0027
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出発する前にいくつか問題が発生したが私兵たちの努力のおかげでそこまで遅れもなく出発できた。俺らはシュレイムたちとは違う馬車に乗っている。さすがに貴族様と冒険者が同じ馬車に乗るのはさすがにまずいらしい。
そして馬車の旅は想像していたよりもひどくない。そこまで揺れもひどくはないし、狭いってわけでもない。ただケイは暇なのである。一時間ほど馬車を乗っているがなんの代わり映えもない森森森。
「……暇だな」
「そうだな…」
ルカもなんのかわりばえもない状況に面白くなさそうだ。
そのまま再び一時間。
「……」
「……」
もはや言葉を発さなくなった。
「ん?」
「どうしたルカ」
急にルカが声を上げる。
「この先の道のわきに何人かの魔力が感じられるが」
「人ね~シュレイム様に聞いてくるか」
馬車の扉を開け、地面に飛び降り、シュレイムが乗っている馬車に併走する。こんこんと馬車の扉を叩くと氷剣を待ったアウラが扉を開けた。
「貴様はなにをしているのだ?」
「ルカがこの先の道に数人の魔力を感じたんでシュレイム様が何か知らんかと聞きにきたんだが」
「なに、それは本当か?」
「そうらしいな」
「お前も馬車に乗れシュレイム様に話を聞こう」
「じゃあのらせてもらうぜッ」
アウラが馬車の奥に入ったので俺も中に入らせてもらう。馬車の中に入ると。
「どうなってんだ…」
馬車の中に納まるようなサイズじゃない大きな部屋があり、シュレイムはソファに座り紅茶を飲んでいた。
「始めて中に入ったものは大体が驚くな。この馬車は魔道具でな、まぁ見てわかるが邸宅がいくつか買えるほどの値段がするらしい」
「はぁ~」
「シュレイム様ケイが話があるようです」
「どうしたんだいケイ君」
「どうやらこの先の道に魔力を持った人間が数人いるらしいがあれは殺していいのか?」
シュレイムにそうきくとシュレイムは一瞬考えたがすぐに返答が返ってきた。
「殺していいだろう。私を殺すために貴族派が盗賊を買収したんだろう」
「なるほどねーじゃあすぐに掃除してこよう」
「任せたよ」
再び馬車から飛び降り、同じような方法でルカの乗っている馬車に帰る。
「で、どうだった?」
「盗賊だから殺していいそうだ」
「しゃあ!!やっと体動かせる!」
「お前が近距離だったら俺が魔法で援護しよう」
「わかったぜ」
「よし。じゃあもうすぐ見えてくるだろう」
馬車の窓から顔を出し馬車の進行方向に魔法を発動しようとしている人が数名いた。そして俺と目が合った瞬間俺と馬車にむけて魔法を放ってきた。
「いきなり物騒な挨拶だな【闇の反射】」
馬車の目の前に黒い渦が出現しすべての魔法を吸収する。
「ほら。お返しするぜ」
今放たれた魔法が黒く染まりはなったものに対して打ち返す。これによって魔術師はほとんど死んだ。
「もっと踏ん張れや!!【斬】ッ」
いつの間に下りたのか、ルカは馬車に近づいていた盗賊を次々討ち取っていく。
盗賊はストレスのたまったルカによって全滅させられた。
「また私の出番なかった…」
馬車に手をついてうなだれている女性が一人いた。クリスにアウラが近づいていき話しかける。
「まだクリスさんの出番はありますよ」
「本当か!」
「はい」
「なにをすればいいんだ?!」
そう聞かれるとアウラはルカが派手に殺した盗賊を指差しこういった。
「このままにしておくとアンデッドになる可能性があるので死体を燃やしてください」
「……」
そのあとクリスは、目に涙を浮かべながら死体を火葬していた