の雨】
ケイは空から柱を落とし、炎をつぶす。
「【精霊召喚ウォーターシープ】」
今度は大きな水でできた羊のようなものが出てきた。
「【憑依】ッ!!」
ルビーニがそういうと召喚された精霊がルビーニに吸収されたすると金色だった髪が下の方に赤と水色が混じったような髪色になった。ルビーニは乗っていた精霊がいなくなったはずだが空中に浮いている。
「今度は何をしてくるんだ…?」
ルビーニの弓には三本の矢がをつがえられており、すべての矢がバチバチと紫色の電気のようなものが放電しており、矢は俺のローブと同じくらいに真っ黒だ。
「【精霊弓術カオスルイン】ッッ!!」
三本の黒い矢が今まで以上のスピードで放たれた。さすがにケイもまずいと思い切り札二枚目を使う。
「【呪刀】ッ!!!」
ケイも空中に刀を生み出す。その刀は今まで以上に小さいがそれほどに魔力をあの大きさに集めたということであり、攻撃力もとんでもない。そして、お互いの王級ですら食らってしまったら一撃で消し飛ぶような攻撃が交差する。
[バッッッコオォォォンッッ!!!]
お互いに魔力で作り出したものなので三本の矢は、周りの魔力を巻き込み大きな弾丸と化し、刀は一本ながらも魔力の大きさで大きな刀となった。魔力は実態がある。体の中で魔力を操作し、外に出すときにそれぞれの物質に変えるなどして魔法は発動される。つまりあの大きな弾丸も刀も実態があり、触れた瞬間に腕もろとも吹き飛ぶだろう。
[バチッ!!バチバチバチバチッッッ!!!]
お互いの魔法がお互いの魔力によって破壊される。そして―
「ボッッッガアァン!!」
お互いの魔法が打ち消され、空気が震えて消滅した。ルビーニは魔法が消滅した瞬間に落下し、ケイは翼を使い、ルビーニに近づき落下していたルビーニをキャッチした。
「魔力が切れたか?」
そう答えても返答がない。髪の色は元に戻っていた。
「ルビーニは魔力切れのため第九回戦はケイの勝利だッ!!」
「わあああああぁぁぁぁぁッッッ!!!」
この世界の情報
精霊 主に洞窟や森、湖などにおり、強力な魔法を使ってくる
スキル説明
精霊弓術 精霊魔法と弓術が複合されたもの
精霊魔法 精霊の力を借りてより強力な攻撃をすることが可能
精霊召喚 自分の魔力を使い、精霊を召喚する。
精霊召喚ライトラプタ 光の精霊で鳥の姿をしている。光魔法をつかうこともできる
火精霊スパーク 放つと術者の意思で小さく爆発させることができる
精霊召喚オスクロリーベ 闇の精霊でライオンの姿をしている。重力を操ることが可能
風精霊トゥルビネ 放つと術者の意思で斬撃を飛ばすことができる
水精霊ドラウン 放つと術者の意思でおおきな球体となり、敵を溺れさせる
光精霊エクレール 放つと術者の意思で眩い光となり、敵の目をつぶす
精霊召喚ファイアーヴォルク 火の精霊で狼の姿をしている。火魔法を使うこともできる
精霊召喚ウォーターシープ 水の精霊で羊の姿をしている。水魔法を使うこともできる
憑依 精霊を憑依させ、より強力な魔法、攻撃をすることが可能
精霊弓術カオスルイン 当たったものを破滅させる程の強力な威力を持っている
ライオ ライトラプタが使う光魔法