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闘技場のとても大きな円形の舞台の上に約100人ほどの冒険者たちが集められていた。試合が始まる前からとても皆殺気立っており、空気が張り詰めていた。舞台の周りをぐるりと囲むように設置された観客席とは違いとても豪華な部屋になっている観客席に立派な鎧を着た男と数名の男女も見えた。さすがにこの距離からは顔はわからないが。
「さぁ!Fブロックがいよいよ開始されます!ABCブロックなどでは二つ名もちの錬金術と土魔法を複合し、石や土さえあればどこからでも上位ゴーレムを生み出せる中隊ことにカルドや、溶岩魔法の使い手であり火魔法を中心に作られた火炎団のギルドマスターのハイス、冒険者になってから一度もパーティーを組まないが、その敵すらきずかぬ間に敵を殺すずば抜けた強さを持つ疾風のジールなどが素晴らしい戦いを繰り広げてくれました!今から始まるFブロックの中には女性からのとてつもない人気を誇る光魔法と火魔法を完全に複合した輝煌魔法を使い女性から圧倒的な人気を誇る閃光のエリオット!!」
その名前を司会が呼んだ瞬間観客席の女性の歓声がさらに大きくなった。周りをグルっとみると何となくそれっぽいやつがいた。髪も鎧も白鎧は金で派手にならないくらいに装飾されていた。身長は俺より少し低いくらいで見かけはまさに俺と正反対といったところだ。
「ではルールを説明しておこう。この舞台は昔に滅んだ古代の魔法文明が残した今確認されている中では数個しかない闘技場だその為この中で腕を切り落とされても胴体を真っ二つに切られても死んでいない数秒で舞台の外に転移され治癒されるから殺す気でやりあってくれてかまわない!瀕死になっても外に放り出される!そして本線に行けるのは前もって言っていた通り最後まで舞台にいた二人だ!それでは試合スタートと行こうか!」
「Fブロック、試合開始!!」
その言葉とともに冒険者たちは雄たけびを上げ目の前にいる冒険者に襲いかかっていく。もちろんケイにも。
「うおおおぉぉぉ!!」
一人の男がケイに向かって斧を振り上げる。
「【抜刀】」
そのまま男は斧と胴体がきれいに切れ退場になった。
それに周りにいた冒険者が反応しさらにケイとの距離を開け、誰もケイに襲ってこなくなった。理由は単純ケイに勝たなくても最後の二人になり本戦に出れればいい。それだけで名誉であり冒険者としての仕事も増えるからだ。
「このまま傍観ともいかないか【闇の矢】【毒の場所】」
今回は少し多めに30本を出し冒険者たちに照準を合わせ、瀕死で退場となると司会が言っていたので毒も使い魔物狩りで行っていた方法で行く。これだけ目立つことをしたので冒険者や観客の目もこちらを向く。
「おっとおっとおっと!!突如として闇の矢が大量にあらわれたぞ!そして舞台からは謎の紫色の薄い霧のようなものが出ている!こんな魔法の使い手このブロックにいたか!!」
「GO]
ケイのその言葉とともに矢は空中の風を巻き込み、風を起こして冒険者に襲い掛かる。あるものはよけるのが間に合わず剣や盾で防いだりしていたが剣や盾を破壊し狙ってい冒険者を退場させる。その姿を見てよけれたものは安堵の息をこぼした。だが足元には毒があるためこの魔法を発動しているものを退場させなければHPの少ないものやダメージをおってしまったものは退場してしまう。その考えに行き着いたものは少なくないようだ。ケイ以外の冒険者はお互いがアイコンタクトを取る。それが終わったと思ったら一斉に20人ほどの冒険者が襲い掛かってきた。暗黙の了解のようだ。
「いつまでも、千切りしか使えないわけにはいかないからな。少し練習したんだが。
ケイがいつもと同じ姿勢をとる。
「【一閃】」
襲いかかってきていた全ての冒険者の胴体が切れる。
「さらに予想外だ今ままでのやつの攻撃で40人は退場になったぞ!?一瞬しか見えなかったため何で切ったのかはわからなかったが魔術師だと思っていたやつが冒険者たちをまとめて真っ二つにしたぞ!!あの矢と今の攻撃を使ったやつは何者なんだー!!!」
「残りは40人ほどか。あの輝煌魔法の使い手とやらもだいぶん減らしてくれたな」
エリオットの左右には金色の巨大な槍のようなものがあり槍を操り冒険者たちを貫き、倒していた。
「一斉に倒すか。うまくよけるんだな。【黒柱の雨】」
闘技場の舞台の上に黒い柱が20本ほど浮いている。アウラが操っていた氷柱ではなく黒い柱先がとがっているわけでもないのでこれを魔物に使うときは皮や肉が駄目になりそうだ。
「こ、これにあたってしまったら悲惨なことになってしまうぞ!どうやってよけろというんだー!!」
この大きさの舞台ではよけることはほぼできないあだろう。この舞台は100人乗ってもまだ余裕があるくらいだがその舞台全体に影を作るくらいなのだからその1本1本の大きさがわかるだろう。そして柱が落ちていく。
「【防】」
誰かの声が聞こえた。
[ズガンッッッ!!」
柱が落ち、爆音が鳴り響き、一瞬音がなくなるが―
「す、すごいぞ!今の攻撃をエリオットがシールドを張り無傷だ!!だがこれにより本選行きの二名が決定した!!ケイとエリオットだ!」
ケイがエリオットのほうを見ると確かにはたから見たら無傷だが腕をこすっていたに少しながらも腕やひざにダメージをうけているだろう。魔法を防いだからといってあの高さから落とされた柱の衝撃を完全には吸収できなかったのだろう。といっても本当に少しなので明日のは治っていそうだが。
舞台を出てると、若い男が一人立っていた。
「ケイ様ですか?」
「そうだが」
「私、大会運営のものでして本選までの流れをご説明いたします。本選は明後日になりますのでそれまではお休いただいて構いません。明後日の朝8時ごろに闘技場に来ていただきましたらトーナメントの相手と試合時間を言いますので8時ごろに来て下さい」
「ああ、わかった」
「では」
男はお辞儀をすると運営専用の通路へ入っていった。
「かえって報告するか」