シャッター越しの世界
私はボタンを押した。
すると、シャッターが開いた。
シャッターが開くと、街が広がっていた。
その中にミニチュアの街の模型を片手に街をウロウロしていた。
レゴブロックで作られた街を私は歩いていた。
空を眺めると、虹がかかっていた。
この町の住人が話しかけてきた。
「またその模型で街を作ったのか?」
そう、私が街を模型で作りボタンを押すとその街がシャッター越しに広がる。
住人たちはランダムに配置される。
今回は地面がレゴブロックの街の模型を作った。
私が作った模型ではここに図書館があるはずだが?
そして図書館に入った。
本の一つ一つは指定できない。
図書館で本を読むと、階段を登り
一人の少女と出会った。
少女は言った。
「面白い街を作ったんですね。」
そしてこの町を散策している。
地震が起きた。
私は、地震があまり大きくなかったので
良かった。
住民は操れないが
この町は私が作ったので地図は分かる。
街を作るには、シャッターの前で模型で自分の作りたい地形を模り
作る必要がある。
それを型に嵌めて、ボタンを押すとその模型通りの街が出来る。
レゴブロックで作ることもあるし、普通に土とか建物のプラモデルで作ることもある。
そしてシャッターは工場の中にある。
工場に入ってシャッターを閉めて、模型を作って街を創造する。
この技術を作り出したのは、どれくらい前だろうか。
模型の部品を最初の街で大量に手に入れてから
10数年をかけてこのシステムを作り出した。
街の住人はこの工場を知ってるが、模型を作れない。
だがこのシステムはこの工場の30km圏内だけで通用する。
30km圏外は街を囲う川があって、街を模型で創造できない。
私はこの町にずっといて、30km圏外にはほとんど出ていかない。
もう街を模型で作って、ボタンを押しシャッターを開けて街を作る作業を
600回は繰り返し、その街の住人と会話した。
そして私は、工場に戻った。
また模型で、街を模型で設計しようと思いかなり手の込んだ模型を設計して
ボタンを押した。
あれ?何かおかしい。
シャッターを押すと、砂漠になって居た。
砂漠に出た。
模型とは違うじゃないか。
工場に戻りシャッターを閉め、また違う模型を作りボタンを押した
だがシャッターが開くと、何度やっても砂漠になって居た。
しょうがないからその砂漠を歩くことにした。
飲み物とかは無事持っていた。食事も持っていた。
砂漠なので人が居ない。
物凄く熱い。
距離も測って歩いていたが、30km圏内を過ぎても砂漠だ。
どうなってるんだろうと思って、電話をかけてみたが繋がらない。
工場へ戻った。
取り敢えず休んでは、砂漠を歩きを繰り返した。
するともう一つの工場を見つけた。
その工場には人がおらず、模型もなかった。
食料が尽きた。飲み物もつきそうになった。
オアシスを探した。
歩き続けているとオアシスがあった。
もう一つの工場には、実際の工場と同じような機材や金属が置いてあった。
誰も人が居ない。
砂漠を何時間も、辛い思いをしてあるいていたら海に出た。
海にイカダを作って、次の大陸を目指した
釣りもして、だが何処へ行っても大陸が無い。
私は、自分の工場に戻った。
模型を何回も作り、釣りをして食料を確保し
オアシスで水を汲んで生活していた。
何回か繰り返したらボタンを押し、シャッターが開くと
模型通りの街になって居た。
元に戻ったみたいだ。
外に出てみた。
いつも通りだ。
ただもう一つの工場が模型とは違って出来ていた。
あの砂漠にあった工場だ。
それは祖先の人の作った工場だと分かった。
私の家系は、工場の家系だった。
何故砂漠になったのかが分からないけれど
この模型がボタンを押してシャッターが開くと模型通りの街も
私が作ったものではない。
祖先が作ったものだった。
祖先は、普通の工場を営んでいた。
そして、ボタンの工場の秘密を私に教えてくれた。
あの砂漠の世界だけが不思議だった。
よく分からないこともあるもんだ。
それから私は模型がシャッター越しに現実化する街を離れた。
そして、海外へ旅した。
するとそれと同じような砂漠があった。
そこには、模型がシャッター越しに現実化する工場じゃなく
誰も居ない工場があった。
その誰も居ない工場を一通り眺めた。
海外のその場所が、模型とは関係なく
シャッター越しにボタンで展開されたようだ。
また私は日本に帰った。
自分の工場が壊されていた。
模型も跡形もなくなっていた。
その街は私が来る前の模型が現実化するボタンの前の街になっていた。
それから私は祖先が残した工場で、働いて稼いでいる。