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萌えポイント頂きました。

叶のふわふわの髪の毛を撫でれば私の手に頭を擦り付けてくる天使さにその場にいる全員がメロメロだ。


5歳になる叶は幼さの中に既に美しさがある。


綿飴のような柔らかい焦げ茶色の髪と綺麗な薄紫色のタレ目。実に将来有望なイケメンに育つだろう容姿である。


叶は完璧母親似だが反対に私は完全なる父親似。腰まである髪は黒髪ストレートで、目の色は叶と同じだけど子どもとは思えない程の目力を発揮している。


加えて優秀ではない表情筋だ。



(ははは…素晴らしいくらいの悪役顔だなぁ。)



私は「主人公の姉」というただのモブではないのだ。ちゃんとゲームにも存在する重要な登場人物である。


主人公を虐める悪役令嬢という役割が、ね。


はい、詰んだーってなるよな。主人公を支えるサポートキャラならまだしも何で敵役?!前世でめっちゃ嫌いだった登場人物に生まれ変わるとか心臓に悪いよ?!


しかも虐める理由が段々と自分よりたくさんの人物達に可愛がられる叶に嫉妬してのことだ。


わざわざ苦しめる為だけに叶の通う学園の保健医になったり…マジで怖い悪役でした。


ハッピーエンドの場合は叶への虐めに気付いた両親達に財産も家も全てを取り上げられ、日本から追い出されて終了。

バッドエンドの場合は攻略対象者を騙して叶から愛する人を奪っていき終了となる。


マジで怖い悪役でした。(2度目)


国外追放とか笑えないし、ていうか大切な弟を虐めるとか絶対にあり得ないんで。


撫でる手を止めた私をきょとんと見上げてくる叶に微笑み返す。お姉ちゃんは何があっても叶の見方でいるからね。



「あ、そうそう。倒れた祈を心配してね、さっき優人(ユト)君がお見舞いに来てくれたのよ~」

「え?!そうなの?!」

「ふふっ、相変わらずのイケメンだったわね彼。パパもそう思うでしょ?」

「ぐっ…ま、まだ祈はどこにもやらないからな!」



お母様、そういうのは早く言って頂きたかったなて。


私が目を覚ましてからもう30分くらい経ってますよ?絶対に待たしてるよねこれ。


マイペースな母親とまた親バカを発揮している父親を置いて私と叶は部屋を出ていく。こういう急いでる時に広過ぎる家は大変だ。


私の部屋から客間に行くまで3分もかかるとか信じられない。家の中で大運動会でもしてやろうか。



「待たせてごめん優人!」

「祈!」

「うわっと、あの…心配掛けてごめんね?」

「本当だバカ祈。今度アイス奢るの決定だからな」

「あはは、分かりましたよ優人様」



客間の扉を開ければ勢い良く抱き締めてきた優人の背中を軽く叩く。私が倒れたすぐ近くにいたし、流石の優人だってそりゃビックリするよね。


優人は私と同い年の幼馴染みだ。


短く切り揃えられた赤茶色の髪と黒曜石みたいな綺麗な目をしたイケメン君。そして勿論、攻略対象者の一人。


その中では一番の最年長で数年後のゲームの本編開始時には大人な色気が駄々漏れるワイルド系数学教師に成長するのである。



「むぅ…お姉ちゃんに背中ポンポンされるのは僕だけなのー!」

「そんなケチ臭いこと言うなよチビっこ」

「チビっこじゃなーい!叶だもん!」

「ははっ、悪かったから拗ねんなって叶!チョコあげるから機嫌直せって。な?」

「じゃあ許す!!」



あぁ…天国かなここは。


目覚めてからこんな早くに萌えを頂けるなんて、幸せ過ぎて怖いです神様。


今にもキュンと音がしそうな心臓を押さえているとグイグイとネグリジェの裾を引っ張られ、見ればノアールが尻尾を振って座っていた。


眼福に夢中で気が付かなかったぜ。


ノアールの黒い艶やかな毛並みを撫でていればイチャイチャ(仮)が一段落した二人もノアールの顎下や頭を撫で始めた。



「さっきまで祈のご両親がいたんだけどお前の部屋から叶の泣き声が聞こえた瞬間にすっ飛んでってさ。そのすぐあとにノアが来たんだよ」

「優人が一人で客間にいるのを察して移動したのかなノアールったら。賢くてイケメンですな!ノアール殿!」

「ワンッワンッ!」

「ノアールは世界一賢いんだよー!」

「だな。ありがとなノア」



ノアールと遊びながら3人で話していれば時間はあっという間に過ぎていくもので。お父さんとお母さんが客間に呼びに来る頃には昼近くになっていた。


今日は日曜日でお互いに急ぐ用事もないとのことで優人も一緒に昼食を食べることに。ちなみに優人の家は私の家から徒歩5分くらいの距離なのでこうして一緒に過ごす時間が長く、最早家族同然だ。


叶も優人に懐いているし…萌えポイントがたくさん貯まっていきまっせ旦那。このまま数年後はラブラブでんな?!


おっと。いかんいかん、興奮でキャラが迷走しちまったぜ。てへぺろ。


…自分でやってて鳥肌が酷いな。



「祈、明日は普通に学校来れそうなのか?」

「問題ないよ。何で?」

「お前が隣にいないと女達がうるせぇから」

「オウ…サヨウデ…」



こんな若いうちから女達が面倒とか言っちゃってるこの子の将来が心配だわ…あ、素晴らしいイケメンに育つの確定でした。


ゲームでは祈の初恋は優人で、彼の隣は自分だけが相応しいとか考えてたんだっけ。


小学生なのにもうそんなことを考えているの?とか思うだろう。侮るなかれ。


ここは恋愛が交差しまくる乙女ゲームの世界ですよ?


普通に他のご令嬢達から嫉妬の対象として見られてますからね私。



「背中とか刺されたらどうしようね」

「急に何を言い出すんだお前」

「お姉ちゃんは僕が守るから大丈夫だよー!」

「うぅ…もう叶が尊過ぎてツラい…」

「コントか」



穏やかな時間が何よりも大切に感じる今日この頃。


ちょーっとヤンデレとか多い世界だけど、強く逞しく生きてやりますとも!負けるな!祈!!

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