0113
「まずは赤星の居場所だが、お前らが派手にぶっ壊した時計塔に居たことしかわかんねぇ」
「あの響破がそこまでしか分からないのかい?」
「もちろん俺だって依頼されりゃあどっかの国の王女の下着の色だって調べられるが赤星は分からなかった。アイツは常に後をつけられてるつもりで移動してやがるからすぐにまかれる」
「魔道具での追尾は?」
「したに決まってんだろ。だが赤星の魔遠砲で見えてねぇはずなのに撃ち落としやがる。当たり前だがその魔道具には背景同化に魔力遮断結界までかけていたが無理だった」
「響破自身で追いかけないのか?」
「はぁ…あのな?お前は外から来たから分からないだろうがここにはテリトリーがあんだよ。俺ら裏ギルドのテリトリーは正門があるベルミュナ南一帯。だがそこからでりゃ他の奴らが襲ってきやがる。しかもベルミュナ裏ギルドのボスの俺が出て行ったら周りがピリピリしやがる。分かったか?」
「なんとなく…?」
「賢者さんよぉある程度は知識付けさせとけよ」
「いやぁーあははは」
「はぁ…まぁだから赤星の居場所は大体の予測しかつかねぇ。赤星が所属してるのはベルミュナ騎士団だ。だからベルミュナ北一帯のどっかにいんだろうってことしか分かんねぇよ」
「だろうな」
「他には俺らのテリトリー内の時計塔をテリトリーにしていやがったから何回も戦ったがアイツの魔法は反魔法ってやつだ」
「反魔法?」
「そうだ。反魔法つっても普通の反魔法じゃねぇ。アイツのは受けたダメージをそのまま返すんじゃなくて倍増して返してきやがる。後は賢書が作った魔遠砲やら鉄箱やらを改良して性能を上げてるってことぐらいか」
「情報はそれだけか?」
「まさか。このくらいだったら他の所でも出てくる情報だこっからが本題だ。赤星の反魔法だが破り方は基本的にゴリ押し以外に無い。反魔法は結界魔法と類似しるから魔力消費も少ない。だから反射できないほどの攻撃力で攻撃するしかない」
「まぁ私の場合は魔方陣を読み取って自分のものにすればいいが、魔法隠蔽式を組み込まれてたら無理だね」
「あとは反魔法は魔法自体を反射するわけだが、その時に魔力を反射しているのは分かるな?」
「それは俺でも分かるな」
「分かんなきゃ困るが…まぁだから敵の魔法を使った装備や魔方陣を魔力を散らすことによって無効化する。戦った賢者とお前ならわかるだろ」
「確かに飛んできた弾丸に魔法を打ち消されたな」
「私の分身も一撃で消えてったのはそういうことか」
「そういうことだ。ついでに今のベルミュナの情勢も教えておいてやろう。今の情報だけじゃ価値が同等じゃねぇからな」
「それはありがたい」
「まずはそれぞれのテリトリーだ。今はさっき言った通り北がベルミュナ騎士団、南が俺ら裏ギルド。東が黒影盗賊団、西がラスファミリーだ」
「じゃあ前在った黒眼盗賊団はどうなったんだい?」
「前あんたが来た時と違ってもう黒影に潰された。元々黒影の副団長が離反してできたのが黒眼だ。まぁ元に戻っただけと言ってもいい」
「じゃあ勢力はどこが一番強いんだ?」
「ベルミュナ騎士団が圧倒的だ。持ってるテリトリーも戦力もけた違いだ。元々名前の通りベルミュナ王国の騎士団だったが、たまたま遠征中に出て行ってたその騎士団が帰ってきて終焉都市ベルミュナのほとんどを管理していた。まぁ今は離反やら裏切りやらで持ってるテリトリーはあれで少なくなってるが、戦力や技術力は昔に比べれば上がってるし、騎士団の血統だけあって統率力や装備が強い。
次にラスファミリーだが、元はベルミュナの犯罪を犯した貴族を裁く貴族だった。ラスファミリーもベルミュナ壊滅時にたまたま他国にベルミュナの情報を流していた容疑がある貴族の調査を行いに現地に居たために助かったようだ。まぁその時は国家反逆罪の可能性もあったために当主も出ていたようだ。そして帰ってきたらベルミュナは吹っ飛んでたわけだ。今のラスファミリーのテリトリーは一番小さい代わりに抱えてる兵の質が圧倒的に高い」
後の黒影盗賊団だが、あいつらは本当に烏合の衆だ。そこらの盗賊をかき集めて数だけ揃えてやがる。気を付けるのは黒影盗賊団の団長黒影だけでいい。他に気を付けるつっても副団長やそこらだけだろうな」
「これでベルミュナの現状は分かっただろう。今は特に争ってるところもない。唯一ピリピリしてるのが黒影盗賊団とベルミュナ騎士団の境目だけだ」
「ベルミュナの現状は賢書の言う通りだ。もし赤星を捕まえたきゃあベルミュナ騎士団の魔道具を奪うんだな」
「それが何か赤星を捕まえるために必要なのか?」
「赤星も帝国生まれ帝国育ちってことだ。結局の所更に強くなるためにベルミュナに来たんだろう」
「何らかの力を付与する魔道具ってことか」
「さあな。その魔道具を赤星が狙っているってことは知ってるがその魔道具がどのような魔道具かは知らねぇ。まずその魔道具の存在自体噂みてぇなもんだからな」
「いやいやいや、それでも十分な情報をもらえたさ。後はラスファミリーにでも行って協力を仰いでこよう」
「ほぉ。ベルミュナを紛争地帯にでもするのがお望みか」
「結果的にそうなってしまっては仕方ないね」
「精々俺らを巻き込まないようにやってくれよ」
「そこは任せてくれていい。まだまだ君にはお世話になるだろうからね」
「そうかよ」
「では助かった響破。俺らは帰るとしよう」
「分かった。次はどんな情報を持ってきてくれるのか楽しみにしていよう。では、またのご来店を」
この世界の情報
魔方陣を読み取る(掌握) これは一つの魔法技術であり、相手の魔法がどのように構築されているのかを読み取ることによって相手の魔法を自分の魔法に変えてしまうことを掌握と呼ぶ
魔法隠蔽式 掌握に対抗する魔法式であり、意味のない魔法式を乱雑に構築する物や特定の部分を守るように構築される魔法式もある
ベルミュナの情報
ベルミュナ騎士団 主に北をテリトリーとしており、ベルミュナで最大のテリトリーを持つ。兵の練度、装備共にベルミュナではトップクラス。
ラスファミリー 主に西をテリトリーとしており、ベルミュナで最小のてりとちーを持つ。兵の練度はベルミュナ騎士団を超えると言われており、息子と呼ばれる存在が異常に強いらしい
黒影盗賊団 主に東をテリトリーとしており、ベルミュナで二番目に大きいテリトリーを持つ。装備も質も低いながらも、黒影と呼ばれる団長のカリスマ性によって集まった複数の盗賊団を纏え上げているために兵の数はベルミュナトップ
黒影 黒影盗賊団の団長であり、その姿は常に黒い影のような黒衣で隠されている。
息子 ラスファミリーの幹部のような立ち位置であり、それぞれが少数精鋭の部隊を持つ