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同時刻帝国領土内森林


いつもは魔物の叫び声しか聞こえていない森林が、鉄をぶつけ合うような音や複数人の人の声が飛び交っている。


「特に問題はなさそうだね」


この森林は魔素溜りができやすいために森林への侵入はできるだけ禁止されており、竜の巣窟と呼ばれている。しかし、その危険な魔物達、王級複数体を同時に討伐しているのは軍ではなく帝国魔法学園の生徒であり、遠征に来ているクラスの教員であるのはエリオットである。本来はクリスが来る予定であったのだが、未だに自室で寝込んでいる。そして今回学園から出された討伐対象はラァーヴァワイバーンキング、プラトーワイバーンキング、エクスプロウドワイバーンキング。

それぞれが王級の中でも上位の戦闘力を有しており、溶岩魔法、岩石魔法、爆発魔法を使う。一つの魔法でも森程度であれば吹き飛び、跡形もなくなる。それが三体だ。既に森林は消えてなくなる予定であり、周りに被害が出ないように結界魔法を使用する生徒を配置している。だが、そのワイバーンたちでさえ帝国魔法学園の生徒には勝てない。数百のワイバーンが空を舞っているが、魔法で地に落とされ、地面の中を蠢いているワイバーン達は地上に出てきた所で首が刈り取られる。


「そろそろ溶岩が流れてくるから吹き飛ばしてねー!」


一人の生徒がそう叫ぶと、生徒たちが魔法を発動する。


「【竜の息吹(ドラゴンブレス)】」


超高圧の炎が生徒達の手から凄まじい勢いで放出されると、地面を溶かし、迫ってきていた溶岩を周りの木や地面を抉りながら前方の森林数キロを完全燃焼させる。空を飛んでいたワイバーン数体も巻き込まれて溶岩の海に落ちて行く。そして今度は爆弾となった岩の雨が豪雨のように降ってくる。


「【氷の世界(アイスワールド)】」


だが、空から降ってきた爆弾は凍ったことによってその機能を失い、ただの岩と化す。あとは生徒達の手によって降ってきた只の大きな岩を砕くだけだ。


「地中に魔力反応、付与しろ」

「了解【付与・翼】


地面から大きな魔力の反応を感じると同時に生徒たちに翼が生え、空に向かって飛ぶ。その直後に地面から岩で構成された大量の武器が生成される。


「結界の状況は?」

「全力だ」

「…ならここを吹き飛ばす。国からの許可も出ているからな」

「了解」

「殲滅せよ【紫電一閃】」


一人の生徒が指先から紫色に光る何かを飛ばすと一番近くにいたワイバーンに飛んでいき、そのワイバーンは一瞬で黒くなり、地面に落ちていく。そしてその紫色の線が分岐すると、一番近くにいたワイバーン三体に飛んでいく。そしてそのワイバーンを殺すと、地面に大穴を開けながらワイバーンを殺し、木や溶岩全てを吹き飛ばしながら文字通り殲滅していく。


「あいかわらずあの子の雷魔法は凄いなー派手だし。あとは王級だけしか残らなさそうだし僕も行ってこようかな」


エリオットが現在いるのは森林から大きく外れた山。歩を進めると今にも崩れそうな石の階段があり、その上の建物の前に一人の男がいる。


「お久しぶりですね。所でどうしたんですか、今更帰ってきて」


言葉に特に圧は無いが、目がとてつもない圧を放っている。


「この程度の圧で体が強張るようでは成長が何も見られないですね」

「申し訳ございません父上」

「えぇ問題ありません。貴女は女性ですから。それで要件は何ですか?」

「帝国幹部である父上ならわかるのではと思い聞きたいことがあるのです」


この男は痛みを感じない男、スカー・クルス。帝国幹部の一人であり、帝国での医療に関するトップである。元は体を切るなどという狂人的なことをしていた男であるが、それが医学的に問題なく、魔法で治せない病気までもを治せる療法だとわかったために神の手を持つ男としても知られている。


「銃という言葉を発する人間がおりました」

「ほう」

「銃というのは異界の武器であり、アッテラでは魔遠砲と呼ばれているはずです。その異界の武器の名を知っている者がどれだけいるか教えていただきたいのです」

「その前にまず銃と言った者の名を言いなさい」

「……ケイと呼ばれる男です」

「!それは黒雷と呼ばれる男ですか?」

「そうです」

「なるほどなるほど。勇者の一族でもないのに銃を知っていますか……。そうですね…エリア、貴女は私が再び命令を送るまで黒雷に接近していなさい」

「わかりました」

「黒雷は帝国の情報網をもってしても過去の経歴が全く分かりません。突如どこからか降って湧いてきたようなものです。できれば本人の過去の経歴を探るのもいいでしょうが…銃という言葉を知っているのであれば王国の召喚者という可能性もあるでしょう」

「有力な情報を父上の目の前に持ってこれるように努力いたします」

「えぇ。努力しなくてもその程度簡単にこなせるようになってくださいね」


そう言ったスカーは、自分の首を手で押さえるように素振りをすると次の瞬間にその姿は消えていた。


リベルタイン帝国の情報

スカー 帝国幹部の一柱。生まれながら痛みを感じないが、帝国での医療の最先端治療を行う男


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