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願いごと

作者: 砂糖醤油やきもち



ユウキは大切な人、スズネを助けるためにこの洞窟にやってきた。


彼女は今も病室で静かに眠っているだろう。


三ヶ月前、スズネは交通事故で頭部を強打し病院に搬送されたところ植物状態だと診断された。

 



ある書物によると、この洞窟の最深部にはどんな願いも叶えると云われている魔法の薬が封印されているらしい。

また、その封印が解かれたときには亡霊に取りつかれるとも云われている。




ユウキは洞窟の入り口の立ち入り禁止のかんばんを見つけると、無視して懐中電灯を片手に中へと入っていった。

中は薄暗く、進むにつれて息が少し苦しくなってくるのが分かる。



疲れも感じないうちに洞窟の最深部へと着いてしまった。


少し高くなった台座には古びた小さな箱が置かれている。


その箱を開けると案の定、中には液体状の魔法の薬が容器に入っていた。


ユウキはそれを取ると、入り口へと向かった。




入り口の光が見え始めたときだろうか。誰かが入り口の前で立っているのに気がついた。


近づいてみると、そいつはスズネだった。


ユウキは戸惑いながらも、


「スズネか?どうしてこんなところにいるんだ」


と聞く。そして肩を揺すろうとした瞬間、



抜けた。



感触を感じるはずが、ただ空気を掻いただけだった。


そう、スズネの姿をした幽霊が目の前にいるのだ。



「ユウキ、ここは立ち入り禁止の洞窟だよ。ユウキは魔法の薬で願いを叶えたくて、ここに来たんでしょ。私の植物状態を直すっていう願いで」



そいつはユウキの考えを全て見透かしているようだ。



「けど私、今のユウキには会いたくないな。立ち入り禁止の場所に立ち入ってまで、ましてや封印されたものを解き放ったもんね。そんなユウキには会いたくない。私、感じていたよ。ユウキがいつもお見舞いに来て、私の手を振れてくれたこと。温かいユウキの手を感じていた。だから、これからもお見舞いに来てね」



そう言うと、スズネの幽霊はどこかへ消えていった。



僕は気がつくと、床に薬の容器を叩きつけていて、スズネの眠っている病院のある町へと走っていった。

初投稿です。


短い作品ですが、読んでいただきありがとうございました。


これからも投稿すると思うので、その際はよろしくお願いします。

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